【感想・ネタバレ】ゲゲゲの娘日記のレビュー

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Posted by ブクログ

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が面白かったので、つい、「ゲゲゲ」の文字に惹かれました。
水木しげるさんがどんな方だったのかまったく知らなかったのですけれど、ずいぶんお茶目でかわいい方だったようです。近くにいるとかなり振り回されてしまって大変そうですけれど……。

奥さんに対する愛が深いところが素晴らしかったです。
花束を渡すシーンは、とても感動しました。娘さんもそうだったようで、二度書いていてほっこりしました。

水木さんなら、亡くなった後そばにいてもおかしくないと受け入れることができます。実際、死後ってどうなるのでしょうね。気になります。


2024/04/19 p.7-64

p.8
“父は旅に出ると元気になる。”
外に出るだけでも疲れてしまう身からすると、とても羨ましいです。お元気なのは良いことです。

p.10
“(うん今日も二人は仲が良いぞ)”
ご両親のことを冷静に見守ることができるのですねえ。わたしだったら、見ないふり聞かないふりをして距離を取ってしまいます。

p.17
“「実はお父ちゃんも妖怪(ようかい)なんじゃないの?」と感じるほど、”
実の娘さんにも妖怪と疑われていたとは……。

p.17
“「待つだろ。それが嫌なんだよ」”
読書時間になるからいいじゃないですか。待ち時間にやることが特にないのでしょうか?

p.45
“父は何の迷いもなく、力強く勢いのある筆運びであっという間に鬼太郎を描き上げた。”
生で、描くお姿を拝見できたのは羨ましいです。
絵が描ける方たちって本当、素晴らしいですよねえ。完成品はもちろん、描いている様子を見せていただくととても感動します。

p.45
“緊張しながら父に感謝の言葉を伝えて花束を渡すと、ナント父はそれを母に渡したのだ。”
家族みんな、他者のことを思い遣っているところが素晴らしいです。


2024/04/27 p.64-82

p.73
“お父ちゃんはね、心がお母ちゃんのタイプなのよ。”
わあ、このことば、最高ですね!
確かに、わたしも心がタイプです、パートナーさんのこと。

p.77
ご夫婦のお顔とハートいっぱいの模様って凄いです。
お上手! お写真を見たら本当に可愛らしいです。
愛が込められていますねえ。

p.81
“父はいつでもそうだ。自分が美しいと思ったものや美味(おい)しいものは自分一人で楽しむのではなく、周りの人にも感動を分けてくれる。”
すてき。独り占めではなくてみんなで分かち合うほうが楽しいですよね。


2024/04/28 p.82-166

p.97
“甘いものが好きな祖父は、”
お父さんの甘いもの好きは遺伝なのでしょうか。

p.99
“祖父は戦前、境港で映画館をやっていたくらいだから映画には人一倍うるさい。”
それは凄い。好きなことをお仕事にできるって素晴らしいです。

p.101
“「お父ちゃん、おじいちゃんスゴイんだよ! 私が舞台衣装がこうだったって言っただけで何の話か分かっちゃったんだよ!」”
凄いです。知識が豊富ですねえ。それなら、観に行く前に見どころ等教えてもらえばよかったのに……と思ってしまいました。

新しい映画を観なくなり、歌舞伎ばかり観ていたというお祖父さん。きっと歌舞伎は変わらない良さがあるから、安心したのでしょうねえ。

p.101
“「やきもちを焼いとるんだよ」”
お祖母さんとお祖父さんもラブラブなのですか。お父さんとお母さんのように。これも遺伝でしょうか。

p.117
“もうこんな時間だし調布駅まで送ってやるよ。今日給料日だから金あんだよ”
(中略)
p.118

「今日は心配をかけたんだから明日は親孝行してやれよ!」
 とおじさんは元気よく私の背中を押してタクシーから送り出した。

おじさんと車に乗るなんて大丈夫……? と心配してしまったのですけれど、ただただ気が大きくなっていた善い人でした。
ありがとうございます、おじさん。無関係なのに、感謝したくなりました。

p.120
“どこかに連れて行かれて殺されとったかもしれんのだぞ!”
本当にそうですよ! 無事で良かったです……。
若い女というだけで余計なことを考える輩は存在します。残念ながら……。

p.122

「妖怪はおるんだよ。目には見えんけども」
 お父ちゃんは語り始めた。
「今は昔と違って夜でも昼みたいだろ? 電気のせいで彼らは活動の場を奪われてしまったんだ。元気がないんだ!」

