あらすじ
2030年までに達成すべき国際目標として「SDGs」が掲げられ、世界は動き出した。
ビジネスや教育現場など、様々な場面でSDGsが謳われている。
しかし、私たちは「本当に意味のある社会貢献」に取り組めているだろうか?
表向きはSDGsと謳いながら、単なる「きれいごと」に終始していないだろうか?
そもそも、私たちの何気ない行動が、世界の問題をむしろ助長していることに気づけているだろうか?
・私たちが「寄付」をすると、アフリカの経済的自立が遠のくかもしれない
・私たちが「新品の服」を求め続けると、バングラデシュの悲劇が繰り返されるかもしれない
・私たちが「肉食」を続けると、世界で「水戦争」が起きるかもしれない
・私たちが「スマートフォン」を買い続けると、コンゴの性暴力が悪化するかもしれない
貧困・環境・資源・紛争といった世界の問題と、私たちの生活は繋がっている。
世界の問題と自分の「繋がり」を知れば、無関心ではいられなくなるだろう。
そうやって内から湧いてくる問題意識を持つことが、本当に意味のある社会貢献をするために欠かせない。
本書ではアフリカで人道支援に取り組んできた原貫太氏が、独自の切り口で世界の諸問題に迫る。
この本を読めば「どこか遠くの世界の出来事」で終わっていた話が、「私の生活の延長線上にある出来事」に変わるはずだ。
さらに、世界の貧困の正しい見方を学び、「アフリカよりマシ」で片付けられない日本の貧困についても理解を深めることができる。
どれだけ大きな問題も、すべては「知る」ことから始まる。
さあ、勇気を持って世界へと続く扉を開けよう。
100万部超の大ベストセラー『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP)共訳者・上杉周作氏推薦!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
YouTubeを見たことが、この本を手に取るきっかけとなりました。
アフリカの現状を良い視点から教えてくれる一冊です。古着の寄付が、実際にはゴミを海外に送り出す行為になっていることに気づかされました。彼らが自立した生活を送れるよう支援することこそ、正しい応援のしかたですが実践が難しいでしょう。
また、肉食問題や水資源問題が非常に深刻であることを改めて認識しました。地球と共存できる社会へ発展していくことの難しさを、痛感させられる内容でした。紛争地域の性暴力の意味も考えさせてくれた一冊でした。
Posted by ブクログ
世の中の複雑な事象は、善と悪でクリアカットに見れば、分かったつもりになる。そもそも、世の中のことなんて善悪、正義と悪の二元論で語れるはずがない。
そんな社会問題を、データを示しながら客観的な視点で伝えてくれる。筆者の謙虚な姿勢が伝わる文章にもとても好感が持てる。
衣服ロスや肉食が水不足に繋がることなど、授業に使えるテーマがたくさんあって参考になった。
良い本でした。
Posted by ブクログ
寄付が必ずしも途上国の支援になるとは限らない、かえって害になることもあるのは知りませんでした。
社会問題に幅広く触れられ、入門書としておすすめです。私はこの本のおかげで社会問題を自分事として考えられるようになりました。
Posted by ブクログ
卒論を書く為に読みました
古着ってすごく良いイメージを持っていたけど、
結局は日本やアメリカのような先進国が途上国にゴミを押し付けているだけという内容に納得した
それで自国の衣服廃棄量は減ってお金になり、メリットしかないけれど、相手国はアパレル産業が危うくなったり、大量の古着は売れ残り廃棄される為、大気汚染に悩まされたり
環境についてとても考えさせられた
Posted by ブクログ
この方のYouTubeを良く見るのでどういう興味本位で読んでみたらYouTubeの内容をまとめたものでした。
自分的には良い行動はどこの国かも分からない見ず知らずの人を傷付けてしまうんだなと考えるきっかけになった。
本当に世界を正しく見れるようになる良書です!!
Posted by ブクログ
紙の書籍にて。
読んでいて心がざわざわする、そんな本にたまに出会う。
この本もまさにそんな1冊。
アフリカで社会貢献活動をする著者から見たSDGs。
「私たちの未来を最も脅かすものは、無関心である」
という環境保護活動家ジェーン・グドール氏の言葉を引用して、アフリカのファクトフルネスとともに社会問題を「問題」として「認知」させてくれる。
衣服、肉食、スマートフォンといった自分の身近な毎日の行動が、巡り巡って発展途上国にどんな影響を与えているか。
事実を「知ってしまった」以上、関心を持ち続けられるのか?無視してしまうのか?
