【感想・ネタバレ】精神科医が教える 親を憎むのをやめる方法のレビュー

あらすじ

親が憎い。親のせいで人生が思ったようにならなかった。違う親のもとに生まれていれば――。
そうして、親を憎むのに疲れてしまった方へ。

本書では、医師が実際に診察室でおこなっている治療の最初のステップを書籍で再現する試みをしています。
治療においては、知識が助けになります。この本では、その知識を提供します。その知識は、親子問題で悩んでいる人はもちろん、治療者を目指す学生の方にも役立つ専門的、網羅的なものです。

具体的には、親子問題の背後にある「親自身の問題」を、医学的・社会的視点から概観します。
親の人物像を紐解く鍵はいくつもありますが、中でも大きなトピックとなるのは、「発達障害」です。
この概念が広く知られて以来、子供の発達障害や、自分自身の発達障害に悩む方向けの本はずいぶん多く出てきました。しかし、「親が発達障害だった場合、親子関係に何が起こるか」についてはまだまだ光が当たっていません。この本での解説を通し、「うちのことだ」という発見をされる読者が一定数いるだろうと思われます。
また、発達障害を抱える人のそばにいることで起こる「カサンドラ症候群」も重要ワードです。

これらの知識は、ある意味、癒やしにもなりえます。親を責めるのでもなく、自分を責めるのでもなく、「こういう現象が起こっていた」と客観的に捉え直すことができるからです。
それで親子問題がスパッと解決、とはいかずとも、「親像」が変わっていくことは大きな変化です。
同時に、「自己像」も変わるでしょう。「自分が悪かった」「ダメな子だった」とひたすら思い込んでいる方にこそ、客観的知識を提供したいと思います。(本書「はじめに」より)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

医師は事実を明らかにする。実際に起こったこと、背景要因、実は気になっていることはこちらではないか、など。主観2.0がある程度客観的で新しい決定ができることが目標。

親との絶縁=連絡を取らないという選択肢をずっと続けることはメンテナンスが結構労力がいる継続的な行為。>これはほんとにそう思う。

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2023年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

YouTubeでも有名な早稲田メンタルクリニックの益田先生の著作。親子関係に問題があった人に向けて、ただ「私の親は毒親だったんだ」と片付けるだけでは、親子間のトラウマは乗り越えられないのだ、としたうえで、下記のように、親子について理解する手順を示す。
・そもそも親子とは?現代の親に求められる子育てとは?
・親子関係に問題が生じる事例(どちらかに精神疾患のあったケースを想定し、解説)
・親の情報を集めて、一個人として客観的に捉える
・冷静な親理解のうえで、親との関係をどうするか、自分の将来をどうするか、考える

簡単に要約すると、近年は子育てが長期化、ハイレベル化していて、親に求められる役割が昔より増えている。その中で、どんな子育てを提供できるかは、親自身の特性や精神疾患の有無、知的レベルにより大きく異なり、格差も生まれる。親子関係に問題があったケースは、親自身に発達障害や精神疾患、貧困、知能の低さなど様々な問題があるケースが多い。その事実を客観的に理解するために、益田先生は、親の育った環境や働いている環境などの情報を集め、親の特性や価値観、生きてきた環境について冷静に分析することを勧めている。そうすることで、「自分(子供)から見た親」という一面だけでない、親の様々な側面を見ることができ、どうして自分が親子関係に苦しんだのか、客観的事実から考察することができると述べている。そうした冷静な親理解のうえで、自分は親を許すのか許さないのか、はたまた、自分自身は将来家庭を築くのか築かないのかなどについて、判断することができる。

意識はしていなかったが、これは自分が大人になるにつれ、親を少しずつ許せていった過程と同様だなと思い、実感を持って本書を読み進めることができた。同時に、私はまだまだ集まっている情報が少なく、親を一個人として捉えることはできていないのかなと思う。
特に自分が、親が私を出産したくらいの年齢になってみて感じたことだが、20代ではまだまだ精神的に未熟な人もとても多いのだろうなということだ。大人はなんでもできる万能な存在だと思っていたが、想像よりはるかに様々な脆弱性を抱えていたのだなと思うようになった。

私の中での親理解はまだまだ途上で、まだまだアダルトチルドレンなのだなと思う。「ああして欲しかった」「受け入れてほしかった」と要求を抱えていて、それに対して一個人として親がどう考えるであろうか、を想像しきれていないのだ。

また、今1番興味を持っている現象として、転移の問題がある。これは、親に求めている役割を他の人に求めてしまったり、親が演じていた役割を自分が演じてしまうような現象だ。
私は、父不在の期間が長かったからか、恋人に父親的役割を求めてしまうことがあったように思う。自分の中で起きるこうした現象についても考察して、自己理解を深めたいと思っている。

ちなみに、精神科医との人間関係の中でも転移は起こる。主治医のことをやけに嫌ったり、恋愛感情を抱いてしまったり、などだ。精神科では、主治医との会話の中で患者の病理を紐解いていくが、会話だけではどうにもならないとき、感覚的に大きな衝撃が必要になることもあって、それが、自身の転移を自覚させることらしい。
最近私も信頼できる主治医に出会うことができた。主治医には私の今までの人生のつらい話、黒歴史をできるだけ話しているし、主治医はそれに対して肯定し、前に進めるよう促してくれる。確かに、何か特別な感情を抱いてしまうのも不思議ではないのかもしれない。
しかし、そこで「どうして赤の他人である主治医にそこまで特別な、親密な感情を抱くのか?」と患者は自問自答しなければならない。人間関係には適度な距離が必要で、その距離感の中で適切な信頼関係を結び、円満にやっていけることを我々は学ばなくてはならないのだ。

私もこれからも、親や主治医との会話の中で、たくさんの気づきを得たいとともに、そこで得られた感情に真剣に向き合っていきたい。

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2023年07月27日

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