あらすじ
「性」と「金」の地殻変動に迫るルポ___
2022年6月に成立したAV新法は、AV業界に大きな混乱を巻き起こした。
厳しい規制と1社独占の異常な搾取構造で、「仕事がない、稼げない、制限が多い」
の三重苦に見舞われるAV業界は、いまや地獄の様相を呈している。
そうした中、デジタルネイティブのZ世代の女性を中心に参入が相次ぐのが、「同人AV」というジャンルだ。
本書では、同人AV女優となったZ世代の元地下アイドル、コンサル出身のポルノハブ・プロデューサー、SNSを駆使して下着や動画を売る主婦――当事者の証言をもとに同人AV業界、性のデジタル化の実態に迫る。
取材で見えてきた「裸の格差」とは――。
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Posted by ブクログ
<目次>
第1章 絶望のAV業界
第2章 敗残者の告白
第3章 Z世代と同人AV
第4章 「適正」から逃れた官女たち
第5章 テクノロジーの功罪
第6章 バッキ―事件の警告
<内容>
AV業界の現状とそこに関わっている(関わってきた)人びとの話を、インタビューしまとめたもの。「同人AV]なるものを一切知らなかったが、いわゆる従来のAVを経由しない作品というか、「ハメ撮り」を映像化したものらしいが、ストーリーや構成など一切なく、ただ「やっている」ところを撮り、非正規ルートで、個人的に販売しているもの。もちろん裏ルートなのだが、「個人的」なところがミソらしい。
また、そこに出演(?)している女性たちが、とにかく諸事情から「貧困」のなか、金になるからやっていることが衝撃的。「倫理」とか「羞恥感」とかないらしい。
Posted by ブクログ
女性の貧困問題とAVや性風俗のつながりに触れるとき、必ずといって良いほど著者の中村敦彦氏にたどり着く。これで、3冊目となる。2017年の「AV女優消滅-セックス労働から逃げ出す女たち」、2020年の「証言 貧困女子 助けて!と言えない39人の悲しき理由」に次ぐ、3冊目の出会いとなった。
コロナ禍を経て、2022年6月に全会一致で成立した「AV新法」は、出演強要問題などの改善はできたが、業界に大きな混乱をもたらした。「AV新法」の甘さを指摘するラディカル・フェミニスト団体と個人が「AV新法」に反対の声をあげた。また、コロナ禍で生活にあえぎ、AVや性産業がことごとくキャンセルとなり、生活できなくなった女性達もまた「AV新法」に反対し、三つ巴の激論が続いている。そんな中で、同人誌ならぬ「同人AV」で活路を見いだし、生活を安定させる女性達が増えつつあると指摘する。自身の生活や家族のために、「同人AV」で稼ぐ一方で、彼女たちの生い立ち、生育歴は壮絶だ。SGDsやダイバーシティーが叫ばれる中で、AV業界をめぐる議論や、合理的に稼ぐことを求めて裸になる女性たちは、落ち行く日本の縮図であると指摘する。今の日本でどんなことが起こっているのか、扉を開けてみよう。