内容もさることながら、編集者の力が感じられる本だった。
中身は極めてちゃんとした、海の環境保護の話なのだが、それでは売れないし読んでもらえない。
で、この劇画調?の表紙と、ゲームを連想させるタイトル。これでかなりの目を引く。
さらに写真とイラストによる説明が適度に入っていて、海の環境や生き物を知らな
...続きを読むくてもわかるようになっている。文章は面白く読みやすい。
読んでみると、ただウニを駆除しているというのではなく、日本の海の環境がかなりひどい状態になっており、それをどう改善するかという重大な話なのだが、磯焼けがそもそもなぜ起こったのか?、海藻激減の犯人は?など謎解き要素を入れて、深刻になりすぎないよう工夫されている。
もちろん著者本人の技量もあるだろうが、構成などは編集者の工夫がかなりあったのではないかと思われる。
磯焼けがこんなに深刻だとは知らなかった。また、磯焼けと一口に言っても場所により原因も対策も異なることが、日本の漁業者の間で共有されていないことは大きな問題である。さらに、本来環境保護が仕事ではなく、(環境保護の)知識や技能、経験の少ないない漁業者だけにこの問題の対応をさせるのは間違っており、学者や行政も一丸となって対応すべき問題であるということも読んでよくわかった。
しかし、一丸となるのを待っていたのでは磯焼けが進むばかりなので、できることから進んでやっているのが著者なのである。
おわりに書いてあるように、磯焼けの大きな原因として温暖化(海水温の上昇)は否定できず、これに関してはもっと真剣に取り組んでいかないと大変なことになる。ウニを悪者にしないでほしい、と書かれているのも、本当の原因は人間が作っているからである。
温暖化の深刻さもよくわかるし、ウニや海藻の生態も面白いし、読んで良かった。
この人をYouTubeから発見して本を書いてもらおうと考えた編集者はスゴい。って、編集者ばかり誉めてるけど、著者もスゴい。
広く読まれてほしい。