主人公のひとり・西宮はるは、就活真っ只中の大学生。
恋人のひーちゃんを心の支えにして、説明会や面接に追われる、忙しい日々を送っていました。しかし、頑張りとは裏腹に、思うように選考は進みません。どうしたら良いのかも分からないまま時間だけが過ぎ、はるの精神は次第に追い込まれていきます。
ある日、ついに限界を迎えたはるは、帰りを待っていたひーちゃんの言葉をさえぎって部屋にこもってしまいます。泣きながら「がんばってるだけじゃだめなの」「自分の全部が悪く感じるの」と口にするはるに、ひーちゃんは逃げ道を示して…。
日本は調和を重んじる国と言われていますが、そこに息苦しさを覚えたことがある人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。だからこそ、就活中のはるには、とても共感しながら読み進めました。
就活を放り出して始まった島での生活は、序盤に描かれた都会の生活とは真逆。
穏やかで開放感に溢れるふたりの姿は、羨ましいほど楽しそうに見えます。しかし、それは「普通」を抜け出したからこそ得られたものなのです。
はるとひーちゃんのように、全部投げ出して島暮らし、なんてことができる人はなかなかいないでしょう。しかし、「少しでも自分らしく生きたい」と思う人には、きっとこの作品が背中を押してくれるはずです。
感情タグBEST3
これは・・・良いｯ!!!
僕も何となく就活したけど全然合わなくて辞めちゃった。
今は日本中フラフラしながらバイトして生活してます。
世間一般だと普通じゃない道を歩いてるから批判が多い。
けどこの物語は優しく肯定してくれます。
いつか彼女たちとも旅の途中で出会えると良いですね。
Posted by ブクログ
ソフトめな作品です。都会暮らしの目まぐるしさに疲れ果てているシーンで、周りに認められようと必死に頑張っているのに上手くいかないところで自分と重なり泣けました。思いやりとポジティブ思考を持って、2人で支え合って遠い島で生活を始める物語。これからどうなるのかワクワクしています。最後の数ページもだいぶ雰囲気が違っていて最高です。
Posted by ブクログ
就活に悩むふたりが大学やら就活やら何もかもを投げ出し、東京から出て逃避行する話。就活生の自分としては放り出したくなる気持ち分かるなあと思いながら読んでいた。嫌なことから逃避する2人を暗くせず明るく描いているところが魅力。都会から離れた島での出会いや夜空や海の煌びやかさに、読んでる側も自然を摂取した気持ちになって心が浄化される。明るい雰囲気なのに現実から逃げているという背徳感がストーリーを支えていて、物語が薄っぺらくないのも良かった。
