あらすじ
新進気鋭の人気作家・カツセマサヒコ氏をはじめとする、りょかち氏、Shin5氏が執筆する18篇の短編オムニバス小説。50の駅を巡る、おとなのデートストーリー。付き合う前の食事デートや、一緒に暮らすための雑貨を買いに行くデート、将来を想像しながらのんびり過ごすデートなど、いろんなデートを味わえます。
目次
1.「彼女は僕より本が好きだから」 2.「まだ見てなかったものを探しに」 3.「今日だけは先を歩きたい」 4.「まるであの頃の二人のように」 5.「今のままでも、大人になっても」 6.「あなたはいつも正しいよ」 7.「娘がハタチになりまして。」 8.「ゆっくりと時間が流れる場所を探して」 9.「答えなんて、出なくても。」 10.「『またね』が言えなくなる前に」 11.「『また来ようね』と言える幸せ」 12.「だからこれからもよろしくね」 13.「予想外の雨が教えてくれたこと」 14.「飽きっぽい私たち」 15.「東京を、もっと知りたくなった夜」 16.「腹が空くまで歩こうよ」 17.「未来に続く道で、ふたり」 特別書き下ろし小説「昔行ったあの店がなくても」
本書は「東京デートストーリー」のインスタグラムで連載していたものを、加筆修正のうえ、本書オリジナル書き下ろし小説1編を加え、書籍化したものです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久しぶりになんだか心あったまる文章に囲まれた気がする!ほっこりする系って刺激なくて逆にたるくなっちゃうことあるけどいいテンポで短編になってて読みやすいしやはり流石のカツセって感じではある。私的にはかなり好み。同級生の話良かった。
Posted by ブクログ
東京がもっとすきになる本!東京にいる間にいろんなところに行きたくなった!カツセさんが紡ぐストーリー、とても心に染み渡ってすき。やはり天才。ただ、コロナの打撃を一身に受けたんだなと思われる紹介されているお店の廃業っぷりに、心がいたんだ。
p.32 「あのね、歳下とか、気にしてるでしょ。そういうの、大丈夫。好きだから付き合ってんだし、無理しなくていいの。今日もずっと嬉しかったけどね、いつもこうだと、疲れちゃうじゃん。もっとのんびり、お互いが好きなところ行きたいところに、気軽に行けるように付き合いたいなって」その時僕は悟ったのだった。僕はいつまでたっても彼女に乾杯し続けて、それでいて、幸せなのだと。
p.52 「俺とだったら、今のままでも、大人になっても、きっと楽しいよ?」ビフテキを焼く音が、耳に入ってこなくなった。彼女は、頬を赤らめた。
p.60 記念日すらディナーを予約しない夫と、土日すら手料理を作らない女だ。ずぼらと言う共通点によってお互いを補完してあった私たちは、そこら辺の夫婦よりよっぽど平和的だし、世界中のカップルでも上位に入るレベルで幸せだと自負している。
p.90 「でもそうやって悩んでいるうちは、東京がいいかもね」「え、なんで?」もんじゃをゆっくりほおばって、弟は言った。
「東京って、答えを出した人の数よりも、悩んでる人の数の方が多そうじゃん」生意気な大学生の弟は、本当に我に、良いことを言う。
p.98 「同棲したらさぁ、『またね』なんて言うこと、なくなるんだね」生ぬるい風が吹く。いつもなら不快に思いそうなのに、なぜだか今日は心地よい。
「あー、そうか。家まで一緒だからまたねはないもんね」
「そう。あと、『待ち合わせ』も、減っちゃうね」
「あぁ、そうだね、持ち合わせる必要がないもんね。不思議だね」
「そういうのさぁ、一緒に暮らすまでに、いっぱい経験しとこうね」彼女が僕の手を強く握った。愛おしさが一気に込み上げて、雄叫びでもあげてしまいそうだった。
「ねぇ」僕は彼女に問いかける。「やっぱり結婚したいかも」「だからそれは、同棲がうまくいったらって言ったでしょ?」せっかちな僕は、いつも”順番”を間違える。
p.125 その大人な優しさに溶け出すとろりとした嬉しい気持ちと、その分仕事を頑張ろうという凛とした気持ちで、だらだらとこぼれだす、自分が情けない気持ちを覆い隠した。
p.127 好きな人が恋人になって嬉しいことの1つは、何の遠慮もなく、大事な1日も、次の季節も、私のそばにいてね、と言われたところにある。私も彼に暖かそうな靴下を買って、「今年の冬に履いてね」と言った。
p.168 僕らの約束がどのように続いていくのか、正直わからない。けれど、約束は、いつも意思でしかないから。未来は見えなくても、今はっきり見えている意思だけは、口にしてはっきり伝えたかった。
紹介されていたお店
・しぇりークラブ… 「ギネスブック認定」の300種類以上のシェリーを揃えるシェリー専門店。本格的なスペイン料理も味わえる。
・DNPプラザ…1階にある「問いカフェ」は、社会が抱えるさまざまな「問い」に対する”ヒント”となるような書籍を閲覧できる。
・トルコ文化センター:トルコならではのカラフルなビーズとガラスを組み合わせるランプや小物作り体験は、エキゾチックな気分を味わえる。
Posted by ブクログ
前から薄々感じてたけど、「街は生きてる」なと。
都内で働くようになって知った駅もたくさんあるけど、その駅がある街でのストーリーを読むと、「街も人も生きてる」んじゃないかなと感じます。
Posted by ブクログ
一言で【恋愛、結婚観について言語化】してくれた本でした。
17個の短編エピソードがあってどのお話も、心が柔らかくなりました。
エピソードを通して、こんな夫婦になりたいなあ、とか相手の好きなところを見つける彼だったり、男気ある旦那や、カツセさん含む御三方は、本当に優しい人間を描写するのが上手だなと思いました。
他のレビュー者様の言うように、確かに内容はライトでしたが、しっかりとカツセさんの書いた文章を感じられてとても好きでした。
特に書き下ろし短編集は、本当に天才的だと、カツセさんの虜に、さらになっちゃいました…
男女のエロティックな文を、陳腐な言葉だけど、あんなにエモくかけるカツセさんの次回作がもうすでに楽しみです。
ということで、私は星5個の作品でした!
Posted by ブクログ
実在するお店がでてくるショートストーリー集。
東京に住んでいたら、同じルートでデートしてみるのも楽しそう。
大阪編も作ってほしいくらい。サクサク読めるし おもしろかった。
Posted by ブクログ
癖のないさっぱりした人たちのデート。
実在するお店がしつこくない程度の描写で心地良く読めた。
地方住みの為馴染みのない店ばかりだったけれど一緒にデートしている気分になれて楽しかった。
Posted by ブクログ
飾らない文章で読みやすかった。
相手のことを好きな気持ちがわかりやすい書き方なのも良かった。
ただ個人的にはかなり淡白に感じて物足りない気もした。