あらすじ
YouTubeでホームレスを取材し続ける、元芸人による渾身のノンフィクション。
自らの意思で家に帰らない、Z世代ネオホームレスのリアルに迫る。
ホームレスと聞いて、「貧困」「路上生活」などを想像する人は多いのではないだろうか。
しかし近年、10~20代といったZ世代のホームレスが増えている。
実家が裕福であったり、未成年ながらサラリーマンの平均以上の収入を稼いだりする者。
決して路上には根を下ろさず、ホテルやマンガ喫茶で生活をする者など、彼らは従来のイメージとは一線を画す。
もはや貧困だけが理由ではない、まさに新時代の“ネオホームレス”と呼べるのではないか。
ではなぜ彼らはホームレス(=家に帰らない)という生活を選んだのか。
パパ活、毒親、推し、トー横界隈など
その背景には、近年度々取り沙汰される社会問題が切り離せない。
本書では、YouTubeで反響の大きかった者含めて、4名のZ世代ネオホームレスに密着取材。
動画では載せきれなかったエピソードのほか、追加インタビューやの著者が交流する中でわかったことなど。
彼らの生き方を通して、先の問題に警鐘を鳴らすルポタージュ。
貧困だけでは語れない。求めるのは、息のしやすい場所―。
あなたの子どもは大丈夫ですか?
カバーモデル:戦慄かなの
■出版社からのコメント
青柳さんは、ホームレスの方を救いたいといった大義がある訳ではない。社会的な活動家でもない。しかし、“無知”をまったく恥じない人だ。だからどんな相手にも敬意を持って話を聞く。その度に驚き、笑い、悲しみ、また質問を重ねる。その等身大の姿と、“知りたい”という純粋な欲求を目の当たりにすると、人はつい本音をこぼしてしまう。私もそんな彼の魅力に憑りつかれた一人です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
YouTubeを観て興味を持ち、本を読みました。
アットホームチャンネルの青柳さんのお人柄が、なんとも素晴らしいと思います。
最初はわからなくても、何度か青ちゃんに会ったホームレスさんたちは、やはりどこか社会に順応できない何かを持っている気がします。
それが悪いということではなく、むしろ「無理に合わせない強さ」や「人間らしさ」を感じました。
一人ひとりのホームレスに真剣に向き合う青柳さんの姿に、胸を打たれます。
どんな境遇の人にも敬意をもって接する姿勢に、深い優しさと覚悟を感じました。
読んでいて特に印象に残ったのは、「経済的自立」と「精神的自立」という考え方です。
どちらかが著しく欠けていると、誰でも些細なきっかけで生活が崩れてしまう。
ホームレスになることは特別な人の話ではなく、誰にでも起こり得る現実なのだと気づかされました。
この本は2023年に発売されたもので、今もYouTubeで活動が続いています。
読んでいて、「コロナ禍が若者の性格を変えてしまった可能性があるのでは」と青柳さんに同感でした。
あの空白の数年、人と接してはいけなかった時間の中で、世界中が“普通に鬱になる社会”になっていた気がします。
ホームレスの取材では、軽い障害を持つ方々も登場します。
そんな方たちが生き抜いていくのは本当に大変な社会です。
障害を持っていない人でさえ、今の世の中を生きるのは辛く、しんどいことが多い。
家族も、学校も、仕事も…すべてが上手くいくなんて、きっと誰にもないと思います。
そう考える人を「可哀想」と思う人もいるかもしれません。
でも、私も青柳さんと同じように「知りたい」のだと思います。
一筋縄ではいかない人生や、人間という動物の中でどう生きるのか。
それを知りたくて、私自身も日々、自我と戦いながらもがいて生きています。
ネオホームレスと呼ばれる若い世代の人たちは、ネットカフェなどに泊まりながら、帰りたくない家から逃れ、自分の力で生きようとしている。
本当に苦しい日々かもしれません。
けれど、「何が正しいのか」なんて、誰にも簡単には言えない気がします。
また、最後に、カバーモデルとして登場している戦慄かなのさんの存在も印象的でした。
彼女の過去や活動を知ると、青柳さんの伝えたい「人は変われる」「誰もが再出発できる」というメッセージとも少し重なって感じられました。
Posted by ブクログ
