あらすじ
舞台は昭和初頭の神楽坂。影の薄さに悩む大学生・甘木は、行きつけのカフェーで偏屈教授の内田榮造先生と親しくなる。何事にも妙なこだわりを持ち、屁理屈と借金の大名人である先生は、内田百間という作家でもあり、夏目漱石や芥川龍之介とも交流があったらしい。
先生と行動をともにするうち、甘木は徐々に常識では説明のつかない怪現象に巻き込まれるようになる。持ち前の観察眼で颯爽と事件を解決していく先生だが、それには何か切実な目的があるようで……。
偏屈作家と平凡学生のコンビが、怪異と謎を解き明かす。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
病室での内田先生のドッペルゲンガーとの邂逅は油断した。話しぶりに更に油断した。
甘木さんが内田先生のドッペルゲンガーに啖呵をきったのはかっこよかった。
宮子さん、そんな気軽にドッペルゲンガーに頼み事しちゃって。宮子さんのドッペルゲンガーも危ないと分かっててお手伝いしちゃって。対策出来てないけどちゃんと忠告は聞いているから危ないと怒るに怒れない。
百聞は一見にしかず。
怪異なら尚更だなと思ったり。
Posted by ブクログ
内田百閒をモデルに、彼とその教え子が遭遇する不可思議な事件・怪異との出会いを描いていく連作集。メインとなる怪異はドッペルゲンガーなのだが、これがとても面白く活きている。確かに、ドッペルゲンガーに会うと死ぬと言われているが、ドッペルゲンガー側はどうなるのか。そして、自分以外のドッペルゲンガーに会うとどうなるのか。そこにひとつの解釈・設定を持って世界観ができている。
日本の文化と西洋の文化が丁度混ざり合う時代を舞台に、現か夢か、虚構か真か分からないものが混ざり合う日常を読んでいて、ぞっとするような、どきどきするような、期待と恐怖の入り混じる心持ちで読んだ。やはり明治・大正時代への憧れは尽きない。
Posted by ブクログ
昭和初期の神楽坂が舞台。存在感の無さに悩む大学生、甘木くんと、偏屈な大学教授、内田先生は、行きつけのカフェーで同席したのを機に親しくなる。先生の背広を間違えて着てしまった甘木くんは、何故か怪異に遭遇するようになり、内田先生とともにその謎に迫っていく。
短編集ではあるけど、順番に読んでかないとダメなやつ。最初はまあまあ怖いかな、という感じなのが、読み進むうちにどんどん怖さが増してきて…。ドッペルゲンガーの話でヒェ〜となり、若くして亡くなった伊成くんの話では悲しみも加わって、胸が締め付けられる。
私は内田百閒を名前くらいしか知らなくて、読み終わってから調べてみた。偏屈で借金大王で、鉄オタで…夏目漱石に師事し、芥川龍之介とも交流があったという。物語の中でもそういう事には触れているので、彼のひととなりを知ってから読むとより面白いのではないだろうか。
甘木くんは、そんな内田先生と良いコンビだ。途中、ある理由から疎遠になってしまうけど、また元鞘に納まってから話は終わる。続きがあったら、ぜひ読みたい。
ノスタルジーを感じるブックデザインも良き。
Posted by ブクログ
悪くはなかった。
内田百間の帽子や背広がイメージしづらい。表紙の絵も違う気がする。筆者のビブリアシリーズと異なり、現代を描いたものではないから、私の脳内では映像化が難しかった。
性格もよくわからず。
ドッペルゲンガーとの対決は、ちょっと呆気ない感じ。
Posted by ブクログ
昭和初期の神楽坂。行きつけの喫茶店で教授・内田榮造と知り合い甘木。 先生と行動するうちに徐々に得体の知れない怪奇現象に巻き込まれるようになる甘木。 『ビブリア古書堂の事件手帖』の作者さんだからもう少し軽いかと思ったら割としっかりした怪奇現象だった。 面白かったし、もっと読んでみたいな。