私たちは選択を迫られることとなる。
Posted by ブクログ
SDGsの17の目標のうち、主に貧困問題にフォーカスして「世界を正しく見る」視点について論じられている
極端な意見に飛びつくことなく、安易な解決策を主張するでもなく、「世界を正しく見る」ためのデータと視点を提供することに徹している著者の姿勢に信頼を持って読み進められる
「資本論」の解説本を読んで「どんな社会を目指すべきか」なんて理想論を考えてしまうけど、革命で理想を実現することを考えるよりも消費者としてできることに手をつけていくことも忘れちゃいけないよなぁ
いい歳して読んだ本にすぐ影響されることも反省
Posted by ブクログ
企業の取り組みがメディアで取り上げられたり、学校の宿題でも関係することについての作文の宿題が出たりと、身近な課題となっているSDGs。
これからの世界を生きていくためには考えなくてはならない重要な課題なのだけれど、この本に痛いほど、いかに自分が本質を知らないかを知らされました。
経済発展だけでなく、環境や社会が抱える問題にもバランスよく取り組み、その根本的な解決によって世界を持続させようという17個の目標が設定されましたが、解決すべき問題の本質がわからないと具体的に何をするべきかわからず、おそらく多くの人にとってどこか他人事感があるのではないかと思います。
この本を読むと、見えないところで、思いもよらないところで日本と他の国がつながっていることがわかります。本当は何を考えなくてはならないのかが見えてきます。
とてもとても深いのですが、子どもたちにはこのレベルで問題意識を持ってほしいなと思います。
Posted by ブクログ
SDGs
牛肉1kg穀物12kg
豚肉1kg穀物6kg
鶏肉1kg穀物4kg
穀物消費は8割弱が飼料、かたや7億弱の人口が飢餓。
穀物1kgに水1800l
Tシャツ一枚に水2700l
輸入する品物の製造で予め消費された水はバーチャルな水の輸入。
資源があると、狙われ搾取される。資源の生む富は寡占され、資源に甘えて産業発展せず、貧困がほうちされる。
善意の寄附は産業発展の妨げだが、寄付されることで生まれる仕事もある。
いまや生活必需品となりつつあるスマートデバイスに必要なレアメタルのために、児童労働と現地コミュニティ破壊のための性暴力が現在進行形で行われている。
多産なのは労働力と死ぬことを暫定にしているからで、貧しいのに子供を作るわけではない。
日本の貧困は、本人の自己責任論になりがちだが、云々。
※リベラルな社会では努力すれば成功するという信仰がある
自分が触るもの、消費するものと地球の見たことない場所との関わりを感じて考えてしまう読後感の悪い本。正解の見えない問いが頭に残る一冊。
Posted by ブクログ
☆先進国で集められた大量の古着は、その多くが、国外に輸出されている。
2016年、アメリカ:75万トン. ドイツ:50万トン、イギリス35万トン、日本:24万トン。
☆東アフリカ共同帯(ケニア、ウガンダ、タンザニア)古着屋や靴の輸入額は1億5100万ドル以上(2015年)
☆売れなかった古着は最終的にアフリカにて埋め立てへ流れる。このことを受けてアフリカの国々では自国の繊維産業を盛り上げるために輸入をSTOPしようとし、2016年に、国外から輸入される古着に高い関税を段階的に引き上げ2019年を目安禁止しようした。しかし、自由貿易協定に反するとアメリカが反発。それはなぜか。アメリカで古着に従事している人たちが大量に失業する恐れがあったため。アフリカの経済成長「アフリカ成長機会法」がちらつかせ、アフリカの輸入を引き続き継続させた。(貿易制裁のプレッシャー0
☆1975年~2000年にかけて繊維・衣料品関連の雇用が80%減少している。ウガンダでは衣料品の81%が古着
☆アフリカによるアフリカのための包括的な開発計画【ラゴス行動計画】
=資源と原料を搾取され続け、先進国に依存している経済体制から脱却することを目指すための指針。アフリカ内の貿易・交流をもっと密に行い、相互ともに経済成長を狙う動き。
BUT、【構造調整プログラム】によって上記政策は頓挫する(世界銀行&国際通貨基金などの主導で)
→貧困問題がなくならないのは国内政策に問題があるから。だから、先進国が加入して援助をしてあげる代わりに、経済政策を指導しよう
☆魚を与えるのではなく、魚の釣り方を”引き出す”べき!!!
