あらすじ
202X年のある夏の日、シコタン島(色丹島)の墓地で祈りを捧げていたロシア人老夫婦が、丘の上から半透明のヴェールが近づいていることに気づく。不思議に思った二人が手をつないだままその壁に触れたとき、彼らの腕は「消去」した――。触れた人間の肉体のみが消去される「ウォール」と名付けられたこの巨大な壁は、1日に20km程度という遅さながら、やがて北海道に上陸、本州も射程に、徐々に西へと、人々を飲み込んでいく。本土上陸から首都圏到達まで1か月ほどしか猶予はない。真実とデマが入り混じりながら拡散され、日本はパニックに包まれていく。「ウォール」が暗示するものは、人類を奈落に突き落とす自然災害や疫病であり、経済格差によって人々を「分断」するものであり、無慈悲な「神の制裁」であり、極めて「平等な存在」である。唐突に出現したこの得体のしれない凶器に、人間は科学と人智をもって対峙しなくてはいけない。善悪を問わず本性をむき出しにする人間たちをあざ笑うかのような「WALL」。果たして結末は――。著者渾身の書き下ろし。一気読みのパニックSFミステリー。
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Posted by ブクログ
まったく新しい読書体験。まるで映画を観ているような気分になるほど、内容が壮大なスケールで描かれたパニックSF小説。シン・ゴジラに近いものを感じたな。
ある日突然現れた「壁」は人工のものなのか、自然によるものなのか?途中で「壁」が東京を通過し、その後の東京の描写が今でも忘れられない。
個人的には映像化が難しい分類に入ると思ってるが、ぜひ映像化して欲しい。。できるなら山崎貴監督のVFX技術で。
Posted by ブクログ
タイトルの"WALL"という言葉を見て、誰しもが"壁"を想像すると思う。
ただ、同じ"壁"でも物理的、心理的など様々の見方がある。
この本の面白いところは、一つの事象を対象に複数の視点から物語を描いているところ。
切羽詰まった状況の中でどのように考え、行動するのかにその人の本性が出るというが、その姿がありありと思い浮かんでくる。
周木さんは他にもミステリー小説を多数執筆されているとのことで、他にも読んでみたいと思える作品だった。
Posted by ブクログ
初めてパニックSFを読みました。
読む前に想像していたより人間ドラマのような展開で感動した。
SFだから現実には起こらないことだけれど、そこに科学の要素を盛り込んでいて面白かった。
日本の政治やマスコミ、SNSなども
リアリティ感がある
Posted by ブクログ
絶望的な設定。
政府のやり取りが良かった。頭の硬い老害ムーブかます人もいたりしてリアルだった。
窮地に陥った時の人間ってこんなに醜くなるんだなと感じた一方、善意を持って助けてくれる人もいて、色んな姿を感じられた。
ラストは綺麗におさまったなと思いました