あらすじ
「ウニを倒すと海が平和に!?」
海の砂漠化を防ぐために奮闘するプロダイバーが綴る
今の“海のリアル”がわかる新感覚の冒険譚エッセイ!
「ウニを駆除するなんてもったいない…」、ほとんどの方がそう思われるのではないでしょうか。
しかし、“磯焼け”と呼ばれる海の砂漠化現象の原因の一つとして、海藻を食べ尽くすウニの増殖が現在深刻な問題となっています。
本書では磯焼けを防ぐために、長崎の海でウニ駆除はじめ、
5年以上にわたって環境保全活動を続けるプロダイバーの記録をまとめました。
「ウニは割っても2日は生きている?」
「大きいウニほど中身がスカスカ?」
「海中には獣道ならぬ“魚道”が存在する」
「海藻は人間界でいう森と同じくらい大事」
「ウニよりやばい黒幕の存在」 etc.
ウニ駆除や海藻の育成など、著者が環境保全活動を通してわかった、海の生態をたっぷりと紹介。
面白くてためになる、そして読むと自然に対してちょっと優しくなれる新感覚の冒険譚エッセイです。
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Posted by ブクログ
読んで良かった!
自分の知らない世界を覗くことで知見が広まったと思う。生態系の中で何か異常があった時、どれかに狙いを定めてそれが悪い。と言うことは簡単かもしれないが物事はそう簡単ではないと言うことを学ぶことができました。
文章も軽快で読みやすく、海に潜るのが苦手な私でも想像がつきました。スイチャンネルを今度見てみようと思います。
Posted by ブクログ
内容もさることながら、編集者の力が感じられる本だった。
中身は極めてちゃんとした、海の環境保護の話なのだが、それでは売れないし読んでもらえない。
で、この劇画調?の表紙と、ゲームを連想させるタイトル。これでかなりの目を引く。
さらに写真とイラストによる説明が適度に入っていて、海の環境や生き物を知らなくてもわかるようになっている。文章は面白く読みやすい。
読んでみると、ただウニを駆除しているというのではなく、日本の海の環境がかなりひどい状態になっており、それをどう改善するかという重大な話なのだが、磯焼けがそもそもなぜ起こったのか?、海藻激減の犯人は?など謎解き要素を入れて、深刻になりすぎないよう工夫されている。
もちろん著者本人の技量もあるだろうが、構成などは編集者の工夫がかなりあったのではないかと思われる。
磯焼けがこんなに深刻だとは知らなかった。また、磯焼けと一口に言っても場所により原因も対策も異なることが、日本の漁業者の間で共有されていないことは大きな問題である。さらに、本来環境保護が仕事ではなく、(環境保護の)知識や技能、経験の少ないない漁業者だけにこの問題の対応をさせるのは間違っており、学者や行政も一丸となって対応すべき問題であるということも読んでよくわかった。
しかし、一丸となるのを待っていたのでは磯焼けが進むばかりなので、できることから進んでやっているのが著者なのである。
おわりに書いてあるように、磯焼けの大きな原因として温暖化(海水温の上昇)は否定できず、これに関してはもっと真剣に取り組んでいかないと大変なことになる。ウニを悪者にしないでほしい、と書かれているのも、本当の原因は人間が作っているからである。
温暖化の深刻さもよくわかるし、ウニや海藻の生態も面白いし、読んで良かった。
この人をYouTubeから発見して本を書いてもらおうと考えた編集者はスゴい。って、編集者ばかり誉めてるけど、著者もスゴい。
広く読まれてほしい。