日本では年間10億着以上の新品の衣服が捨てられている。
【感想】
つくづく世界平和、みなが平等な生活は皆無に等しいと考えさせられる。得するものと損するものがここに成立しているし、貧困があるからこそ、国際機関やNGOなどの需要が得られ、みな収入が得られる。極端な話、途上国にとって一生貧困であるべきだ!と先進国がいってようなもの。それが、ラゴス行動計画を頓挫させた国際機関の考え。
善意で寄付する人たちも、何も考えないで100%良心で手を差し伸べる行動もただの偽善でありありがた迷惑である。この一章のみで世界の縮図が反映されている。
今後国際開発に携わりたいと考えているが、いかに活動をするべきか、頭を悩ましてします。
☆淡水(生活・農業・工業で必要な水)は、地球上において全体の2.5%。内1.7%が氷河や南極の氷として存在している。地下水や沼などの形で存在する淡水の量は0.8%に過ぎず、大部分が地下水。人類が取水しやすい状態の淡水は地球全体の0.01%(約10万立法キロメートル).
今後石油より水を取り巻く戦争・奪い合いも懸念されている。
【感想】
チベットには周辺国の貴重な水資源がある場所。その水に恩恵を受けている人口は30億人。これを統治しているのが中国。各ポイントにて水力ダムを建築している。これは30億人の生命線を握っているということ。こんな理不尽なことがあるもものか。日本では蛇口を捻れば、あたりまえのように水が流れるが、他国では本元の水源は多くの国を経由し、生活に根付いている。まさに地球のどこに属しているかで、奪う側に立つか、奪われる側に立つかが決まってくる。。。。
☆3TG(すず、タンタル、タングステン).電気自動車を製造するのに必要なものはレアメタル(コバルト)
リチウム電池をを製造するために必要になってくる。ノートパソコンやスマホにも使われており、昨今需要が急増している。このコバルト産出量のうち約68%がコンゴに集中している。採取するのに”クルーザー”と呼ばれる手堀に従事する人が11万人~15万人いる。労働者の中には、18最未満の子たちが多数おり、児童労働に虐げられる。
【感想】
今後IT化が進みパソコンやスマホの需要が増すことは大いに予想される実態である。より便利な生活を送るために日々各企業は知恵と研究を絞って開発に挑んでいいるが、その裏で、虐げられる人たちもいるのが現状。皆が平等な生活は無いものか考えさせられる。
☆バングラディッシュ:1971年にパキスタンから独立。当時の平均寿命は41.5歳。5歳の誕生日を迎える前になくなる子供の割合は1000人中221人。一人あたりの子供の数は6.9人2019年の平均寿命は72,5歳・子供1000人中30人。JICAの報告によると2019年に下痢による死亡者数は91%減少し、栄養失調による死亡は79%減少した。公衆衛生の改善・啓発活動が大きく貢献している。
【感想】
世界規模の枠組みで考えるとどこから対策すればいいのかわからないが、個々で見た場合しっかりと人々の生活が改善され、人々の命が救われたことにはとても感銘深い物を感じる。
Posted by ブクログ
YouTubeで寄付の実態に衝撃を受けて本書を読んだ。私達が享受している当たり前の便利な暮らしは、誰かの犠牲の下に成り立っているという事実を理解した上で過ごしたい。関心を持ち続けることを大事にしたいと強く思った。
Posted by ブクログ
sdgs関連の本では珍しく、その根本を身近なテーマに惹きつけて考えさせてくれる秀逸な一冊。魚の釣り方を教えるのではなく「引き出す」という表現は、非常に教育的なテーマである。
Posted by ブクログ
私たちが普段からこよなく愛するスマホ、肉、衣服など私たちにとってはそういったごく普通のモノが実は誰かの生活を脅かし、後に社会問題となって浮き彫りになっている。そうした社会問題に対して1分1秒でも良いから関心を持つことが全人類の使命でもある。
そのことを教えてくれる良書。
Posted by ブクログ
アフリカやコンゴの現状を知った
良かれと思ってやっていたことが
アフリカを逆に苦しめていることも衝撃だった
