あらすじ
父親の介護のため地元・奄美大島にUターンした昇雄太。
長年過疎と人口減少に悩まされていた町は、巨大クルーズ船寄港地を中心としたIR誘致計画により、活気を取り戻しつつあった。
この事業は、圧倒的巨大資本の力で雇用創出とインフラ整備を実現し、町の、そして日本の救世主となる――多くの島民がそう思っていた。
ところが計画が着々と進むある時、昇はクルーズ船〈エデン号〉の前代未聞の事業内容を突きつけられる。
門戸開放か排斥か。様々な思惑が渦巻く計画を前に、島民たちの決断は?
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Posted by ブクログ
世界遺産の美しい島、奄美大島。去年、何度か訪れようと下調べしたが、どのガイド本にも旧日本軍関連の話は無かった。「中国の覇権主義から太平洋を守る島嶼防衛の要衝」奄美大島。日本地図眺めれば一目瞭然なのに…平和ボケ恥じ入るばかり。方言に戸惑ったが、この展開は予想出来ず。
Posted by ブクログ
奄美大島を何度か訪れたことがあり、古仁屋や加計呂麻島など知っている土地が多く出てきたので、非常に親近感を持って読んだ。地元の人に聞いた数々の話を想い出す。感想を細かく書くと個人が特定できるような事象も多いので、読後感想は封印しておく。
社会問題を盛り込んでいながらそれほど辛辣でなく、課題解決見守り型の優しさのある結末が、シマと共に歩んだ人々の歴史を象徴しているように感じた。
Posted by ブクログ
中学生の時に島を離れた主人公が、島に残った父の認知症を理由に30歳過ぎてからUターン。
島での生活に慣れた頃に、クルーズ船寄港地としたリゾート開発が始まる……
いちいちカッコ書きとなる「奄美の方言」は、はじめはとても読みにくく、さらに、何が「第二」なのか、その意味を考えるまでがやや長い。
方言は、「難民問題」を感傷的になる一方で「どこか排他的な日本人に、「民族の違いなんて方言が違うぐらいの差なんだ」と、そんなことまでも織り込んでるのかもしれない……また、善意の人たちが善意で始めたことでも、結果「悪」となる場合もあり、そうならなくても、すべての人に「善」であることはない……その他、島の過疎化や狭い社会での意見の対立が招く分断、観光開発の行き着く先の功罪など、浮かんでくることはいろいろ。
だから、あまり考えない。
ありがちではあるが、Uターンした30代の同級生たちの故郷での恋愛ドラマは、南国の風の中で素直に爽やか。
主人公 昇雄太は、いい。