【感想・ネタバレ】星降るシネマの恋人のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

結末が気になって気になって一気読みしてしまった。
タイムスリップして1945年の熱海に、そして推しである映画俳優の目の前に辿り着いてしまった雪。
まさか未来から来たとは言えないから、彼から完全に不審者扱いされてしまった彼女は記憶喪失として振る舞って何とか彼の元に置いてもらえることになったが……
熱海に直接の空襲はないとはいえ戦時中。
平和とは言い切れない中、何とか暮らしていこうとしても、当時の台所ひとつ取っても現代と勝手が違うからなかなか戦力になれない雪。
しかも、あるトラウマも持っていたから、余計にややこしいことに。
本職である映画館のスタッフの経験を活かして、タイムスリップ先でも映画館を手伝う雪は、この先どうなってしまうのか。

タイムスリップもので先が気になる要素は多々ある。
元の時代に戻れるのか。
知っている悲劇を回避できるのか。
この時代の人と恋仲になれたとしても、元の時代に帰るとなると別れは必須。
その恋の結末はどうなってしまうのか。
などなど。

雪の場合、どうすれば戻れるのか分からない。
推しである彼の悲劇を知ってはいるが、それが回避できるのかも分からない。
そもそも彼の雪との出会いの第一印象が最悪なため、二人のロマンスとしても険しい道だ。
結末が全く読めなくて、とにかく先へ先へと読み進めることに。

前述通り、彼の好感度が寧ろマイナスからのスタートだったので、推しとどうにかなるとは思えなかった雪。
雪自身も彼の態度があんまりなので、最初は推しのそっくりさんとして切り離して見ていたほど。
なので、彼女はまず町の人たちとの交流や映画館を盛り上げることで信頼を勝ち取るところから始めなくてはいけたかったし、実際その点が丁寧に描かれていた。
戦中なのに映画?と不思議ではあったけど、後書きを見る限り、実際に映画上映自体はされていた模様。
プロパガンダ映画は上映するかと納得。

日々のこつこつした積み重ねで徐々に、本当に徐々に近づいていく二人。
それが中盤以降一気に急接近したのには驚いた。
文章中にもあったけれども、脈絡なしに告白したので。
しかも銃撃のあった直後に。
最初はええ!?となったが、今から思うと二人に残されている時間が少なかったのも理由の一つだったのかもしれないと思った。
何しろ彼は雪のいた時代にまでは伝わっていなかった秘密を抱えていたから。
その秘密が明らかになってからの終盤の怒涛の展開は必見。
気になっていた元の時代に帰れるのか、悲劇は回避できるのか、そして二人の恋の結末は、その答えは全て終章に。

どうしてああいう結末になったのか、彼の抱えていた秘密を考えると納得の展開。
あの状態で結ばれても、今回のような結末には辿り着けなかっただろう。
長続きしない筈なので。
あまり多くを言うとネタバレ過多になってしまうので詳細は避けるが、一つだけ。
大スターがフィルムの中で確約したのは「ハッピーエンド」
この物語は確実にハッピーエンドである。
そして読み終わった後は、タイトルと表紙の二人の持つアイテムの意味を噛み締めて欲しい。
気付いた時には本気で泣きそうになったので。

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2023年09月30日

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