あらすじ
この恋が永遠でないことを知っている。
けれど感じることができるのは現在だけだ。
『アーモンド』『三十の反撃』の著者が贈る、
四人の男女の、揺れ動く心の移ろいを繊細に描いた、大人の恋の物語。
ひとつの恋が終わると、すぐに次の「愛する人」を見つけてしまうイェジン。
「いい人」とよく言われるものの、他人と一定の距離を保つドウォン。
離婚した元夫と、不毛な逢瀬を重ねつづけるジェイン。自らを危険人物とみなし、恋愛とは無縁な人生を歩んできたホゲ。
同じ建物で働くイェジンとドウォンは、休憩時間に互いを知るようになり、ジェインのベーカリーでアルバイトをするホゲは、オフ会でイェジンと知り合った。偶然四人が出会ったとき、ドウォンとジェインが十年ぶりの再会を果たし…。
「普通の恋愛小説とは違うものにしたかった。ナイーブな失敗を重ねて迷いながら成長していこうとする、不安な若さを描きたかった」
――ソン・ウォンピョン
過去の傷や闇を抱えた四人の男女が、人との出会いを通して自分を見つめ直し、成長してゆく姿を繊細に描いた、大人のための恋愛小説。
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Posted by ブクログ
愛や恋の気付きに触れられる作品。
この作者の季節の表現はとても繊細で好きです。
まるで登場人物たちと一緒の空間にいるような気持ちで読めるくらい。
人を好きになることやそれを伝えて結ばれやがて終わりを迎えてしまう恋愛の儚さがそれぞれの視点で読める点が面白い
大人同士の恋愛ならではのすれ違う男女がリアルに描かれていて、少女漫画のようなキラキラとは違うけどなぜか憧れてしまうもどかしい恋愛模様だった。ホゲとイェジンの今後が気になる。
アーモンドや30の反撃とはまた違う柔らかいストーリーだった
あとがきにあるコロナ禍のことをあえて描かないという選択は大正解
マスクがないからこそ輝く物語。
コロナ禍から脱却した頃に読んでみると面白い
Posted by ブクログ
「アーモンド」、「三十の反撃」のソン・ウォンピョンさんの恋愛小説。四人の男女の心を繊細に描写している。イェジン、父親が子牛を売ったお金で買ってくれた大きなプレゼントボックスに入っていたピラミッドの形の三角プリズム、それを一番気に入っていた。光を虹にかえる魔法のおもちゃ。でも棚の上に置き忘れたそれを見つけて取るときに取り落とし、足の甲に落ちた時の痛さと脚についたひっかき傷。美しすぎるものはいつか傷を残すのか…。ランチタイムの休憩に外でコーヒーを飲んでいてよく見かける人がドウォンだった。ただそれだけだったのだが…。ドウォンの携帯にスミンのメッセージがもう九通目。返信がほしいというメッセージだ。ドウォンは映画の音響に関わる仕事をしている。毎日地下のスタジオに籠りきり。ようやく外に出て、いつもの場所でコーヒーを飲むことにしている。その時に出会ったのがイェジンだった。同じビルの玩具メーカーで働いているという…。ジェインのベーカリーで働いているホゲは、オフ会でイェジンと知り合った。偶然四人が出会った時、ドウォンとジェィンは十年ぶりに再会したのだった。四人の出会いでお互いの人間関係が変っていく。相手を思いながら、それでも知らずに相手を傷つけていく。それぞれの心が繊細に描かれていて、何故だか読む自分の心もちょっと痛い。
Posted by ブクログ
この4人の関係性こそ「プリズム」の象徴のように思いました。決してハッピーエンドではなく綺麗な恋愛の形ばかりではないけれど、それぞれが少しずつつながり合ううちに、影響を与え合っていく。前2作ほどの盛り上がりや出来事はありませんが、大人だけれどまだピュアな面を持つ男女の心の動きに、懐かしさのような気持ちを抱きました。