「ホームレス」というタイトルに惹かれて読んでみました。この本を読んでホームレスという定義が自分の中で変化したように感じます。この本では、トー横に入り浸る若者やZ世代の若者の話が書かれています。今まで自分の中でホームレスは河原や路上で生活している人だと認識していましたが、「家がある」「お金もある」けどホームレスを選ぶという若者が世の中にいるということを知りました。
そして、今の若者は「圧倒的にコミュニケーション不足だ」ということもとても共感しました。コロナ禍の影響もあると思うのですが、スマホでのやり取りが多くなる中で、対面で話す機会が少なくなったと自分でも感じています。そういう意味でも、実際に対面で話さないと相手の心情であったりを理解することは難しいと思うので、改めてコミュニケーションの大切さを感じました。
Posted by ブクログ
トー横キッズ。
親が離婚を繰り返し、性的虐待を受てもいて、家を飛び出した15歳少女。
虐待を受け飛び出した、といいつつ頻繁に帰り、企業を目指す少年。
ホストに嵌り、ホストのために2千万貢ぎ、立ちんぼをし、生活保護、窃盗、
なんでもありの女性。
離島の毒親のもとから、東京でホームレスになることで自立を図る少女。
元お笑い、現「アットホームチャンネル」YouTubeの著者が、ホームレスを追う。
著者はあくまで本人の意思を尊重。決して押し付けはしない。
話を聴いて、応援する。Youtubeを見た親からの申し出にも真摯に対応する。
「虐待」などなかったり、「毒親」でもなかったり。
今日日の子の知識ではそう呼ばれても、親の身になれば全く違う場合もある。
自分の家庭にしても、子供の立場と親の立場で考えが違うなあ、と思うことがある。
子には拘束、管理されてきた、という意識がどうしてもある。
社会人になった今は自由だが、扶養している間はある程度仕方ないと思う。
子の未熟さゆえ、という部分、親の責任意識過剰、という部分、、、
ただ幸い、この本の子供たちのような状況にはならずに済んだ。
済んだ、、などという言い方はこの本の登場人物に失礼か。
もしかしたら、こうして一人で生きていける彼らの方がたくましく、
これからの世の中を変えていく原動力になるのかもしれない。
親の言うことを聞いてぬくぬく育つ若者の方が使えないかもしれない。
しかし、、、
リスクが高すぎる。少女は売春、少年は暴力にさらされる。
自ら選んだ、というにはあまりに無知だ。
工業時代の産物の学校に押し込まれるのが正しいとは思わない、
むしろ創造性を失うと思っているが、新宿で立ちんぼ、野宿するよりはましだろう。
未来も何もない。
生きる知恵はもっと違う場所で養えばいい。
ではその場所がどこか、としっかり言えないのが情けないが。
とにかく学ぶことだ。自らの意思で。
いずれにしても、一人前になるまでは家庭、地域がフォローするべき、と思う。
今は家庭にその負担がかかりすぎているのが問題で、上記のような少年少女が
出ている部分があるのだろう。地域社会の崩壊。
家庭が経済的に困窮すればあっという間に崩壊、子供がはじき出される。
私自身二人の子を卒業させることができホッとしている。
社会が子供を一人前にできる日本にしないと、少子化はもっと進むし、
社会からはみ出す子供たちも増えてしまう。
日本の衰退に拍車をかけることになる。
もう五輪だ万博だに金をかけて経済発展、という時代ではないのだ。
ひとりひとりの市民を見なければ。
政治の方向を変えなくては。
この本を読んでそんなことを考えた。
匿名
今の日本の象徴
今政治家が必死にインボイスや、不景気なのに更に増税して失業者加速させ日本を壊そうとしているので、これから更に日本はホームレス増えると思います。自分も他人事じゃないです。
今のホームレスはスマホを持って、外観もそうは見えないという文が印象的でした。
Posted by ブクログ
内容はYouTubeの「アットホームチャンネル」の文字盤だった。だけど動画からも学べるように、文字からも学べると思う。文字からだと想像するし、特に青柳さんがホームレスを取材しようと思えたきっかけのエピソードは本だからこそ楽しめたのではないかと思う。
誰もがこのアットホームチャンネルを見るべきだと思う。
日本の今が詰まってる。生のリアルが染み込んでる。
青柳さんの優しさと懐が身に沁みる。
四の五の言わず読むか見てほしい。
Posted by ブクログ
ホームレスをYouTubeで取材する著者が見た、令和のホームレス像が細かく書かれており一気読みしてしまった。
