あらすじ
最愛の妻が先立った。遺されたのは夫と、ふたりで営んだレトロな喫茶店――。つい本音が出てしまうと噂の「天国堂喫茶店」。サラリーマンの愚痴、マダム達の井戸端会議、老夫婦の痴話ケンカ…心に抱えるモヤモヤも、なぜかここなら吐き出せる。愛を思い出せば、死んだ妻の声も聴こえてくる――。酸いも甘いも愛おしい、大人のための青春ドラマ。
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心が温まる
少しだけファンタジーのスパイスが入った喫茶店を舞台にしたヒューマンドラマ。
思わず本音が漏れてしまう喫茶店。
気まずくなることもあれば、人によっては上手くいく(雨降って地固まる)。
マスターが特別な能力の持ち主じゃなく、普通以下の不器用な人という設定も好き。
癒されて救われる喫茶店です。
ある意味、教会の懺悔室みたいな場所だね。アラウンドヘブン。
Posted by ブクログ
かつて高度経済成長期の頃、純喫茶という喫茶店が流行しました。
ここ「天国堂喫茶店」もその頃に開店し、浮き沈みを経験しながら45年営業しています。
店は、マスターのススムさんと奥さんのミコトさんで切り盛りしてきました。開店当初は「柴田堂喫茶店」という名前でしたが、お客様が店のお料理を「天国みたいに旨い」と言ってくださることから、ミコトさんの発案で「天国堂喫茶店」に改名しました。
今はカフェチェーン店流行りの趨勢に押され、閑古鳥が鳴く状態ですが、喫茶店への愛ひとすじに営業を続けてきました。
そして、このお話は、なんとそのミコトさんの葬儀の場面から始まります。
ススムさんが朝起きたら、ミコトさんはすでに亡くなっていました。心不全でした。享年69歳。
ススムさんとミコトさんは、中学の同級生で高校から付き合いだし、くっついたり別れたりしながら、24歳のとき結婚しました。
ススムさんのお父さんが新聞屋さんを廃業した後、ケーキ屋さんで働いていたススムくんが呼ばれて、流行りの喫茶店をやることになりました。
毎日働いて、二人の娘たちを育てて嫁に出して、両親も見送って、これから世界旅行にでも行こうかと(ミコトさんは)思っていたのに。。。
ススムさんはミコトさんの告別式の日、「天国堂喫茶店」で店を開けていました。ススムさんは、ミコトさんは(葬儀場ではなく)店にいると思ったのです。
友人たちや娘たちも、喪主のススムさんが告別式を欠席したことを責めましたが、ススムさんが思ったことは正しかったのです。
なんと、ミコトさんの魂(?)は天国堂にいました。ミコトさんの姿は見えませんが、ススムさんにはミコトさんの声が聞こえるのです。
ミコトさんは言います。「あのね幽霊じゃないの。あなたがすごく私のことを想っているから、私はここにいるの。」「想えばそこにいるの。」
ミコトさんの魂が天国堂にいるようになってから、店にいる人たちは、ついつい自分の本音を話してしまうようになります。
まずは、ススムさんが。そして、嫁ぎ先に居場所がなくて、夫の不倫がきっかけで離婚して帰ってきてしまった娘(長女)の良美さんが、言えなかった本音を店で話すようになります。
そして、常連さんや他のお客さんも、知らない間に自分の本音を話してしまうのでした。
永年連れ添って今さら愛してるなんて言えない夫婦。家の事情に不満が言えない子どもたち。。。世の中には、本音を飲み込んで我慢している人たちがなんと多いのでしょう。
ミコトさんは言います。「本音を言ってから、関係が始まる。」 そして、その人の横で、そっと背中を押すのでした。
亡くなってしまったからこそ言えることがあるようです。本音は生きているうちにちゃんと言っておかないと、いつ終わるかもしれない人生に悔いが残るかもしれない。。。
ほのぼのとした雰囲気の中で大切なことを教えてもらえたマンガでした。全3巻の読みやすいサイズです。
コーヒーでも飲みつつ、今は亡き大切な人のことを思いながら読んでいただくとなおよろしいかと思います♡
あなたのかけがえのない人生が輝きますように♡
〔本書の作品紹介文〕
(第1巻)
最愛の妻が先立った。遺されたのは夫と、ふたりで営んだレトロな喫茶店――。つい本音が出てしまうと噂の「天国堂喫茶店」。サラリーマンの愚痴、マダム達の井戸端会議、老夫婦の痴話ケンカ…心に抱えるモヤモヤも、なぜかここなら吐き出せる。愛を思い出せば、死んだ妻の声も聴こえてくる――。酸いも甘いも愛おしい、大人のための青春ドラマ。
(第2巻)
オトナのための純喫茶、ぽかぽか営業中――。今日も本音が飛び交う「天国堂喫茶店」。亡くなった妻の元カレ(イケオジな独身貴族)が来店し、夫・ススムも闘志を燃やすが…!?老々介護やシニア世代の恋愛の始め方など、オトナの悩みを温かいコーヒーで優しくほぐす人情ドラマ。
(第3巻)
「美味しい」なんて忘れてました――不思議と本音をこぼしてしまう天国堂喫茶店。息子夫婦との同居問題や介護疲れ、第二新卒の転職事情など、今日も日常に苦味ばかり感じるお客が訪れる。きっとこの喫茶店があなたを優しい甘さで包み込む――。明日誰かに優しくしたくなる喫茶店物語、ついに完結。