(中略)
p.123
“「お父ちゃんは妖怪を復活させたいと常々思っておったんだ。今の人々に妖怪の存在を知らせにゃならんのだよ」”
人々に知ってもらわないと消えてしまうのでしょうか……? 妖精みたい。どちらも「妖」だから似たところがあるのでしょうか。

p.124
“「どんな姿だろう……ってじっと考えておーとねえ、背後に気配がしてそれと同時に手が勝手に動きだすんだ……描くというよりも描かされているというようなカンジなんだねぇ」”
制作秘話……! これは興味深いです。
小説を書いていた時、登場人物たちが勝手に動き出すことがありましたけれど……あれに近い感じでしょうか。創作って凄い力を持っていますね。

p.130

「お父ちゃんてホント、絵がうまいよね」
 すると父はやっぱり、
「ダッテ! オトウチャン、イッショウケンメイカイタンダモンッ!」

「プロだからね」とか「これでご飯を食べているから」等ではなく、「一生懸命描いたから」というのが最高です。一生懸命心を込めて描いたから、多くの人の心に届いたのですね。

p.165

「(前略)どうにかしろ。お父ちゃんは、よ〜食わんよ!」
 と口をタコみたいにすぼめながら不満の言葉を発すると父はネーム室へと戻って行った。
 そして数日後、姉の提案でその羊羹は鍋(なべ)に沸かされたお湯に溶かされ、餅とともにお汁粉として生まれ変わり父の胃袋へとおさまったのである。

つぶあんはダメで、羊羹もダメで、けれどもお汁粉は大丈夫なのですねえ。ずっしりとした形ではなくて、さらさらと食べることができたら良いのでしょうか?
形が変わってしまえば食べることができるなんて、子ども騙しのようでおかしいです。可愛らしい人ですねえ。


2024/05/06 p.166-191

p.166
“これ”(干し柿)“があると毎食後、三つ四つと平らげてしまう。”
(中略)
“一日に二つも三つも”(豆かんを)“食べていたが、お腹を下すことはなかった。父はお腹がとても丈夫なのだ。”
一日ひとつとか、少量だけ(例えば半分だけ)とか決めずに、食べたいものを食べたいだけ食べていたようで驚きます。
水木さんの何分の一だかわからないですけれど、わずかしか生きていないわたしのほうが食欲がない気がします。彼と比べてしまうと、長生きできる気がしません……。生きる力がありません。

p.172
“「ジャリの漫画」とは、もちろん鬼太郎のこと。飯のタネと割り切り勧善懲悪のスタイルで、子どもに分かりやすい漫画にした。”
プロですねえ。割り切って描き続けることができるのは素晴らしいです。

p.174
“私がいなければクラスはへいわになるんだねあ。私はこの世に存在してはいけない人間なんだ。”
(中略)
“そうだ死のう! そうすればもういじめられなくなるし宿題や勉強をしなくてもよくなる! それって良いことだらけじゃん!”
(中略)
p.176
“すごく苦しくなってしまったら死んでもいいんじゃないのかな? 死ねばその苦しみから解放されるんだもの”
この文章を読んだとしても、頭から否定する人はいるのだろうなぁ……と思います。わたしはほぼ同じような思考で、しにたかったです。
しにたくなる人って生きている状態がマイナスだと感じるから、死という0はむしろプラスなのですよねえ。しあわせな人は生きている状態がプラスだから、同じ0の死でも、マイナス。そりゃ感覚が違って当然です。

過去の悦子さんを抱きしめたいです。

p.177
“お前の幸せはお前にしか分からんのだから。生きておればいずれ分かる。”
基本的にしあわせって、向こうからやってきてくれるのではなくて、自分の周りにあるものを見つける・気づくしかないようです。他人から見たらしあわせでも、本人にとってしんどければ、まったくしあわせではありません。
……ということは、どんなに小さなちいさなことでも、ご本人が「しあわせ」と認識したらしあわせ。
衣食住がそろっていて、戦争のない国で暮らしているのだからしあわせ、とも言えます。自分から離れすぎていること──例えば海外──と比べても実感がわかないですけれど。わたしは、ご飯が美味しいと感じたらしあわせ、空を見上げる余裕があるとしあわせ、と感じます。
その人なりのしあわせがあればそれで良いです。周りから見て立派なしあわせではなくて良いです。


2024/05/06 p.192-193

2024/05/08 p.193-201

p.197
“命をなくせばそれまでだけれども、腕はなくしても生きておられるんだもの。”(中略)““生”の喜びに勝るものはないよ”
そんなに生きていることが嬉しかったのですか……。凄いです。
長らくしにたいと思っていた身としては、そこまで、生きている状態を喜べないです……。
まぁ、生きたいのにしにそうになった人と、生きたくないのにしのうとしてしねなかった人では、感覚が違って当たり前なのでしょうけれど。


