あらすじ
☆★「ビギナーズ・クラシックス 中国の古典」、日本人にも馴染み深い、中国明代の小説を刊行開始!★☆
明代中国で作られた『水滸伝』は「四大奇書」の筆頭とされ、江戸時代以降の日本文学にも多大な影響を与えた。108人の好漢が暴れまくり、腐敗した権力を打倒していく物語は、時代を超えて愛され続けている。全ての回のあらすじを収録し、原文の喋り言葉を活かした現代語訳と行き届いた解説によって、長大な物語の面白さと奥深さを一挙に愉しめる。魅力ある登場人物たちはどこから来たのか、物語の背景に迫るコラムも充実。
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Posted by ブクログ
ページ数は薄いが詳しい解説が付いているのでダイジェスト的に水滸伝の粗筋が理解できる。水滸伝というと北方謙三の大水滸伝かコーエーのゲームぐらいしか思いつかないが本書を読むと原典の面白さあっての古典である事が改めて分かった。
百八の渾名とキャラの設定は当時としても最大ではあるまいか。王進がいつの間にか登場しなくなったり、史進が後半は精彩を欠いたりそもそも梁山泊が政府側になったりと妙な構成なのも各地の面白い話の継ぎ合わせという事で理解できた。特に武松の話は別世界線で金瓶梅(正確なタイトルは忘れた)とかいう別作品になっているのも面白い。
林冲が張飛に容貌が似てたり関勝なる関羽みたいな奴が出てくるのも人気キャラをオールスターで登場させるというアベンジャーズ的な発想。
本書を読んで特に興味深いのは李逵と魯智深の扱いの違い。どちらも武力特化型の豪傑でユーモアも感じられるが李逵の方はターミネーター的な殺人を容易く行う危険人物で宋江が死へ道連れにするのは印象的である。魯智深の方は人間としての深みがあり僧侶としての大成するというのは本書で知った。個人的にはこの2人と大悪党高俅が作品に彩りを与えていると感じた。
Posted by ブクログ
『水滸伝』のダイジェスト紹介。多くの解説やコラムによって、水滸伝以前の語り物が内容の変遷やキャラクター造形にどのような影響を与えているかがわかるようになっている。