あらすじ
「都合ついたら、明日からでも出て来てくれないか」
林達夫に呼ばれて行った先にあったのは『細雪』の校正刷りだった――
岩波書店と中央公論社で校正者として赤ペンを握ること三十有余年。
伝説の校閲部部長が、誤植列伝から普遍的な校正の心構えまで、ユーモアたっぷりに綴る。
新たなコラム三篇と新・校正練習問題を付す。〈解説〉牟田都子
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Posted by ブクログ
校正してる人だけでなく何かを書いてチェックする人みんなに読んで欲しい……。あと新旧かなづかいの両方知ってる校正者さんの話たいへん興味深かったです。
Posted by ブクログ
著者の長谷川鑛平氏は明治41年、1908年のお生まれ。岩波書店、中央公論社で長く校正を担当された方である。私と勤め先こそ異なるが、同じ業界の大先輩に当たる方が出した書籍。その名も『本と校正』なのだから背筋を正して読みたくなる。
本書は増補新版だが、底本となった文庫は1965年の刊行だという。60年も前の書籍だが、「解説」で校正者の牟田都子さんも書かれている通り、全く古びていない。確かに当時の主流だった活版印刷は廃れてしまった。しかし、校正者に流れる精神は決して変わっていないのだ。本書に書かれていることの逡巡や悩みの多くは現在の出版界でも共通のものである。
私が校正に携わってからの20年でさえネットの普及により仕事の仕方はだいぶ変わった。長谷川氏の時代には何と戦中の検閲があり、戦後も旧かなづかいから新かなづかいへと大転換が起きた。当時のこぼれ話は、校正に興味がある人には垂涎ものだろう。オーサーシップをおかすようなことは、あってはならない。先達からのメッセージをありがたく受け取った。