【感想・ネタバレ】宿帳が語る昭和100年 温泉で素顔を見せたあの人のレビュー

あらすじ

西城秀樹も、松田優作も、志村けんも、樹木希林も、
温泉ではすべてを脱ぎ捨て「素顔」に戻った――

どんな大俳優や国民的アイドル、大作家、アーティストも、
地位や名声、肩書といった重い荷をふっと下ろしてしまう魔力を
もった「湯宿」という場所。その不思議な力の源泉はどこにあるのだろうか。

彼らを迎え入れた宿の主人や女将のふるまいや、
宿が辿ってきた歴史や地域の風土、そして「昭和」という時代の
空気から読み解く。

長年、温泉の魅力を取材し内外に発信し続けてきた著者の、
新境地を拓く渾身の一冊。

【目次より一部抜粋】
国民的アイドルのファンミーティング──西城秀樹と猪苗代温泉「ホテルリステル猪苗代」
「必ず一番最初に行くからね」──志村けんとあわら温泉「べにや」
夢千代たちがはしゃいだ深夜の洗濯──樹木希林、吉永小百合と湯村温泉「朝野家」
「狂気」を癒やした奥多摩の大自然──松田優作と松乃温泉「水香園」
昭和の大宰相を虜にした「鯉の甘煮」──田中角栄、渡部恒三と会津東山温泉「向瀧」
大芸術家がデザインした曲線美の湯船──岡本太郎と吉奈温泉「さか屋」
伝説のカップルの日帰り入浴──ジョン・レノン、オノ・ヨーコと「すみや亀峰菴」 忘れられない両陛下の会話と小さな“ガッツポーズ”──上皇・上皇后陛下と「南三陸ホテル観洋」、穴原温泉「吉川屋」
世紀の名曲を生んだ伊豆の私雨──「天城越え」と天城湯ヶ島温泉「白壁」
「俺はね、無口なんかじゃないよ」──高倉健と龍飛崎温泉「ホテル龍飛」
スターたちの「修学旅行」──石原裕次郎、渡哲也とあわら温泉「べにや」
素顔をさらさなかった女王──美空ひばりと山田温泉「風景館」、いわき湯本温泉「新つた」
裸の大将は温泉で画力を磨いた──山下清と上牧温泉「辰巳館」
巨匠を和ませた絶妙の「間合い」──大林宣彦と由布院温泉「玉の湯」
「寅は、けぇります」──渥美清と古湯温泉「鶴霊泉」
スターたちを圧倒した荘厳な大浴場──「法師乃湯」を愛した人々
大俳優をも自然体にさせる宿の魔力──田中邦衛と小野川温泉「宝寿の湯」
釣り三昧と執筆の日々──開高健と丸沼温泉「環湖荘」
希代の趣味人の人生を変えた湯宿──北大路魯山人と山代温泉のおあんさん達
清張おじちゃんと家出事件──松本清張と千倉温泉「千倉館」
立派なことはすべて先生が温泉で教えてくれた──小津安二郎と「蓼科親湯温泉」
日本文学の金字塔を生んだ湯の華と雪景色──『雪国』と越後湯沢温泉「高半」
ニッポンの温泉の原風景がここにある──宮沢賢治と大沢温泉
万人を「裸」にしてしまう女将と湯の魔法──橋田壽賀子、花登筺とかみのやま温泉「古窯」!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

温泉文化をユネスコ無形文化遺産へ。そんな動きも納得。多くの著名人がお忍びで訪れた名宿。女将など関係者が見た著名人の姿。
大スターだからこその気配りやエピソード。静かに休養する人が多いが、石原軍団の団体旅行や創作活動の現場など。
本書に登場する宿全てに、筆者は実際に宿泊し取材したという力作。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

とても感動しました
大スターや上皇様まで登場するとは
ホテルにはない女将や宿との繋がり方に日本文化の奥深さを感じます
他の国でもこのような繋がり方があるのだろうか?
温泉旅館ではなく宿泊や山小屋などは他の国でも繋がりは深いでしょうね

しかし残念なことに私たち一般庶民が泊まれるような宿がなかなか見当たらないのが残念です
一生に一度あるかないかぐらいでしょうか

夢のような宿での夢のような話の数々に感動しつつ私達は民宿へと向かいます

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2024年07月09日

Posted by ブクログ

高倉健さんは本当に大スターだなとしみじみ。その他の登場する人もみんな豪華で、それぞれ興味深く読みました。

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2024年08月26日

Posted by ブクログ

有名人が泊まった温泉宿の女将や主人に
インタビューした1冊。

「昭和100年」とあるように
こんなふうに有名人が喧騒を離れて
温泉宿にひっそり泊まるのも
「昭和」な風習になってしまった気がする。
なんというか…温泉に泊まることが
もっとカジュアルになってきたからかな。
客が増えるという良い面もあり
大人の隠れ家ではなくなるという
ある意味マイナスな面もあり。

松本清張と千倉温泉の章が
いちばん興味深かったです。

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

 面白かった。
 昭和を彩る、多士済々の著名人が、オフの場で垣間見せる様子は、ファンならずとも興味深い。その一方で、オフでも素顔を見せなかった美空ひばりの存在なども際立つ。
 また、どの温泉宿も、訪れてみたいという気にさせる。

 ただ、このあとがきは、「?」となった。

「本書のテーマは「昭和」という時代を温泉地や宿という場所から描くことだ。
 なぜなら、湯宿は時代を顕著に表す場所だから。」

 時代を顕著に表す場所なのか? いや、むしろ不変の存在感、悠久の自然の一部といっていい場所ではなかろうか? そんな場所だから、表の顔を売りにしたスターたちが、社会的立場やガードを下して、素のままの自分に戻れたのだろう。

 時代を顕著に表すのは、そのスターや作家、芸術家たちそのものだ。「昭和」という時代は描かれていたとは思うが、最後の一文に、ちょっと、ひっかかってしまった。

 でも、単なる旅行ガイド、温泉ガイドを超えた楽しみの詰まった一冊だった。

「夢千代日記」の撮影場所となった湯村温泉「朝野家」、名曲「天城越え」が生まれた天城湯ヶ島温泉「白壁」、岡本太郎が好んだ吉奈温泉「さか屋」などなど、行ってみたいなと思わせる宿が盛りだくさん。

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2024年07月30日

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