あらすじ
「わたしが死ぬまでのわずかな間に、あなたに幸福というものを教えてあげる」
虐げられ、自分の価値を知らずに育った少女は旦那様と出会い、幸せを知る――。
幼い頃に火事で全てを失い、劣悪な環境で働く蒼。天性の観察眼と記憶力で苦境を生き抜く彼女の心の支えは、顔も知らない支援者“栞の君”だけ――しかしある日、ついに対面できた彼・城ヶ崎宗一は、原因不明の病魔に冒されていた。宗一専属の看護係として城ヶ崎家に嫁ぐことになった蒼は、一変した生活に戸惑いながらも、夫を支えるために医学の道を志すが――?
文明華やかな帝都・東京。「サトリの目」で様々な謎を解明しながら、愛されること、恋することを知る少女の物語。
【登場人物紹介】
◆蒼(あおい)
手品団に拾われて育った天涯孤独の少女。たぐいまれなる観察力「サトリの目」を持つ。
◆宗一(そういち)
蒼へ本を贈りつづけていた支援者“栞の君”。麗しい容姿の陰に、重い病と秘密を抱えている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
Tさんのおすすめ。
手品団で「サトリ」の芸で働かされていた少女、蒼は、
名家城ケ崎の当主に救いだされ、妻となることに。
城ケ崎が大病を患っていることもあり、
その観察力と記憶力を生かし医者の道を目指す。
ヤクザと知り合いの手品団団長だったが、
なぜヤクザ親分の娘と刃傷沙汰になった話が突然ぶちこまれるのか、
城ケ崎が日本にいなかったからとはいえ、蒼に本を贈りながら、
手品団でこき使われていた状況を知らなかったとか、
蒼の同級生の親が、
自分の医院に重要人物を入院させている最中なのに、
家でダンスパーティを開いたりとか、
腑に落ちないところはあるが、
城ケ崎の原因不明の病を蒼が治せるのか、次作が楽しみ。
あと、城ケ崎の秘密の小部屋、
波斯絨毯を敷き詰められ、書棚に囲まれ、
ステンドグラスの天窓からの光が照らす書斎はうらやましい。
本は医学書でなく、ミステリーあたりでお願いします。
Posted by ブクログ
面白かったし読みやすかった。
蒼の性格も普通ならちょっと苦手な類だけども何故か愛らしくてたまらない。
旦那様の病魔はどうなっていくのかわからないけども、愛が満たされたらそれは万病に効く薬にもなりそうな予感。
気持ちのいいハッピーハッピーエンド。
Posted by ブクログ
蒼を見ていると、女性版ホームズかなと感じることが多々。
性格はまるっきり違いますが。
自己肯定感が低すぎて、逆に嫌味な発言になってしまっているのが難儀だ。
「サトリ」とタイトルにあるが、彼女の場合は、優れた観察力から人の何倍も情報を読み取れるタイプであやかし系の話ではない。
だからホームズっぽいなと思ったのかも。
これに本で得た知識を結び付けて謎を解くのだから強い。
栞の君であり現在の旦那様からの知識の支援があったからこそ。
それでも、現時点ではまだ不完全。
これからも知識をどんどん吸収できる余地があるという。
伸びしろしかないな、彼女。
旦那様の正体はさておき、彼の病気については解決しないまま終わってしまったので、ちょっと物足りない感じも。
最初は本当に呪いか何かで体調が悪いのかと思っていたら、前述通り「あやかし」が登場するような話ではないし、作中に呪いを現実的な話で正体を暴いてしまうエピソードもあるため、呪いではなさそう。
もし続編があるのなら、旦那様の病気の解決の方も読んでみたいなと思った。