関心を持つこと以上に、関心を持ち続けること。
分かってはいるがこれが一番難しい
Posted by ブクログ
「重要なのは関心を持つことだけでなく、持ち続けること」当たり前だとわかっていても難しい奥深い言葉だと思いました。アフリカに対する見方が変わったのと、これからは鳥の目、魚の目で世界を見たいと思う。
Posted by ブクログ
SDGsの主要なトピックをピックアップしながら、読者に対して問題を提示する本。
意識する必要があるのは大きく分けて以下の3つの視点。
◯遠く離れた国で起きている貧困や紛争が日本に暮らす私たちとも無関係ではなく、むしろ私たちがその原因を作り出していることがあることを理解すること。
◯普段私たちが着る服や口にする食べ物は、いったいどこで誰がどのように生産し、社会や環境にどのような負荷をかけているのかを考えること。
◯私たちが当たり前のように享受してきた「便利な生活」というのは、途上国の貧しい人たちや地球環境の「犠牲」の上に成り立っている事実があることを理解すること。
これらの視点をもって、初めてSDGsに取り組む始点に立てる。
「事実」や「データ」に基づき、「世界を正しく知る」ことが重要で、さらには「関心を持ち続けること」が最も重要と著者は説いている。
だけど、一般的に「関心を持ち続けること」が一番難しい。
SDGsの本は定期的に読むようにしている。だけど、読むと気持ちがいつも辛くなってばかり。
自分の「便利な生活」に嫌悪感が出てくる一方で、同時にその便利な生活を手放せないでいる自分が本当に嫌になる。
デパートやスーパーで過剰に供給されている洋服や食品を見るだけで嫌な気持ちになるし、シャワーを浴びたり、暖房の温度を上げたり、お菓子を買うにもなんとなく嫌悪感が出てくる。
必要以上にキラキラしているネオンや看板も気になって仕方ない。
自分ができることはどんどん取り入れている(つもり)。仲間がたくさんいたらいいなと思っていて(本著にも書いてある)、1人でも多くの人にSDGsについて関心をもってもらえますようにと願わずにはいられない。
以下は本著で述べられているSDGs関連問題の主なもの。
〇アフリカが古着の「最終処分場」となっている
→善意の寄付はゴミを押し付けるのと同義
→やまほどの「古着」が激安で売られている(さらに余っている)
→アフリカに「古着」を送ることが地元の産業をつぶす
〇日本では新品の衣服が年間10億着も廃棄されている
→大量に作った方が安い、在庫を管理するよりも廃棄したほうがコストがかからない
→1枚の服を作るのに、2700リットルの水が必要(バスタブ15杯分)。
→さらに服の染色による水汚染が甚だしい。廃水の20パーセントは生地染色処理と言われいる
〇肉食(特に牛)が水不足につながている
→家畜を育てるための餌を育てるのに大量の水が必要(人間よりも家畜の餌が優先されている)
→畜産業のために破壊される森林
→バーチャルウォーターの話
〇鉱物資源が豊富な国でなぜ紛争が起こるのか(本書ではコンゴが主)
→アフリカの歴史(奴隷、植民地)を経てからの現在の先進国との関係性
→国家予算の半分を先進国からの援助に依存している現実、富が分配されない理由
Posted by ブクログ
非常に分かりやすい良本。「世界を正しく見るために、事実ときちんと向き合え」この姿勢こそが大事なのだ。
数年前の大ベストセラー書籍「FACTFULNESS」(ファクトフルネス)に通じるものがあった。
昨今の「SDGs」という言葉に踊らされず、きちんと足元を見ることは本当に大事だと思う。
しかしながら、今の社会では、情報が洪水のように溢れている。
正しい情報を取捨選択しようにも、それを見極めるのは相当に難しい。
その審美眼を磨けということだと思うが、簡単な話ではない。
当然ある一定の知識力が必要だと思う。
しかしそれこそ情報は溢れるくらい流れてくるのだから、必要な知識力がどれぐらい備わっていれば充分なのか。
本当のところは誰にも分からない。
さらに、知識力以外にも、審美眼を磨くための能力を備える必要がある。
その能力とは果たして何なのか?
