【感想・ネタバレ】最期の声 ドキュメント災害関連死のレビュー

あらすじ

「どうしたら娘は助かったのか?」
4歳の少女は、熊本地震により倒壊の恐れがある病院から
緊急転院した末に亡くなった。本震から5日後のことだった――。

東日本大震災、熊本地震、新潟県中越地震など
阪神・淡路大震災以降の国内の災害で
「災害関連死」とされた人の数、5000人以上。
死者たちの残した声なき声をきく。

10年にわたる取材で災害支援の道を照らすノンフィクション

災害の多い日本に暮らす私たちは、誰もが被災者になり、
命を落とす可能性がある。
避難中のエコノミークラス症候群、転院移動後の死、
鬱を患い自死、復旧に奔走した末の急性くも膜下出血……
どんな支援があれば命を救うことができるのか?
遺族、弁護士、医師、行政関係者、研究者ほか、
災害関連死を亡くなった人たちの「最期の声」ととらえ、
次に来る災害の教訓にしようとしている人たちがいる。

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Posted by ブクログ

 災害関連死を調べることは未来の災害関連死をなくしていくための貴重な財産になるという信念のもと、阪神・淡路大震災、中越地震、熊本地震の災害が発生した地域を歩き回り、遺族、関係者、支援する医者、弁護士など一人ひとりの話を聞きながらまとめた本だった。とにかく丁寧な取材が際立っている。そして取材相手のこころの傷に寄り添って深い共感を示す。彼らと共に涙し、怒り、何をすべきなのかを考える。世界をより思いやりのある、誰も置き去りにしない場所にしたいという、とてもまっすぐな理念のもとで執筆しているのが分かる。そもそも日本の災害被害者に対する弔慰金という制度は、自ら被災して大切な肉親を失った政治家が信念を持って実現にこぎつけた施策だ。近視眼的で人気取りに汲々としている政治家ばかりの昨今ではなかなか見かけられない存在だ。絶版になったそうだが、こういう本こそ多くの人に読んでもらいたいものだと思った。

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

副題に「災害関連死」とあるが、災害弔慰金法制化の経緯からどのように災害関連死に対象が広げられてきたか、また災害関連死を「災害支援の失敗例」と捉え、遺族と災害関連死対策をする人を追ったドキュメント。新たな視座を提示できている。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

阪神大震災や東日本大震災などの大災害による死で最近注目されているのが「災害関連死」だ。災害後の極端な生活変化や家族の喪失などに肉体的にも精神的にも耐えきれず、亡くなることを指す。

震災によって入院してた病院を失ったことによる病死。失った住居や収入を取り戻すために働き続けたことでの過労死。震災から数年後にウツに病んでの自殺。様々な災害関連死が認められた一方、世間体を気にしたり、死んだ者はかえってこないとあきらめて、申請を拒否する者や制度そのものを知らない者もいる。

また、申請を受け付ける自治体によっても、災害関連死を認める度合いに差がある。

結局、災害関連死という制度は、未だに被災者遺族をすべてカバーできないし、順序を付けてしまうことがある。が、災害対策を完璧にすることができないことと同様に、被災者の声を受けてチューニングを繰り返すしかない。

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2023年02月21日

Posted by ブクログ

本の雑誌の特集からのピックアップ、だったか。色んな理由から、クリアカットに災害関連死と認められづらかったケースを取り上げ、心情面や行政面など、多角的にその理由を掘り下げていく本書。年齢などの背景はさておき、災害がなければ避けられた死だった、と感じられればそれは関連死、とまずは考えてみるのが良いのでは。申請性というのもイケてなくて、上記のごとく考えれば、少なくとも網羅的に把握することも容易になる気がする。個人的に特に思い入れが強かったケースは、同じく娘を持つ親として、自死を選ばざるを得なかった父の気持ちを思うともう…。こみ上げるものを押さえるのは困難だったのであります。自国民にすら優しくない国で、いわんや日本に住む外国出身者をや。やるせなさがいっぱい。

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2022年07月07日

Posted by ブクログ

災害関連死と認定される人の話し

すぐには認められず、なかなか難しいが
役所の言われるままに書類を提出しただけでは認められないとか
認定されるまでに諦めてしまいそう
災害で急に両親が亡くなったって、子どもがこんな制度があるとは知らないまま終わってしまいそうだし

もう少し、ちゃんとこの制度を拡めてほしい

災害から何年も経ってたら、災害と関連あるとは思わない人だって多いだろうし

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2022年10月31日

Posted by ブクログ

災害関連死…適切な支援やサポートがあれば救えた命、被災者の最期の声…いつ災害が起き自身も被災者になってもおかしくない今だからこそ、考えていかないとならないと思いました。

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2022年06月01日

Posted by ブクログ

いろいろ考えた。
自分達は大丈夫ってことはない。
無知や無力は補っていかないと。
だけど自己責任論的考えも根深いし…

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2022年03月15日

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