【感想・ネタバレ】エレナの炬火 １のレビュー

小板玲音

世界中を巻き込んだ戦争から数年。
大国の利害関係に翻弄された、北方の小国はいまだ戦争に国土と国民が傷ついていた。
懸命に復興を目指す国家において、取り残される人々がいた。
国家の為に働くことのできない病人やけが人たちは社会から疎外されるしかなかった。

体を動かせない重病人やけが人が最終的に集められるお屋敷で働き始めることになった猫耳少女・エレナ。
エレナを待ち受けるのは命の価値が揺らぐ厳しい現実。
それでも生きることの尊さと生命の可能性を信じるエレナの想いの熱は、いずれ周りの人々に、そして国中に伝わり大きなものになる。
深い闇のように先の見えない現実における大きな灯となり、やがて国家の福祉を変える少女の物語。

[ブクログ · ★★★★★]

ジャケを見て「かわいいな」、タイトルセンス「いいぞ」、帯の粗筋にある重そうな話「パーフェクト」、そして信頼のハルタ派生の青騎士ブランド。ジャケ買い決定。
かつての冬戦争（フィンランドvsソ連）を下地にした作品は多いが、戦後復興かつ傷病者をテーマにした作品はレアだろう。物語の重さをかわいいキャラが緩和してくれているのは正解。
あの猫一族はフィンランドにおける東カレリア地方出身なんだろうな。日本における北方領土と同じ存在。
長く続いてほしい物語。

[ブクログ · ★★★★☆]

ファンタジーではあるものの、全く他人事ではない話だなと思った。自分はどう行動するべきか、考えさせられる。ナイチンゲールの伝記を思いだした。