あらすじ
ゲームチェンジャーへの道筋とは?
「失われた20年」は、いつしか「失われた30年」といわれるようになった。
それは、国際経営開発研究所が毎年発表する世界競争力ランキングにも如実に現れており、
日本はシンガポールや韓国はもとより、タイやマレーシアの後塵を拝している。
テクノロジーの進化によって、世界は加速している。
月面旅行や空飛ぶ車、顔認証だけの決済といった“夢物語”が現実化しつつある。
かつてインスタントラーメンや内視鏡、ハイブリッド車などの革新的な製品で
世界を席巻した日本企業から、なぜイノベーションが生まれなくなったのか?
本書では各産業分野におけるイノベーションの歴史をたどりながら、進化し続ける
最先端のテクノロジーと企業を紹介する。
そこから見えてくる日本企業の失敗の本質、そして未来とは――。
序章 イノベーションの起源
第1章 新しいお金
第2章 未来の食
第3章 ヘルスケアの進化
第4章 移動の革命
第5章 エネルギーの過去・未来
第6章 スマホによる「再定義」
終章 ゲームチェンジャーの条件
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Posted by ブクログ
最新テクノロジーとベンチャー企業の紹介を通して、なぜ日本ではイノベーションが生まれなくなったのかを読み解いた本。
テクノロジーを理解する経営陣が少ない。試行錯誤を繰り返せる体力を持つ企業が少ない。研究者が研究に力を入れられる環境にない。これらイノベーションを阻害するであろう要因を改善すれば、日本にも十分チャンスがあります。
Posted by ブクログ
タイトルを読めば先ずその答えを期待してしまう。何故、日本はゲームチェンジャーになれないのだろう。いや、そもそも、ゲームチェンジとは何か。本当になれていないのか。本著はその点を深く考察したものでは無く、イノベーション事例の羅列が目立つ。謂わばテック系ニュースのまとめサイト。しかし、よく整理されていて視野も広く、一つ一つのトピックスは浅くとも知らない事が多かった。有益な本である、少なくとも私にとっては。
革新的な技術は従来の価値観や既存のシステムを破壊する異分子だから登場直後は嫌がられる。今ならば仮想通貨がそれ。しかしウクライナ侵攻の際に世界中から集まった仮想通貨の寄付は初期段階で72億円。世界観は徐々に変わっていく。
この仮想通貨技術の応用がNFT。データのコピーや改ざん、不正利用を困難にするブロックチェーン技術は、デジタルデータの唯一性の証明に有効。デジタルアートの権利を75億円で販売したり、坂本龍一が音源を販売。タレントやスポーツ選手による唯一所有証明書付きデジタルデータのビジネスも可能。デジタルなら幾らでも複製が可能な気がするが、複製されない仮想通貨の技術は、デジタル領域においてオリジナルな価値を創出した。原画みたいものの価値だろうか。こういう道楽的な産物に共感はしないし、拡大するのかよく分からないが、発想としては納得してしまった。本物志向?ブランド、あるいはファン志向?
他にもドローン活用の挑戦。シリコンバレーから東アフリカルワンダに進出したジップライン社。高速ドローンを使って血液や医薬品を輸送する医療品配送事業を手がけるスタートアップ企業。日本でもジップラインの配達サービスを開始。豊田通商が出資し、長崎の五島列島で医薬品を配送。
原子力まで。ビルゲイツがテラパワーを創設。小型ナトリウム原子炉による次世代原発を開発中。水で原子炉を冷却してきた軽水炉と異なり、液体ナトリウムを冷却材として用いることで高温になっても内圧を低く保てるため安全性が高い。また使い終わったら燃料からMOX燃料を取り出して再利用可能、小型設備で建設コストも大幅に抑えられる。
面白い。だが、こうした事例紹介に日本のチャレンジや成功事例がちょこちょこと混ざるタイトルとの矛盾。ご愛嬌。
Posted by ブクログ
日本企業のサービス、製品でこれと言うものがすぐに浮かんでこない。昔ならソニーのウォークマンのように世界で話題になった製品もあったのに。
その原因について様々な理由があると指摘している。イノベーションの舞台がデジタル領域中心になり、昔のようなハードウェアでなくなったから。
お金や規模に関係なくても試行錯誤してチャレンジする企業が、昔は多かった。例に日清食品のチキンラーメンを挙げている。開発チームの数え切れないくらいの挑戦によって、今のインスタントラーメンが生まれた。
学会に目を移すと、予算を確保するのが難しい、研究よりも雑用が多いなど「尖れない」理由があった。
文系・理系の枠を「ぶっ壊す」人材がいて、その人材を上手に活用できる組織がイノベーターになれると指摘している。
機能をあれもこれも加えてユーザーにとってかえって使いにくい製品を提供している日本企業の姿もある。
「引き算」をする勇気を持つことをすすめている。
技術力のある企業はまだあるが、最終製品として消費者にアピールする能力に欠けるので、これからどうやって生み出していくかが課題だ。