あらすじ
「必要とされると、拒めない…」
主人公・上戸有紗は、「コレ」でしか役に立てないと、
求めてくる男性につい体を許してしまう日々を送っていた。
軽度の知的障害がある自分に自信が持てない有紗は、
新しく始めたバイト先の優しくしてくれる社員・岡村さんが気になり始めて…。
不安定な二人の行き先から目を離せなくなる、切なくも愛おしい恋のものがたり。
【「必要とされると拒めない女の子が恋をする話」として、SNSで話題沸騰】
・私の話かと思った
・心がぎゅーっとなる
・誰かに必要とされる事を求めてしまう気持が痛いほどわかる
・どうにかして、二人に幸せになってほしい
※電子版には「紙書籍版限定、描き下ろしマンガ」は収録しておりません。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
正直に告白します。表紙の女の子があまりにもかわいいので、買ってしまいました。中川翔子さんがモデルなのかな。とにかく一目ぼれだった(笑い)。
だけどこの本の6ページ目でいきなり、彼女が「普通の」女の子でないことが描かれる。つまり彼女は療育手帳所持者だった。だから読者は読み進める前にこう考えるかもしれない-この本は知的障がい者の物語なんだ。つまり、“自分の日常からは遠い話なんだ”-と。
でも読み終えた立場からあえて言わせてもらう。この本は決して知的障がい者のみの物語ではない、と。
では何の物語かって?障がい者という狭いカテゴライズに捉われないような、人それぞれが必ず持つ、個性と紙一重の不器用さや、好きゆえに相手を傷つけてしまうという恋愛のパラドックスを、著者の豊かな感性で丁寧に描かれた珠玉のコミック作品だ。
私がここまで言い切ってしまうのは、先に書いたように、この作品が知的障がいをメインテーマとしながらも、それにとらわれず、読者に自分自身の“障がい性”に気づかせるからだ。
ここで自分自身の“障がい性”について具体的に言うと、例えば私は療育手帳は持っていないものの、すぐ攻撃的な言葉を相手にぶつけたりしてしまう。また、私のまわりにも手帳所持者はいないものの、仕事がハードすぎて精神的にまいって長く休んでいたことがあったり、子どもが家に閉じこもっていたり、外面はいいという評判なのに家ではアルコールにすぐに手が伸びてしまい記憶を失うまで飲まずにいられないといった、それらの人が世間から隠していた話を、「実は…」という前置きに続いて耳にしたりしてきた。
それらの「他人からは見えないが、人とは同じではない」何かは、「自分では恥ずかしいと思いながらも、うまくコントロールできないもの」で、だけども「自分の性格や個性と密接にかかわっている」ものであり、その点では知的障がい者と大同小異だということに私は気づいた。
つまり主人公の有紗は、読者にとって、異質で特別な存在なんかでは決してなく、自分自身の中にある“障がい性”に気づかせてくれる存在なのだ。だから有紗が幸せに近づけば、それだけ自分自身のことのようにうれしくなる。
だけど創作されたストーリーの常で、上巻では有紗はいろんな出来事に取り巻かれる。それは楽しいことばかりではない。
でも自分の人生だってそうだったはずじゃないか。片付けが苦手だった私には、上巻の表紙で有紗の背景にゴミ袋があることを別に不思議とは思わない。そして下巻の表紙では2人での生活が描かれていて、ゴミ袋なんかなくなっている(ついでに言うと、上巻で有紗の横にいたペンギンみたいなぬいぐるみは、下巻では岡村さんがそのスペースにいるので、ゴミ袋があった位置へと移動している)。
つまり療育手帳を持っているかどうか以外は私にもかなりの部分で重なっている。そのように描写がきめ細やかなので、たぶんほかの人でも自然に感情移入できる部分は多いだろう。
Posted by ブクログ
Twitterで作品を知り、大好きになり書籍も購入しました。
とにかく有紗ちゃんと岡村さん、二人の関係性がとても甘くも切なく好きだった
岡村さんみたいな人がいたら、私も好きになってしまう
だって穏やかで優しくて素敵(有紗ちゃんの気持ちもよく分かる)
そして有紗ちゃんの愛らしさ、一生懸命さに応援したくなる、可愛い(岡村さんも気持ちがよく分かる)
Posted by ブクログ
軽度知的障害B2(一番軽いレベルらしい)の25歳有紗がバイト先で出会った岡村さんと恋をする。
軽度で一見障害があるとは分からないからこそ、これまで「普通」にできないことを責められたり、求められたらエッチもしてしまったりする有紗。感情がないわけじゃないからとても悲しかったり悔しかったり、ずっと自分を責め続けてきた。
だから「いるだけでいい」と岡村さんの言葉に有紗はとても救われる。この世に必要とされたいのにされないと暗く渦巻いていたものがスーッと消えていくシーンがとても印象的。
優しい岡村さん自身も、有紗の見た目が可愛いから好きになってしまったことに自問自答したり、有紗の母親に将来を問われて悩んだり。
2人が安心して一緒にいられる世の中になってほしい、と願わずにいれない。
良かったです
途中こちらまで胸が苦しくなる展開がありましたが、下巻では丸く収まって本当に良かったです。
綺麗事にするのとも腫れ物あつかいとも違う、「障害」をこんな風に描ける方がいるなんて…一気に読んでしまいました。久々に良い作品に出会えました。
「不器用」とか「おっちょこちょい」ということが、チャームポイントとして捉えていたのに「障害がある」と言われた途端気になり出す。残酷だけど、そうだよなあ…と思いました。
Posted by ブクログ
上には漫画、下にはドラマの感想。
随分前に読んだ。
IQ68の軽度知的障害の女の子の初恋と社会との物語。
有紗の気持ちを思うと、心が痛い。
友人のともちゃんのようにもう少しIQが低ければ悩まなかった健常者との違いに苦しみ、傷ついていた。
健常者の岡村は、ただただ可愛かった有紗の言動が、障害故であることを知り、拒絶と許容とその人生を背負うことを悩む。
障害の一番の弊害は経済状況だと思う。
有紗と岡村なら、乗り越えていけそうな。
Posted by ブクログ
軽度知的障害の女の子が主人公。
軽度知的のテンプレみたいな生活を送っている。しかし、顔がアイドルみたいに可愛く、仕事も頑張れば結構できるようになる。そして優しい彼氏をゲット。稀有な成功例ではなかろうか…。
障害とは何なのだろうね。高学歴女子でもヤリマンビッチは一定数いる。彼女達も「淋しくてすぐヤッちゃうの…」等と言う。最初は難しいけど段々上達するのも皆一緒だ。
結局自分が頑張らないと幸せにはなれないのではないだろうか。
頭の中ではたくさん助けてと言っていた、というシーンがあったけど、これには身に覚えがある。いつも酷い目に遭っているのに、親も周りの大人も誰も助けてくれないという感覚があった。自閉あるあるなのかな。言ってないのに言ったような感覚に陥る。