必要な何かが存在しているのは間違いない。
それが分析力だったり、思考力だったり、想像力だったりするのかもしれない。
目の前の情報を鵜呑みにせず、批判的に考える能力も必要だろうと思う。
経営ではよく言われる、ジョブ理論だったり、デザイン思考だったりも、大事かもしれない。
結局、この能力を持っていれば万能という唯一のものは無いということなのだ。
そして、こんなに沢山の能力を会得することも不可能であるし、そんな万能な人間なんて存在するはずがない。
ついついそんな状態で、思考停止に陥ってしまう。
例えば商品の販売についても、人は選択肢が多ければ多いほど、購入に至る率が下がるのだという。
食品のジャムを、6種類用意した場合と、24種類用意した場合の購入率を比較した実験は有名な例だ。
選択肢が多いと選べないというのは、自分自身でも実感するところだ。
適度な数の選択肢の方が、ターゲットが絞りやすいということであるが、これは「必要とされる能力」という文脈でも当てはまる気がする。
「これからのビジネスマン、特にマネジャー職は、●●の能力を磨く必要がある」
という話を、うんざりするくらい聞かされているが、それではどうすればよいのか。
「結局何をすればいいの?」となった際に、あまりにも会得すべき能力の種類の多さに怯んでしまう。
「SDGs」も実はその一つだと思っている。
「能力の高いビジネスマンほど、SDGsの意識がある」と言われても、日々忙しく過ごしているのに、SDGsの勉強もしなければならないのは、あまりにも負担が大きい。
当然、大切なのは分かっている。
きちんと勉強しなければいけないのも、頭の片隅では理解している。
だからこそ、できる負担を減らすように、SDGsの知識を増やすための社内研修なども行っているが、効果はどの程度出ているのか。
そういう意味で、今の時代は特に「如何に考えさせるか」という心と身体の時間を確保することが本当に難しい。
逆に言えば、だからこそ敢えて断捨離して、心身の余裕を持って考える時間を作り出すしかない。
そうでないと、健全に議論して、全体としての最適解を生み出していくことは出来ないのではないだろうか。
ついつい時間に追われていると、「白か黒か」のような二元論で単純化してしまう傾向がある。
答えはそんなものでは出てこないし、当たり前であるが、単純に正解を求めるものでもない。
社会がこれだけ複雑化している中で、1人1人がきちんと意見を持って、それぞれで議論して、最適解を見つけ出していく。
これはどう考えても、時間もかかるし、相当に難易度が高い。
だからこそ、問題が解決されずに棚上げされてきたのだろう。
世界には天才と言われる人たちが数多くいるにも関わらず、この問題を解くことは容易ではないということなのだ。
こんなことを考えると、この複雑な社会を生きていくというのは、本当に難しいなと感じてしまう。
本書に記載されている各項目も、ニュースで見たり聞いたりした話であるが、こうして本の形式でまとめてもらうと、その解像度がグッと上がる。
しかし、本当に解決策は見つかるのだろうか。
衣服ロスの話は、本当に心が痛くなった。
年間50億着が製造されて、30億着が廃棄されているなんて、そんな無駄なことは今すぐ止めた方がいい。
しかもその仕組みは、ほとんどが我々日本も含めた先進国の都合で生み出されたものだという。
この解決は、先進国の我々こそが担うべきではないかと思うが、もちろん簡単な話ではない。
世界の貧困国が今後は経済発展によって、肉食化していくという。
牛肉も豚肉も、人の口に入るまでにどれだけの水を消費しているか。
世界人口は2024年の現在約80億人で、今後100億人までは増加する見込みが立っている。
そうすると、食料不足に陥る訳であるが、同時に水不足も引き起こすというのだ。
数十年先には、毎日毎日100億人の胃袋を満たし、生きていくための飲料水も確保し続けなければいけない。
地球上にある水はほとんどが海水で、飲める水はほんのわずかだという。
今後は水をめぐって、世界で戦争が起こる可能性すらある。
水に恵まれている日本で暮らしていると、世界で水不足が起きていることを感じにくい。
しかし、日本は食用肉についてほとんど輸入に頼っているため、水を相当量輸入しているのと実質同じことになるという。
