【感想・ネタバレ】世界をアップデートする方法 哲学・思想の学び方(集英社インターナショナル)のレビュー

あらすじ

哲学や思想を学ぶことは本来、とても面白い。それは、世界がどのように変遷してきたかがわかるから。本書の切り口は、哲学者や思想家たちの「常識破り」の作法。彼らは、当時の時代を支配する固定観念を壊し、新しい時代のあり方を提案してきた。そして実際に世界を変えてきた。私たちが歴史から学ぶべきは、今の固定観念は何なのか、それを打ち破るにはどうしたらよいか、その作法を学ぶことだ。たとえば、現代のエネルギーやお金、労働などの常識は本当なのか? 現代の常識をイノベートするための一冊。

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Posted by ブクログ

本当に面白かった。哲学について興味はあるけど何から手にとって良いのかわからない人へ最良の本だと思いました。
自分のこれからについて大きな分岐点になったと思いますが、間も無く忘れてしまいそうなのでおりに触れ読み続け、他の書籍を読む機会へとしても繋げていきたいです。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

X(旧Twitter)で大人気の篠原信先生が書いた哲学の本とあれば、読まないわけにはいかないだろう。これまで何冊もの哲学入門本を読んでは挫折したり、読んでもまったく頭に残らなかったりしたが、この本に書かれていた内容はわりと覚えていられそうな気がしている。

哲学・思想版の『びじゅチューン!』を目指したというこの本は、もちろん哲学・思想のすべてを語ってはいないし、著者の主観がかなり強く、各項目ごとに割かれているページ数もまちまちで、網羅性も低い。だがそれが良い!

著者は、プラトンが「国家は人間がデザインできる」と言い出したことが、のちの『理性教』を生み出し、デカルトの「すべてを疑い、否定せよ」が、副作用としてナチスを生み出したとして警鐘を鳴らす。

その処方箋として、カール・ポパーの「反証可能性を自ら示さねば科学とは言えない」という主張を紹介。完璧な理論は存在しないからこそ、今までの理論を当面妥当なものとして活用し、反証が出てきたら修正してアップデートすることを提唱しており、穏当で当たり前に感じるが、とても大事なことだと思った。

アリストテレスが普及させた「観察」のアプローチは、キリスト教の世界観にとって脅威だったため中世ヨーロッパでは封印されていたが、十字軍を契機にイスラーム世界から逆輸入されたという流れは、学校で習ってはいたと思うのだが、あらためて腑に落ちた。

「神の見えざる手」で知られるアダム・スミスは、あくまで当時の重商主義真っ只中の時代において、政府の市場への過剰な口出しを戒めたのであって、新自由主義的なルール無用のデスマッチを推奨したのではないこと(産業革命で貧富の差が広がったのはアダム・スミスの死後!)や、マルクスは「資本論」においてスミスの本を頻繁に敬意を持って引用していることなどはもっと知られてもいい。

また、ダーウィンの「適者生存」の考え方が「弱肉強食」と曲解されていること(この本では指摘されていなかったけれど、優生思想の根拠として悪用されていることも)は、ダーウィンにとっては気の毒な話だろう。

こうした発想の転換を生むターニングポイントになった思想や哲学をポイントで押さえておくことで、哲学史の理解がだいぶ深まったように思う。わかった気にさせるのが得意な篠原先生だが、極端なことや過激なことはあまり言わないので信頼できる。この本を取っかかりに、哲学の本にまたチャレンジしてみたい。

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2025年06月10日

Posted by ブクログ

この方の噛み砕き方がとても素敵。
ものごとを普段から観察できているんだろうな〜
老荘思想、モンテーニュあたりが気になる。

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2024年06月04日

Posted by ブクログ

哲学により、人々の考え方のみならず政治や生活の変化していく様を歴史的に述べているのが面白かった。
印象的だった部分はギリシア哲学者3人。
高校で学んだときとは違う印象を受けた。

ソクラテス→ごくわずかの天才に知識が開かれている世界から凡人でも自ら問い続けることで知性を磨くことができる世界に。

ラトン→人知が介入できないと思われていた国家は優れた個人であれば国家を形成することができると説いた。(リュクルゴスによるスパルタ王国の影響)

