あらすじ
「抵抗する者はその場で殺せ」。麻薬撲滅戦争で6000人以上殺す一方で治安改善、経済発展を成し遂げ、支持率82%を記録。なぜ強権的指導者が歓迎されるのか? 現地在住記者が綴った、フィリピンの実像。
【目次】
序 章 いままでにない大統領
第1章 ドゥテルテの町ダバオ
第2章 麻薬戦争
第3章 左派的だった国内政策
第4章 親中に転換させた外
第5章 高度経済成長と新型コロナ
第6章 ドゥテルテ・ナショナリズム
第7章 ドゥテルテ後のフィリピン
おわりに
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Posted by ブクログ
本書はドゥテルテがフィリピンにもたらした変化について比較的好意的な視点から記述したドキュメンタリーである(学術的な文章ではない)。ドゥテルテは法や秩序さえ堅牢に守られていれば国は自然発展するという信念の下、麻薬戦争を進め、多数の麻薬密売人を殺害し、治安を回復させた。欧米的な人権尊重の思想からすれば批判されるべき点も多いが、人権よりも人命を尊重するその姿勢は、人類社会が抱えるある種の病に対する一つの指針となるべきものだろう。
本書でもう一つ勉強になった点は、独裁政治を敷いたF・マルコスの息子であるボンボンがなぜ2022年の大統領権で勝てたかについて、ドゥテルテが支持したからという点が、予想はしていたが、明確になった点であり、また次期大統領の最有力候補としてドゥテルテの娘サラの存在を知れたことである。
Posted by ブクログ
人も殺したことがある不良少年が、改心し検事になるまでは、よくある話だとは思う。しかし、ダバオ市という南部の中心都市の副市長になり、最後は大統領にまでなるなんて、現実とは思えない展開。
我々がよく知る麻薬撲滅にかける容赦のなさは、少年時代に色んな悪事を行い、麻薬こそが諸悪の根源であると看破した結果という。こうした信念の塊のような人に率いられるフィリピン国民は幸せだったと思う。感心したのは、麻薬戦争で何千人も殺したと言われているにも関わらず、暗殺されていない点。未遂もなかったのでは。