あらすじ
名門貴族の令嬢ルクレツィアは皇太子との結婚のため、幼少から徹底した王妃教育を受けてきた。だが夫シメオンは平凡な容姿の彼女に指一本触れず、国王に即位すると自身が寵愛する下働きの娘マリーを側室に迎え、やがてマリーが懐妊。ただ王妃になり世継ぎを産むためだけに生きてきたルクレツィアは王宮での居場所も、生きる意味をも失う。そんななか、突如として隣国の侵攻を受けた王国は敢えなく陥落。シメオンはマリーと息子を道連れに自害した。ひとり残されたルクレツィアは、国母たる王妃として最後の責務を果たそうとするが……。デビュー作にしてコバルト文庫の名作(2015年度ノベル大賞受賞)、待望の復刊新装版!
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Posted by ブクログ
私はコバルト文庫 大好きです。
この本は初めて読みましたが 痒いところに手が届くみたいに ツボにハマる本です。
ルクレツィアは 清く正しく麗しく育てられた
でも 自分には全く自信のない人
嫁いだ先の王様の愛人マリーに対しても いいところを見つけてしまう。
お世話係のティアナから 笑顔が大事と教わる。
王様からは顧みられない王妃だが
病院や孤児院への慰問は欠かさない。
誰に対しても偉そうに話さない。
国が滅んだあとも 畑の耕し方 ジャガイモの皮の剥き方 を周りの人から素直に習う。
この積み重ねが 幸せに導くんですね。
ハッピーエンドで ちゃんと終わりました。
新しくしゅうとめになったハリエットにも 心を折らずに接していく。
幸せの道しるべみたいです。
いいお話しでした。
Posted by ブクログ
次々と災難に襲われる中で、自分に自信がなく苦しみながらも、自らの責務から逃げずに凛と立ち続けるルクレツィアが好きでした。文体もすごく好み。
彼女がティアナを始めとする人々から貰った言葉で成長していく様にも心を打たれる。
こんなにしんどい事が何度も襲ってきて大丈夫なのか? とも思いましたが、最後には思わず笑みがこぼれるハッピーエンドに辿り着けて良かったと思いました。
メルヴィンが戦の前に結婚を申し込んだときは「死亡フラグじゃありませんように……!」と祈っていましたが、無事二人が結ばれてホッとしました。
(でも5年も片思いこじらせるのはちょっと凄いと思うよメルヴィン陛下)
Posted by ブクログ
国が滅んでしまったのに、一人残された王妃。
王のダメダメを支える臣下や配偶者は悲惨だわ。
それがどこか今の日常に重なって、皮肉だなぁとか思って読んでました。
Posted by ブクログ
シメオンと婚姻関係を結んでいた頃は、自分以外のところが勝手に盛り上がって勝手に破滅していって、自分だけが蚊帳の外みたいな、どこまで行っても中心になれない状態だったのに、夫と国が亡くなって初めて主役になれたルクレツィア。
本人にも改善の余地はあったけれども、正直気の毒だなあという感想を抱くレベルというか。
いざ王妃という職を離れてからの方が、よほど波乱万丈だった。
大冒険でしたよ、ルクレツィア。
そして、彼女が様々な経験を積んで成長していくのに反比例して、残念度の方が上がっていくヒーロー……
父を失い、おじに謀反を企てられたにも関わらず、同情するどころか「おまえストーカーだったんか」と呆気に取られたので。
どうしてこうなった。
中盤以降くらいまでは、ルクレツィアの王妃として過ごした日々、そして国がなくなってからは本当に波乱万丈な命がけの旅をする様を描いていたので、結構シリアス寄り。
しかし、ヒーローとの合流後からは一気にコメディ色が強くなって驚くという
だから、ヒーロー君が雰囲気ごと台無しにするから。
またゆったりペースだった前半に比べて後半は駆け足気味。
ヒーローの逆転劇の細かいところは描かれずに、すぱっと展開が飛んだことにも驚いた。
後はもうハッピーエンドに向けて転がり落ちるだけ。
それだけルクレツィアが頑張ったということでひとつ。
番外編はルクレツィア匿われ中の5年の間の一コマ+終章直前くらいのお話。
ちょっと泣けるシーンもあるのに、結局更にストーカー行為で残念度を上げにかかったヒーローにもっていかれるという。
初恋拗らせるの、怖い……本当に。
Posted by ブクログ
なんと言っても落城した時に敵国指揮官の前での王妃のお姿(が目に浮かぶ文章)が、惚れ惚れとするほど凛として気概があって良かった。
職業人としての王妃としては一流でも女性としてはちょっと残念で完璧じゃないとこが、また良い。