あらすじ
季語と向き合い、おそるおそる句会に挑み、歳時記を友に歩んで10年余。日常の風景を一句に仕上げる工夫や上達法は、言葉を生業とするエッセイストならではの発想で、まねしたくなるものばかり。季語力を鍛える句会の醍醐味、経験から得た投句や選句のコツもお伝えします。「味わっても味わいきれない、奥深い趣味と出会えてから、私は年齢を重ねることがあんまり怖くなくなりました」一生ものの趣味へ誘う等身大の俳句入門。
【目次より】
はじめに
第一章 季語は頼りになる味方
季語があるから俳句ができない?/覚えなくていい/歳時記が手元にあれば/ふとしたシーンが俳句になる/季語の他に入れるもの/古くさい決まり事?/そもそも季語とは
第二章 こんなに豊かな季語の世界
季語の「本意」を知る/入れ替えてみてわかること/ムードを変える力/置くのではなく、働かせる/「響き合う」ということ/経験を超えて/これも季語だとは!/詠み尽くされることはない
第三章 季語力を鍛える句会
句会は怖い?/「兼題」「席題」「吟行」/場数を踏むと力が抜ける/参加すれば早く伸びる/スリルが快感/読み手の想像に委ねる/「詠む」と「読む」は両輪/投句はぶれろ、選句はぶれるな/自分に合った句会を探す
第四章 「あるある俳句」と「褒められ俳句」
句会は道場/「あるある俳句」/「褒められ俳句」
第五章 歳時記は一生の友
一年目の句と今の句/自我を手放す/俳句と禅/言葉に出す、形にする/初心に返る/迷ったら戻る場所/エッセイと俳句と/歳時記は一生の友
おわりに
文庫版あとがき 俳句の門は開いている
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私自身は俳句を詠むでもないし、普段から俳句に親しんでいるわけでもありません
せいぜいが『プレバト』や『NHK俳句』あたりを見る機会があるといった程度
そんな初心者……どころか門外漢な自分にもスッと伝わる一冊で、大変興味深くそして面白かったです
俳句の実例を出すことで、素人ながらに読んでいて「確かに……選ぶ言葉一つで感じ方が違うわ……!」なんて実感できるのも大変わかりやすいポイント
読んでいて、先ほど名前を出した『プレバト』の夏井先生が番組内でおっしゃっているあれやこれやが脳内に浮かんできました
季語を大切に、ありのままを詠む、読者を信じる、などなど
俳人と一口に言っても考え方は色々で、そこに個性が出るのだろうけど、そんな中でも共通して持つべき俳句の根底のようなものを感じる事が出来ました
『もっと詳しく描写して』
『ここまで描く必要はない、その先は読者にゆだねて』
このあたりの違いも今まではよくわからなくて「いやどっちだよ!」なんて思ってたのですが、これも納得できるような文章を読む事が出来て大満足です
俳句も詠まないのにこの本を読んだだけで知ったような気になるのもどうかとは思うのですが、それでもこの本を読んだ事によって俳句への理解は深まったなと、そこは確実に感じています
元が0だから、そりゃ深まるしかないよねって話でもあるんですが(笑
以前読んだ高浜虚子の句集に確か書いてあったのですが「何某かに飾られた俳句を一度でも目にしたことがあるなら、それはもう俳句の世界に入門しているのです」みたいな発言をされていて(めっちゃうろ覚えですが)、そんな俳句の世界の懐の深さを感じることのできる一冊でした