あらすじ
島からの就職活動、生活費、アルバイトの終了…上手くいかないことばかりが頭にこびりつく、そんな現実を知らせる夏になった。熱も冷める夜に熱く抱き合う二人は本気で相手のことを考え、次の道を決めなければならなかった。渡ってきた海に向かって立ち、誰よりも強くなった二人が再び歩き出す最終巻…!
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主人公のひとり・西宮はるは、就活真っ只中の大学生。
恋人のひーちゃんを心の支えにして、説明会や面接に追われる、忙しい日々を送っていました。しかし、頑張りとは裏腹に、思うように選考は進みません。どうしたら良いのかも分からないまま時間だけが過ぎ、はるの精神は次第に追い込まれていきます。
ある日、ついに限界を迎えたはるは、帰りを待っていたひーちゃんの言葉をさえぎって部屋にこもってしまいます。泣きながら「がんばってるだけじゃだめなの」「自分の全部が悪く感じるの」と口にするはるに、ひーちゃんは逃げ道を示して…。
日本は調和を重んじる国と言われていますが、そこに息苦しさを覚えたことがある人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。だからこそ、就活中のはるには、とても共感しながら読み進めました。
就活を放り出して始まった島での生活は、序盤に描かれた都会の生活とは真逆。
穏やかで開放感に溢れるふたりの姿は、羨ましいほど楽しそうに見えます。しかし、それは「普通」を抜け出したからこそ得られたものなのです。
はるとひーちゃんのように、全部投げ出して島暮らし、なんてことができる人はなかなかいないでしょう。しかし、「少しでも自分らしく生きたい」と思う人には、きっとこの作品が背中を押してくれるはずです。
感情タグBEST3
何のために
正直辛い、ホントに辛い展開
メンタルが安定しているときに読むべき位の辛さがあった。
少ない選択肢を繰り寄せて道を切り開こうとしても、ご都合主義なんて微塵もない結果が突きつけられる。
辛いから逃げたけど、結局は逃げることなんてできない問題だから再びぶつかり同じことを繰り返しただけだった。
ただ、大きく違うのは何のためにという目的が明確になっていったこと。
何のために就職活動をする?何のためにお金を稼ぐ?何のために部屋を借りる?
最も優先するべきものは大切な人。
それをわかっているかどうかで第1話と最終話では同じ就職活動中なのに向き合い方がまるで違う。
目的が分かれば逆算して計画を立てればいい、そして計画が出来れば後は行動するだけ。
上手くいかなくてもそれは失敗じゃない、次の行動に取り掛かればいい。
目的を明確にするため、周囲から余分なものを取り去ってから改めて考え・探り・向き合い、そしてそれを分かち合う。
そんなお話。(レビューという名の感想で失礼しました
逃避行的なほのぼの百合モノかなぁ?と読んだらとんでもねー逸品と出会っちゃったぜ!!