あらすじ
領主の息子・アグレディオスが長い狩りから村に帰ってくると、かつての喧騒が、笑い声が、消えていた。”禁忌の森”に住む”魔女”が原因だと知ったアグは、絶望を怒りで塗りつぶし復讐のため森へと分け入っていく。
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Posted by ブクログ
あー、なるほど。この生活感、「生きる」ために助け合う感じ、凄く好きです。
生き残る事、生存を描いたファンタジー。
冒険や英雄譚ではないというのがポイントです。
…地味な印象はあるのですが、そのおかげで知恵を凝らして困難な状況を乗り越えていこうとする行動、登場人物たちの心境が丁寧に描かれています。
個人的にツボなポイントはファンタジー(中世ヨーロッパ)の生活が感じられる点。
食生活が目立って感じられますが、それ以外でも村の街並みや服装、武器や装備、それから夜の暗さの表現が何とも「それっぽい」。
「魔法についての説明がない」所も生活に根差してる感じがして好みです。
また、キャラクターも魅力的。
特に主人公・アグレディオスの実直さが良いですね。
家族や村の人々を失っても、残された微かな希望のため前向きに立ち上がれる感じ。
驕り高ぶらず、自分にできる事・できない事を把握して、最善(と思われる)の行動をとれる。
仲間の気持ちを察する事が出来て、人を傷つけたならそれを反省し、謝れる。
…えっ、理想のリーダーなのでは?(本人は望んでなさそうですが)
魔女(あえて名前は伏せますが)は…こういう描き方もあるんだなぁ、というか。
つまりは異文化・異端なのですが、彼女の素朴さ、純粋さは…正直もっさりしているのですが、彼女が変わっていく、彼女とアグレディオス達が関わっていく様子が化学変化のよう。
もちろんキーキャラクターなのですが、今のところはコミュニケーションがうまく出来ていないので謎の人ですね。
というか、服の概念あるんだ…?(笑
アグレディオスの妹、グリエメルダが実は真っ当な騎士キャラっぽい印象(アグは狩人とかレンジャーの雰囲気が強い)。
戦えるしカッコいいし美人だし。
冷静沈着ですがちゃんと兄や仲間達に配慮が出来る子。
つまり超ステキ。
…ダブルヒロインだとすると、今のとこグリの方が…いやいや。
その他、生き残りの双子、ペルシとペルラ、養蜂一家など、皆魅力的。
誰もが端役ではなく、しっかりと物語の登場人物として活躍しているのが素晴らしいです。
…完全にウーラは面白キャラですけども(笑
絶望的な状況からどうやって村を復興させるか…と思ってたら更にまずい状況になりそうな雰囲気。
日々の生活だけで精いっぱいなのになぁ…。
2巻も楽しみです。
新鮮
世界観が新鮮で絵もキャラクターも魅力的。
リアリティーとちょっと笑える要素まで入っていて、お値段以上の素晴らしい作品でした。
まさにファンタジー
剣と魔法、騎士と魔女の世界。ファンタジーの王道です。本当に面白い。ストーリー展開の奇抜さ。騎士の戦い方。魔女のさまざまな魔法。絵の上手さ。読んでて楽しかった。
騎士というより忍者では?
戦闘、狩り、魔法、笑いなど色々と詰まった作品です。
テンポもよく、どんどん次の展開へ進んでいきますが描写が細かく、読み返すたびに色々な事に気付きます。
個人的に驚いたのは、主人公と妹の顔の雰囲気が似ている所です。
双子を抱きかかえる所の表情とか、やっぱり兄妹なんだなーと思える雰囲気でした。
しかしやっぱり一番の見どころは主人公のワイヤーアクションですね!
等身大の中世(地方)。
絵も内容も非常に丁寧。
ストーリーもほぼタイトル通りですが御都合主義がなく
むしろ困難から始まった地方領主と僅かな領民の生き残りの物語で、先行きは今の処悲壮でしかない(3巻まで)のですが、不思議と悲惨とかグロテスクだけと感じないのは出る人間が「魔女」を含め「領民」であり、幼い子も「こうなるしかない」でも「どうにかして生き伸びたい」という全員地に足の着いた強い願いを持つ逞しい人々であるからであり、それゆえに読み手は彼らの日常と刹那の喜びと未来の希望を持つゆえの明るさも共感できるのではないかと思います。