日本も当然争いに巻き込まれる可能性がある。
そういう事実があるということを認識することが重要だ。
スマホに使われるようなレアメタルが、アフリカ・コンゴ地区での紛争を生んでいる事実も、日本ではなかなか報道されない。
不当な児童労働によって成り立っている先進国の生活がこのまま成立するはずがない。
アフリカの植民地支配はなくなったというが、形を変えて先進国に支配されている状況は変わらないが、いよいよ限界にきているため、何とかしなければいけない。
アフリカと日本を比較しての、絶対的貧困と相対的貧困の話はすごく学びが多かった。
自分自身で正しい情報を得る努力がまだまだだと感じてしまった。
さらに言うと、もし情報を得られたとしても、短絡的に考えてはダメで、そこからどう思考を深くしていくか。
「考え過ぎること」と「深く考えること」は、根本的に異なる。
そこを理解するのは本当に難しい。
「1人」と「孤独」は違う。そして、「自立」と「独立」も違う。
本書内での言葉が深く心に刺さる。
「1人」とは、自分ひとりの状態。(絶対的な一人)
「孤独」とは、周囲に人がいて、そこに入れなくて1人でいる状態(相対的な一人)
そして、「多様な依存先を持つことで、自分らしく生きていけること」が自立。
「周囲との関係性とは関係なく、自分ひとりで生きていくこと」が独立だそうだ。
アフリカと日本を単純比較することはできないが、こうして深く考えていくと、複雑な世界が解像度高く見えてくるから不思議なものだ。
だからこそ我々は勉強しなければいけない。
社会の課題を放っておく方が罪なのだ。
「最も深刻な社会問題は、人々の無関心だ」
これも刺さる言葉だった。
関心を持てば、その物事の背景も勉強しようと思うし、そこに関わる人と議論が必要だと思える。
今のスタンスで無関心を貫くのは、大人としてどうなのか、ということだ。
小さなことでいい。
社会の課題に対しては、自分はどう考えるのか。
それを思考するだけで、もしかすると世界は少しだけ改善されるかもしれない。
その小さな積み重ねが、いつか閾値を超えて花開くかもしれない。
まずは無関心を止めること。
それが大事なのだ。
(2024/5/20月)
Posted by ブクログ
切り口としては目新しいものはないが、アフリカ現地に行き、現状を見た著書だからこその説得力がある。
相対的貧困のみんなと同じことができないという辛さという表現がしっくりきた。
自立とは、多様な依存先を持つこと。それが自分らしく生きることにつながる。
Posted by ブクログ
SDGsについて学ぶ機会があり、たまたま目についたこの本を手に取りました。より多くの人、特に若い世代に伝わるように分かりやすく書かれていると思います。地球規模、世界規模の社会問題について考えるきっかけはなかなか無いけれど、まずは知ることが大事であると痛感しました。無知、無関心な人間にはなりたくないと思うので、この本をきっかけにまずは知ることから始めたいです。
Posted by ブクログ
身近なものがアフリカの貧困の原因になっている。
アフリカに古着の墓場があること、
スマホの鉱物資源の問題を知り読みました。
紛争、性暴力、児童労働、環境汚染、
世界から都合よく搾取され続けるアフリカ。
アフリカ難民支援に携わった筆者が目にした
事実とデータがとてもわかりやすかったです。
Posted by ブクログ
タイトルにあるSDGsについての詳細なお話しはありません。相手を理解しないひとりよがりの寄付は状況によっては相手の自立を妨げる、先進国の過剰な消費は地球環境にも開発途上国の経済、環境にも有害になる、肉食は水や農地というリソースを過大に使用する、レアメタルをめぐる争奪戦が生産地での戦争、児童労働などに繋がっているなどなど、さらには日本の貧困問題まで論じています。個々の話はある程度聞いたことがある話が多かったですが、出典を明らかにしたり章末に追加情報を記載したり、勉強になりました。何をするにも相手をまず理解することが大事ですね。ただ、過大な消費に依存している現在の資本主義体制の中で個人の善意以上の将来像が描けるのか、というと微妙かなと思いました。
Posted by ブクログ
とても勉強になりました。
アフリカの問題等知らなかった事が多々ありました。
色々な視点で物事に関心を寄せる事の重要さ!
