あらすじ
「羽根田は、来年からは理事長じゃない。ただの生徒の羽根田トバリになるんだ」
校長と紅さんとともに、羽根田トバリをひとりの生徒として卒業させるための1年が始まった。どうやら羽根田の卒業課題は、1年かけて臨む内容になるらしい。
そんな今年の上級クラスには新しい進級生が1人、妖狐である紺野ヨーコがやってきた。だが彼女が人間になりたい理由は、これまでの生徒とは一線を画すもので……。
羽根田の卒業課題、紺野の目標との向き合い――5年目の人外教室は、去年以上に大きく変わった1年になりそうだった。
これは、異世界ファンタジーでも、人生やり直し転生でもない。
人間を知りたくて、人間に憧れ、人間になりたかった――そんな1人の人外女子の旅立ちを見送る、ただの教師の物語。【電子限定!書き下ろし特典つき】
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大好きなシリーズの最終巻。
こんなにも終わらないでくれって思いながら読んだ本は生まれて初めてで、内容もずっと感動して泣きそうになりながら読んでカバー裏を読んでまた泣きそうになった。
本当に素晴らしい物語をありがとう!
Posted by ブクログ
シリーズついに最終巻!人間嫌い教師ヒトマが、人外教室を通じて人間に興味を持つまでの5年間の軌跡がついに終わるのか…。過去だとドラキュラやロボット系、最近では『葬送のフリーレン』など、「人同士ではなく、人外の存在を通じて人間を知る」という作品になぜ惹かれるのだろうか。
現実、特に日本では自己責任という他責思考、弱者に厳しくドロップアウト後の復帰が難しいなど、他人に無関心な傾向があると感じている。空気が支配し、周囲から浮かない、迷惑をかけないという文化が復帰に歯止めをかけている。それが日本特有の引きこもりの長期化にも繋がる。
そのような社会から逃れたいが、孤独には生きていけないため繋がりが欲しい。そのニーズに応えているのが、キャラ文化やネット・アバターなどの匿名文化な気がする。
直接通じ合う関係性ではなく、キャラや匿名というヴェールを被った一定の距離を保つ関係性。石田光規『「人それぞれ」がさみしいー「やさしく・冷たい」人間関係を考える』という本があるが、そのサブタイトルのとおりの関係性だと感じる。日本の場合それが互いの尊重という考えと結びついた合理性になっている。
そういう考え方に対し、人同士ではない関係性という要素がスッと入り込みやすいのかもしれない。
この関係性が特に表現されているのが、この巻で登場する紺野。彼女は「ニンゲンに復讐するため」に人外教室で学び、人間になろうとする。その思想の背景には、過去のトラウマが関係している。
そして、同級生のアイドル的存在若葉のファンクラブ会員で推している。しかし、若葉は友人として接して欲しいと距離を詰め、紺野は拒否してしまう…。
ヒトマが間に入り、2人はしっかりと話し合い向き合っていく。これが紺野の考えが少しずつ変化していくきっかけとなる。
同時に人間嫌いのヒトマは、人外生徒の悩みにしっかりと向き合い、彼女らの夢を応援し、卒業を見守る過程を通じ、人間に関心を持っていく。
行動や考えが変わることが成長への契機。様々な作品でも、時にはぶつかり、恥が許され、互いを尊重できる相手を見つけて、深い人間関係を結んでいくことを描いている。優しい関係だけでは、自身を改善させることができない。
私もこのシリーズを通じて改めてヒトマを見習い、そういう関係性を築いていきたいと感じた。