【感想・ネタバレ】繭の中の街のレビュー

あらすじ

歴史の中で多くの出会いを見届けてきた神戸の街を舞台に、様々な形の出会いと別れを描く傑作短編集。ある時は運命的な男女の出会いを、ある時は破滅的でさえある恋を、またある時はパラレルに存在する神戸での不思議な邂逅を描く。読後感も、時にはジャンルさえも全く異なる独立した物語である一方で、それらは確かな繋がりを持ち、それぞれに響き合って作品世界を美しく彩る。読み終わった後、必ず誰かと語り合い、分かち合いたくなるような魅力に溢れた1冊。

『エデンの102号室』
大学受験に失敗し、モラトリアムに生きる布珠は、異人坂でどこか浮世離れした男性、シンと出会う。博識な彼に日に日に惹かれていく布珠は、ある日、シンの部屋で書きかけの神話を見つける。

『let’s get lost』
目まぐるしく変わっていく、どこかで見たような視界。あるいはどこかで聴いたような世界。そのなかでかつてあった大切な存在について想いを馳せる、一人の男性の物語。

『つめたいふともも』
就活に苦戦する大学生の明彦は、兄の知り合いである美羽という女性と偶然知り合う。磊落な美羽に心の癒しを得る明彦だが、やがて彼女に隠された重大な秘密を知ることになる。

『赤い恐竜と白いアトリエ』
ガントリークレーンの操縦士である左巴は、刹那的で衝動的な生き方をしている。そして、彼女の働く会社の傍のコンテナには、ただ白い絵を描き続ける一人の画家が棲んでいた。

『秋の午後、神様と』
九歳の「わたし」は、さびれた神社で覇気のない神様と出会う。

『プロフィール』
かつて地上に棲む人間と分かたれた、翼を持つ一つ目の種族が存在する世界で、港湾労働者として苦役する足守大地は彼のプロフィールに興味を持った一人の≪一つ目≫と邂逅する。

『待ち合わせの五分前(おわりとはじまりの詩)』
初めて出会う相手との待ち合わせに向かう五分前を、街が見守っている。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「ただ、しあわせそうにしてるだけで世界を救っているんだよ」という言葉に出会えて、この本を読んで本当に良かった。

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2024年08月31日

Posted by ブクログ

恋や愛をテーマにした(と思われる)お話が、全部で6話載っています。彩り豊かな言葉たちが紡ぐお話は、どれも芸術品のよう。文字で何かを表現する人が目指す、頂のようなものを感じました。

0
2025年09月01日

Posted by ブクログ

大人のメルヘン、大人のファンタジーのような本。

神戸の街が舞台で、震災前の街の様子そのものがメルヘンチック。

様々な人との出会い、様々な生活、様々な生き様。
一つ一つの話はバラバラなようで、
最後のところで、つながっている。

0
2024年12月20日

Posted by ブクログ

この人の表現は
なんだか独特でとっても好きだ。
不思議な世界。
短編集でバラバラなんだけど
全部引き込まれた。

0
2024年05月13日

Posted by ブクログ

不思議な空気感の短編集。表現が繊細でまっすぐ。どの話も好みだった。
特に一つ目の天使みたいな彼女が出てくる『プロフィール』が一番好きだ。
そう言えば著者の『レペゼン母』も良かった。他の本も読んでみたい。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

読みたい!って思ってないのに
なぜか手にしたので読んでみた

よかった
羽生えてる目が1つの話が特によかった
幽霊同士の話もよかった
蚕育ててみた話もよかった
学ランの神様もよかった

なんだよ!
短編じゃなくて長編で読みたいよ!
って思ったけど
短編だからいいのかも
でもどれも
長編読んだくらいの濃厚さがあった
そいでどれも
てんでバラバラなのがよかった
1冊で何冊も読んだ感じ

満足したので星は4つ

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2024年02月11日

Posted by ブクログ

レペゼン母から著者をたどってこの作品。独特の世界観が既視感。だいぶ前に亡くなった人と貴重なひと時をすごす夢現みたいなストーリー。確か桐野夏生さんの作品にこんな作品があったような。レペゼン母がめっちゃ感動作だったのでちょっと期待ハズレでした。

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2024年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんだかちょっと不思議な世界観の短編集。
短編集であるあるだけど、すごく楽しめるものと何だかあまりハマらない作品があった。
就活中で恋人とも何だかうまくいっていない大学生が花屋で兄と知り合いの女性と知り合う話が楽しかった。気功を教えているというその女性に惹かれる主人公。えーどうなっていくの?と思ったら、その女性の正体は…まさかの別れさせ屋。婚約した兄を婚約者と別れさせようとした元彼女が依頼した人物だった。さらに、実は同時に婚約者からは浮気癖がないかチェックするためにも依頼されていた。

あと小さな神社にいる神様の話も好きだったー!めちゃくちゃ短くて、これは続き読んでみたい。

最後の羽の生えた一つ目の種族の話は何かわかるような、何だかファンタジーのような、でも現実感もある不思議な感覚の話だった。

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2024年04月16日

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