関心を持ち続ける事、大切ですね!
親ガチャについても書かれていたがなるほどと思うところがありましたw
Posted by ブクログ
YouTubeで原さんの存在を知って色々なことに興味を持つようになりました。
本の内容は、ほぼほぼYouTubeで話されていることです。
自発的な意思が欠けたSDGsを会社でやっていこうと思っていた自分が恥ずかしい
Posted by ブクログ
データを元にしながらも、非常にわかりやすくアフリカ・日本の社会問題が解説されており、非常に多くの気づきがあった。
アフリカの問題は、直感的に正しいと思うことがことが、回り回って相手の不幸につながるという、表層的な問題には本質的な問題が存在しているという二重構造である、という非常に深い気づきになった。
ということは、相手のためを思ってやっているということは、実は相手を苦しめているかもしれない、ということであり、本質的な構造に目を向けない、無知、無関心が、どれだけ無意識の悪意に繋がるのか、ということが理解できた。
つまり、無知・無関心による善意の押し付けはほぼ悪意であるということ。
これは社会問題だけでなく、構造が複雑化している現代においては、人間関係など全てのことに言える問題だと思った。
ここを避けるためには、どれだけ知ろうとするか、表面的なことだけ一方だけの意見だけで理解した気にならず、構造的に知ること、両者の意見を知ることが必要だということ。
というか、ほぼ必須リテラシーだと思うが、これ(クリティカルシンキング)を初頭教育で行うべきだと思う。
Posted by ブクログ
原貫太さんのYouTube動画の内容をまとめた本。国内外の問題点・課題を公平な視点を持って学ぶことができます。
本書の学び
1.関心を持つこと以上に、関心を持ち続けることが大切。そうすることで、いつか、自然と次の行動に移すことができる。同じ興味、関心を持っている仲間を見つけるとなお良い。
2.鳥の目、虫の目、魚の目で、物事を正しく見よう。無意識の偏見や自身の願望が入っていないか?メディアに踊らされていないか?良い意味で疑ってかかることが大切。
3.ベジタリアンの種類は様々。ヴィーガン、ラクト・ベジタリアン、オボ・ベジタリアン、ペスカタリアン、フレキシタリアン。
Posted by ブクログ
著者は国際協力の分野で活動されている方。
日本で一年間に供給される新しい衣服の量38億点に対して、消費者が購入する量は約20億点。アパレル産業からの二酸化炭素の排出量は、全体の10%を占める。綿の栽培に必要な水の量は、Tシャツ一枚に約2700Lで、一人当たりの飲料水の約5年分に相当する。
穀物需要量のうち食用が57%に対し、飼料用が37%を占める。グリーンピースによると、畜産業をはじめとした工業型の食料システムは、森林破壊の原因の8割を占めている。
世界有数のリチウム鉱床であるチリのアタカマ塩湖では、リチウムを採掘するために行われている地下水くみ上げによって、現地の住民たちが利用できる水資源が減少したり、生態系が影響を受けたりしている。
Posted by ブクログ
人々に関心を持ってもらうため、「善意の寄附」、
「衣服ロスや肉食が引き起こす環境問題」、「スマ
ートフォンの裏に隠されたアフリカの紛争」、「日
本の貧困」と自分生活との"繋がり"を比較的感じやすいテーマで書かれています。
Posted by ブクログ
原貫太さんのYouTubeチャンネルから。
YouTube以上のことを知れるのかと思って購入したが、ほとんどYouTubeと同じ内容だった。
良いとされてることが地球の裏側ではマイナスに働いてる。自分が持てていなかった視点を学べた。虫の目、鳥の目、魚の目は意識して生活したい。
ただ、結局世界を良くするためにはどうしたらいいんだろう?って感想に辿り着くのが、読み終えた後ももやもやが残って残念。本書の目的として、読者に考えさせたいんだろうが、せめて「僕はこう考えますが皆様はどうですか?」ぐらいはあってほしかった。
日本の貧困については、あまり共感できんかった。25年かけて植え付けられた自己責任論はなかなか消えないな。