2024/05/11 p.202-246

p.202
“出征前には、すぐそこに迫っているであろう「死」とどう向き合ったらよいのか模索していた。哲学や文学、芸術……様々な本を読んだという。”
そうですよね……。戦地に行く、イコール、死ぬ可能性が高い……。それは当然皆わかっていたことです。それと向き合うにはどうしたら良いか悩む人も多かったのでしょう……。
何故だか、いままでそのことを考えていませんでした。そのような時代なのだとスッと受け入れてしまうのかと思っていました。

p.237
“父が結婚したのは四十歳。当時としても晩婚だった。”
結構遅かったのですね……。けれど93歳まで生きたなら、そのタイミングでも十分長く一緒にいられた気がします。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

大好きな鬼太郎の水木しげる先生のお話。
先生の人柄が面白い。
家族は大変だと思うが、その大変さを娘さんは表に出さないし、すごい。
私なら我慢できずに喧嘩しちゃいそう。

左手がない状態で、どうやって自転車に乗ったのか気になった…
今じゃ片手で運転したら怒られそうだが…

貧乏な時に、お金が入ったら
まず兄家族に渡す…
これはね、絶対に怒ってしまうと思う。
自分たちでさえ、満足な生活してない時にそんなことされたら…
でも、家族だからと言う先生の優しさは間違ってない。当事者でないから、そう思えるが当事者だと頭にくるだろーに。

先生の最後
大変だったんだな。
病院側がマスコミに漏らすのも勘弁してほしい。
個人情報もない…

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2022年09月28日

Posted by ブクログ

水木先生、けっこうワガママだったんですね。
そしてどれだけ家族に愛されたか。
素晴らしい家族ですね。

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

次女悦子さんから見た水木しげるさんの日々の様子。ユーモアたっぷりの水木しげるさんや布枝さんとのやりとりから、うらやましいほどの家族の仲のよさがよくわかる。
悦子さんがいじめにあって死のうと思ってひらきなおっていたときに、さりげなく語った水木しげるさんの言葉は、覚えておこうと思った。
飄々とした笑顔の水木しげるさんの写真を見ると、戦争で悲惨な体験をしたがゆえに、おおらかな気持ちを持てるようになったのかもしれないと思った。

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2023年11月28日

Posted by ブクログ

水木しげるさんの「友だちは作らない」という心情にすごいな、と思った。
彼はつくづく人間がでかい人なんだなあ。

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2022年09月20日

Posted by ブクログ

偶々手に取った新刊。とても面白いエッセイだった。水木しげるさん初め、そのご家族の個性も際立ち。
ちょっとさくらももこさんのエッセイを彷彿とさせるようなタッチでもあった(これは個人的な感想)。
しかし、最後は思いもよらず泣かされた。

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2022年08月22日

Posted by ブクログ

今年はマンガ家水木しげる氏の生誕百周年になるらしい。

 水木氏の次女悦子さんのエッセイ集。主に水木氏の晩年のエピソードが描かれているが、著者の子供時代の思い出も描かれている。
 「父と心配」、「父と虫」、「父と戦争、そして鬼太郎」の各エピソードには、特に惹かれるものがあった。特に最後あげたエピソード、戦場を片腕を失いながらも生き延びた人の言葉には重みがある。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

今年2022年に生誕100年を迎えた昭和の漫画界の巨星・水木しげるの次女が書いたエッセイ。水木の妻・布枝さんが著した「ゲゲゲの女房」は、NHKの朝ドラや映画にもなった大ヒットで有名だが、娘が著した「父親」像、「家族」像は新鮮で、最初から最後まで興味深く読めた。
しかし、いやはや本当に、大正生まれの戦争サバイバーの方々はお強い!!!
現代を生きる我々昭和・平成の人間がまるでひ弱な新人類に思えるほど。90歳を超えてもなお健啖・剛健でおられた水木の日々の様子がイキイキと描かれる。
中でも圧巻は、水木の晩年から不運な最期までを記した最終盤。最後まで奇跡を信じる著者や家族のアツい想いが気の毒でもあり、神々しくもある。
戦争で片手を失い、極貧を味わい、様々な苦労を重ねて来られながらも、希望を失わず、並外れた好奇心と柔らかなユーモアで、我が人生を楽しみつくしたスバラシイ一生だったこと、間違いない。その意味で、実に爽やかでウラヤマシイ方なのだ。

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2022年06月26日

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