アリストテレス→観察によって知性を磨くことができる。専門家でなくても物体を観察し、細部にこだわり、誰も気にもとめていなかったことに気づくことで真実にたどり着く事ができる。凡人にも知を開いた。

デカルトが疑い続け真実導き、絶対真実を増やしていく考えを主張。
その後もカント、ヘーゲルが理性説を進化。
イギリス経験論もあったが、どちらも個人の賢さや優位性を追求する面があった。そういった人間として優れている人はこうゆう人だと言った考え方があるからこそ、ナチス、スターリン、ポル・ポトが生まれた可能性もあると記述。

今自分の考えた方に近い↓

フロイト、ユング→適応できず精神を病む人の存在。理性だけが大事じゃないよね。
レイチェル・カーソン→大切なのは知識の量ではなく興味関心の強さ。体験を重ね、体験ネットワークを広げることでじぶんの興味の範囲が広がり、その分野に関して深い知識を身に着けようとする同期が生まれる。

カール・ポパー→絶対などない。科学理論として成立するには、それが成立しない諸条件を示す必要がある。逆にその条件が示されるまではその理論を妥当なものとして受け入れる方が生活はしやすくなる。

ケネスjガーデン→優れた個人を絶対視してはいけない。存在ではなく関係。関係でしか存在は把握できない。また客観的な事実よりもその人自身の経験からなる意見のほうが共感できる。


また経済学の流れもわかりやすかった。
アダム・スミス(市場経済)→マルクスの共産主義→ケインズの修正経済学→新自由主義→共産主義の再興

注意しなくてはならないのはアダム・スミスも完全な市場経済を望んではいないということ。市場に委ねすぎると格差や怨恨につながるからだ。成長を邪魔しない範囲である程度の制度を作ることが政府には求められている。

またこの時代に求められているのはリカードの条件付きの【比較優位説】であると思った。各国が複数の強みを有し、一つの強みが失われても脆弱性を保てるようにし、役割を分担しあうことが効率性の観点から必要。





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2024年03月31日

Posted by ブクログ

audibleで視聴。無料期間駆け込みだった。。

かなりコンパクトに、これまでの思想の紹介。
ソクラテス、プラトンから始まりレイチェル・カーソンや東洋思想まで。

世界史の授業で名前は見かけるものの、どんな思想だったのかをよく知らないレベルだったが、理解に詰まることはなかった。(ほぼ聞き流していたが)
印象的だったのは、「歴史上名を残したのは、その思想家の考えが後世から見て革新的で、世界に影響を与えたものである」という視点。

今我々が本を読むように、当時の人も過去の思想を学び、自分の考えを作ってきた。いかに革新的なものであっても、降って湧いたものではなく、過去の思想の影響、社会情勢の影響を当然に受けていることを認識できた(ルネサンスあたりの話は非常にその感覚がわかりやすかった)

世界史は苦手だが、世界史の変遷とその裏にあった思想、という観点で世界史を学ぶと楽しそうだと感じた。


【追記】
世界をアップデートする方法、というタイトルが適当かは微妙。このタイトルを掲げるなら、過去の思想の総括り的な章が欲しかった。そんなことが可能かはわからないが…。「ここから先は君の目で確かめてくれ!」と、昔のゲーム攻略本的な締めには少々違和感を覚えた。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

タイトルだけで選んだけれど、サブタイトルの哲学思想の学び方、まで読んでなくて、思ってた本じゃなかったパターン。

本の大部分は、世界史において、人々の考え方がどのように変遷してきて、それぞれ社会にどのような影響を与えてきたかをなぞっていく。
(社会思想史と言うらしい)

個々の哲学や思想については、2、3ページごとの説明なので読みやすい。かなりとっつきやすい本。

世界史をいつもの政治や戦争とは違う切り口で追いかけることのできる本。

世界がどうアップデートされてきたかは学べたが、これからどうやってアップデートするかは、あまり書かれていない。

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2024年10月08日

Posted by ブクログ

哲学や思想を「固定観念の破り方」という観点から読み直した思想史的な試み。

なるほどと思うところもあれば、いやそこはちょっと違うなとか思いながら読むわけだけど、まあ、そうやって頭が活性化することが「正しい」理解より大事なことなんだろうと思う。

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2024年02月27日

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