【感想・ネタバレ】なぜ世界はそう見えるのか 主観と知覚の科学のレビュー

あらすじ

なぜ同じものを見ても、人によって捉え方が異なるのか? 事実の認識にズレを生む〈知覚〉の正体に迫る。


全員が同意する「客観的な世界」は存在しない


友人と一緒だと、坂の勾配がゆるやかに見える。
糖分を摂取すると、物までの距離を短く見積もる。
嫌悪感を抱きやすいと、政治的に保守になりやすい。

見る人によってはもちろん、同じ人でもその時々で、世界の見え方や物事に対する考え方は大きく違ってくる。
なぜ、そんなことが起きるのか?

事実の認識にズレを生む〈知覚〉の正体に心理学・科学的に迫り、個人だけでなく、社会や人類への影響までも俯瞰する。


:::::::::本書の推薦のことば:::::::::
人間というものを理解したい人は――それが部下に効率的に働いてもらうためであれ、人を幸せにするためであれ、他者の選択に影響を及ぼすためであれ――(……)人間の経験をとらえ直すところから始めねばならない。
――ハイディ・グラント『人に頼む技術』『やり抜く人の9つの習慣』著者

このうえなく刺激的で、読みやすい一冊。
――メルヴィン・グッデイル『もうひとつの視覚』共著者

だれもが蒙を啓かれ、読書の愉悦にひたることだろう。
――スコット・バリー・カウフマン『FUTURE INTELLIGENCE』共著者

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

身体が考えを創るという考えが自分にもしっくりくる。
ただ事実を述べるだけでなく、バイアスを避けるための実験結果に触れているところもよい。
手にしろ目にしろひふにしろそこから入ってくるもので自分たちは判断していることを肝に銘じる

0
2025年02月10日

Posted by ブクログ

恐怖に駆られると、大きく見えたり近く感じたりする。
手が先にできて、それを使いこなせるように、脳が発達した。
VRを通すと、知覚に変化が出る。
稲作の地域は協力しないと米が作れないので、協力的。逆に麦やとうもろこしを作っている地域は、それほど協力しなくてもなんとかなるので、個人的。

0
2025年01月15日

Posted by ブクログ

暗黙知とは、どこか交わらないのが面白い。生命現象としてよりも、人権や集団認知の有り様に主軸があるのかな。
ガットフィーリングや、流暢性の話は、交わってもよさそうだった。

フェイクニュースと身体化の話は、今の兵庫、立花事件そのものだな。もろブルシッターだもん。経験則によるコスト低減化を採用してしまう、真理の錯誤効果。

古来の日本文化は、うつ病対処の末に確立してきたのかもとも、思った。そうでもしないと、やってられないと。和歌や短歌への無常観を写す感性などね。

末期の京都も住みヅラかったのだろうな。
帰属から外れる、現代の寄るべ無き民、ネット民か。

0
2024年12月24日

Posted by ブクログ

ヒトが認知している「ものごと」は、外界を忠実に映し出したものではなく、なんらかの偏りを経た結果であることを書いた本。
まあ「バイアス」なのだが、この語は特定の偏りについて用いられる傾向があるので適切なのかわからない。
本書は「アフォーダンス」についての本だと述べるのが適切なのだが。

特に面白いのが身体の状況によってヒトの認知が変わってくるということ。
坂道がどれほどの角度だと思うかは、坂の登りやすさによって異なる(元気な体育会系は緩やかな角度を答え、高齢者や身体の不自由な人は急角度を答える)。
その一方で自分の身体で角度を示すと誰もがかなり正確な回答をする。

このように、大脳を経由した「考えた結果」と、半ば反射的ともいえる「身体反応」に乖離があることの事例はほかにも紹介されている。
脳外科手術によって脳の一部が傷ついて視覚に損傷を受けた人についての報告。目の前のペンを識別できずぼんやりした円と認識しているのに手渡されたペンを正確に受け取ることができたり、障害物のある場所できちんと障害を避けながら歩けたりする事例があるという(つまり、脳内で映像化する機能とは別の機能が生きているということ)。

大脳を経由した認知は、外界を忠実に映し出したものだと思いがちだがそれは思い込みだという話だ。
身体だけでなく、感情や社会条件によっても左右されることを述べていく本であるが、身体について述べたところが私は面白くって、後半はそれほどではなかった。

ーーーーーーーーーーーーー
なお、個人的に面白かったのは
「単語の音とそれが表す意味とは互いにつながりのない恣意的なものであり、記号表現シニフィアン(単語とその発音)は、記号内容シニフィエ(それが言い表す対象物や概念)とは無関係であるという…ソシュールが祖になった構造言語学」
の伝統的な考え方に真っ向から対立するという主張である。
それは次のものだ。
●「小さい」を表す形容詞は閉じた口の形で発音される⇒little、tiny、petite、chiko(スペイン語)、peti(フランス語)、ミクロス(ギリシャ語)、チイサイ(日本語)
●「大きい」を表す形容詞は開いた口の形で発音される⇒large、huge、humongous、gordo(スペイン語)、grand(フランス語)、マクロス(ギリシャ語)、オオキイ(日本語)
この主張の真偽はわからない(サンプルが少なすぎる)けど、興味深い。

0
2024年11月02日

Posted by ブクログ

本棚に追加するかとても迷うけど読み返すことがなさそう…でも人に勧めたいしすごくいい本だ悩ましい。4.5にしたい。

発達(赤ちゃん)や子育て、差別など主観と知覚をテーマに取り上げられていてどれも興味深い内容だった。翻訳が読みやすいのもだいぶ救いになっているありがたい。。

あなたが世界を見ているのではない。あなたが見ている世界を見ているのだ。

客観視なんて概念はないのかもしれない。みんな見え方考え方が違う。生きていればなんとなくそれは分かるけれどこの本を読むと明確に違うことがわかる。全てが違う。怖くもあるが面白くもある。

0
2024年09月04日

Posted by ブクログ

 人の知覚、感情、思考は、脳だけでなく、自らの身体的特徴、今いる環境、育ってきた文化に大きく依拠することを心理学的知見からわかりやすく解説する一冊。
 いわゆる決定論の立場に連なるが、宿命論ではなく、人の感情・思考もまた同じように外部の影響を受けて変われる、ということを明らかにしてくれる。
 昨今、AI(人工知能)が進化し、人間も「脳」の重要性がクローズアップされるが、身体、環境、文化の影響を受けるかどうかで、AIと人間とは決定的な差異があると感じた。

0
2024年02月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

思考が世界を理解するのでなく、肉体(五感)の知覚が思考に大きく影響する。
逆に知覚を反応させることで思考に影響を与える(偏見やバイアスを増減する)ことができる。
自分の中にある偏見は、人類の先祖がどのような暮らしをしてきたかによって現代まで伝わっているというのはちょっと眉唾だが一定の説得力はある。

0
2024年10月04日

「学術・語学」ランキング