現代のホームレスはならざるを得ないわけではなく、なりたくてなる人も一定数いるらしい。
Posted by ブクログ
私もギリZ世代。
登場する"ホームレス"たちみたいな境遇や生活の子は東京に限らず田舎でも案外いる。田舎だと生活圏が狭すぎてそういう子達は気付くと東京に行ってしまうけど。第1章のモカちゃんや第2章のユイトくんみたいな子は本当にザラにいる。学年に1人2人はいるイメージ。第3章マナミさんみたいな人は、田舎だと娯楽が少ない分逆に結婚して子供を産んで一見普通の生活をしてる。でも、大抵そういう人が親の子供が、今度はモカちゃんやユイトくんみたいになっていく。4章アヤリさんくらいの感じだったらなんのドラマ性もなく日常としてゴロゴロいる。
現代の我々世代にとって、彼ら彼女らの境遇は少しも遠いものじゃなくて、でもそれが大人たちには伝わらない。
Posted by ブクログ
うーん、虚無感。
なぜ?という思いが募ります。
youtubeを見たことはないですが、更に当事者の気持ちに移入してしまいそう。
もどかしく、ただただ将来を勝手に案じる。他の誰かに照らしているのだろうか。
青柳さんはpodcast でよく耳にします。応援しています。
Posted by ブクログ
とあるポッドキャスト配信者のツイートを見たことがきっかけ。
自分は、きっと関わることないんだろうな。っていう世界を知ることができる面白い本だった。
なぜ、ネオホームレスになったのか。
家庭環境か、思春期か。
ホームレスとしても、若くから自立して生活していこう。というやる気や度胸は尊敬した。
どの県でも、虐待をする親はきっといると思う。
ただ、関東への人口集中で母数が増えているのではないか。
また、心が親になれない大人が増えているのか。
その影響で生きづらい子供の集まりが大きくなって、パパ活、トー横界隈として目に見えるようになったのか。
と勝手に納得した。
Posted by ブクログ
子どもとの関係に悩む親にとって、一つの参考になる本かもしれない。
私自身の子はまだ乳児期だが、思春期、青年期の子を持つ友達や恩師の話を聞くと親子関係がうまく行ってないと聞く。その人自身は魅力的な人であっても、社会的にいい影響を与えている人であっても、日々共同生活をする家族にとってはまた違うのだろう、どうしてそんなことに、と思わずにいられない反発や閉じこもりのエピソード…、この本のタイトルを見て「Z世代」という意味を「新たな感性を持つ世代」と捉えて読んでみた。
Posted by ブクログ
金銭的な事情から家に住めなくなった物理的な「ホームレス」という概念や事象から、金銭的にも豊かで何不自由ない生活が送れているにも関わらず“家のような”心休まる場所がない「ネオホームレス」が、トー横やグリ下に集まっていることを耳にしたことからこの本を手に取った。
壮絶な過去を持つ少女や誰でも経験する思春期に居場所を失った少年など、その人が抱える悩みは十人十色。その悩みに大きいも小さいも他人の指標で測られるものではなく、本人がその悩みとどう向き合っていくかが大切だと著書を読み思った。「◯◯すべきだ」「◇◇はダメな証拠」など、自分の価値観で起こっていること自体を批評するのは誰でもできることで、むしろ「なんでこうなったんだろう、僕ならこうする(とか、こうしてあげたい)」と、冷静に事象を見つめられることが、とても大切な判断だと思った。
とはいえ、こうした悩みもがく人たちが少しでも減るように、私が何かできることを探りたい。
Posted by ブクログ
元々ギチとして好きで、本を出されたと聞いて購入。青柳さんの人としての優しさが伝わってくる本。
最後には、ホームレスの定義とは?という問題も出てきて、興味深かったです。皆少しでもいい方向に進めますように。
Posted by ブクログ
ホームレスやトー横キッズの実情が垣間見える内容だった。一生懸命向き合おうとした作者を尊敬する。読みながらいろいろな感情が湧いたはずなのに感想として言葉にするのが難しい。
Posted by ブクログ
作者が芸人さんだけど、お笑いではなく真面目にトー横の若者と関わっていると感じた。
関わった若者たちの未来には困難がつきまとううえ、その状況から抜け出すためにどうすべきか、この本では提示されていないけれど、それゆえに現在進行中の問題として考えさせられる。