あらすじ
・「チルい」ブームの街は「サイコーにちょうどいい」街へ――
・東京はもっと若者仕様になる――
長く続くコロナ禍は日本の深刻な問題を忘却させてしまった。必ずしも東京に住んでいるとは限らない読者の生活の「未来」を描くのに、何故、「東京」を切り口にするのか。東京をまず「エンジン」として割り切って、その後に日本全体を駆動させる、「新しい東京一極集中」を戦略的に目指すべきだからだ。東京が稼ぎ、それを地方へと再分配する、人口が減少していく時代に必要な地方創生の在り方を提示する。提唱した「ヤンキー経済」が2013年の、「Z世代」が2021年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートした原田曜平による新たな提言。この本を読み終えたら、アフターコロナの日本の「未来」が今よりはっきり見えるようになる。
【目次】
はじめに
序章 今の日本が置かれた状況
第一部 現在のTOKYO
第一章 東京は世界で最も熱い?
第二章 東京の人間が東京の価値を一番知らない
第三章 東京の魅力は世界に伝わっていない
第四章 世界中の若者がTOKYOに住みたい
【座談会】 外国人留学生から見たTOKYO
第二部
第五章 「サイコーにちょうどいい」街、東京
第六章 東京に引き寄せられる若者たちの「思想」
第七章 TOKYOの課題と未来
おわりに
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Posted by ブクログ
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原田 曜平
日本のマーケティングアナリスト。芝浦工業大学 デザイン工学部 教授、信州大学・特任教授、レイヤーズ・コンサルティング顧問、玉川大学・非常勤講師、経営学部国際経営学科「マーケティング、消費者行動論、若者研究」。ワタナベエンターテインメント所属。BSテレビ東京番組審議会委員。
Posted by ブクログ
様々な流行語を作り出している著者が東京について語る一冊。なるほどと思う点が多くて興味深く読みました。
今の東京は、最高点を求めるなら海外に負けがちだけど、平均点は異常に高い。
日本の都会の若者たちはガムシャラに高みを目指す傾向は見られず、コスパやタイパを求める。
そんな傾向もあってか、安全快適でぬるま湯な都市は世界でも例が無く、ある意味で東京の強烈な個性となっているという論説は面白い。
今後、少子高齢化がますます進んでいくと、積極的消費の主体は若者側に移っていき、マーケティングやサービスの質も若者側に変わっていくだろうということで、東京の姿も徐々に変わっていくのかなと感じました。
Posted by ブクログ
世界中でアンケートをとり、しっかりと各国の情報等を読み込まれて書かれているのでとてもわかり易く、内容も分析・考察まで深くされているので興味深く読めた。特に若者の世代別の変化の仕方などはなるほどなぁと実感できるものだった。
本を読む中で疑問に思ったのが、このような日本の現状が自然発生的に形成されたものであるとされているが、日本と同じ状況の都市を意図的に作り上げることができるのかということが気になった。都市地理などの分野で研究される人がいたなら深く掘り下げてほしい研究テーマであるし、そのような研究の種が多く含まれている本であったと感じる。
Posted by ブクログ
日本が抱えている問題は大きい。国の債務が増える一方、少子高齢化の波が収まらないなどだ。
あえて東京にフォーカスしてこれからの日本について考察しているのが今回の本だ。
コロナ禍で、東京を離れて地方に移住するが話題になっているが、実際はそうではなかった。
グローバル都市不動産研究所の総務省住民基本台帳人口移動報告を元にした分析を引用している。
東京23区外、多摩地域と神奈川、埼玉、千葉の郊外部に移った人が大半だった。
その上、東京23区の人口も増えていた。都心区で人口が減少したのは、外国人の多かった新宿区、豊島区、港区だった。日本人の増加に関しては21区で人口が増加していた。
男女比で見ると、女性のほうが男性よりも転入超過数が2.23倍にもなる。
著者は指摘しているが、地方に興味を持つ若者は、超ごく一部の高学歴の中に多い、いわゆる意識高い系であり、(ドラマ「あまちゃん」の主人公の)アキのような引っ込み思案でイケてない子では決っしてない。
東京は世界の若者にとっては意外とイケている街だった。
遊ぶ場所に関して東京ディズニーランドのような施設もあれば、カラオケ、ゲームセンター、漫画喫茶のような手軽に楽しめる施設もある。
自然触れ合いたければ、電車に乗ってあっという間に高尾山、御岳山、秩父に行ける。遠くに行かなくても、公園がたくさんある。
衣食住も安いのにそれなりのレベルで満足できる。
著者は数値的指標に表れない東京の良さとして、都市ランキングの項目に問題があると指摘している。
ミレニアル世代・Z世代と言われる世代のニーズに合わないランキングだと述べている。医療、教育、富裕度などの項目は、若い世代にピンとこないから無理もない。
著者は東京に引き寄せられる若者たちの思想について、若者の行動原理は「利益」でも「倫理」デモなく「楽(ラク)」だった。
高度経済成長の頃やバブル景気の頃のような這い上がってやろうという思考の持ち主は絶滅危惧種で、便利なものを利用して人生を楽に生きたいと思う若者が主流だ。
未来の日本が進むべき道について、
著者はあえて東京の一極集中を加速度的に押しすすめるべきと考えている。地方が束になっても東京に勝てる要素がなく、地方に資金や人を投入しても地方創生は絵に描いた餅だ。
東京をさらに発展させて、東京稼いだ金を、ふるさと納税のような形で地方へ再分配する。
ここでは触れていないが、若者が地方へ行かないあるいは地方から出て戻らない理由の1つは価値観の違いだ。今でもいるか分からないが、地元で進学あるいは就職して早く結婚して子供を育てるの正しいという「昭和レトロのビンテージもの」のような思考回路の持ち主たちが居れば、都会に避難して二度と戻ろうとしないだろうなあ。
仕事が地方にあってもマインドが変わらないと「デジタル田園都市構想」なんていうフワッとした政策を掲げても見向きもしない。
地方創生を掲げて美味しい思いをしたい地方出身の国会議員や地方議会の議員などには、聞きたくないことだろうが。
Posted by ブクログ
タイトルにある、若者の地方移住と地方創生については全く関係のない本
脳死で生きるには東京は世界で一番ラクな都市だよ、という本
納得感ある
でも著者は日本では東京以外住んだことないのでは?
正直個人の感想ですよねってところもあったな。