あらすじ
※本書はリフロー型の電子書籍です。
【ベストセラーは出せなくとも小説家として生き残るテクニック】
「ベストセラーは出せなくとも好きな本を書いて生きていこう」
……ぶっちゃけた話、『作家で億は稼げません』などというタイトルの本をウッカリと手に取ってしまったあなたは、かなり高い確率で天才ではないと思うのですよ。
しかし、それで正解なんです。本書は、神に愛された天才や、強い運を持って生まれてきたひと向けではありません。
そういった御仁は、放っておいても世に出ていくでしょうし、凡才にすぎない僕が教えられることなど、ひとつもございません。
僕がレクチャーしたいのは「凡才ならではのサバイバル方法」です。やり方によっては長く戦えます。
この本が、天賦の才や運を持って生まれなかった、以前の僕のような小説家志望者の道標になればと思います。
まずは本を出せないと意味がありませんから、ベストなデビューの方法を一緒に考えていきましょう。
(本文より)
〈本書の内容〉
まえあがき――君は生き残ることができるか?
第1章 作家の異常な愛情
・果たして億は稼げるか?
・誰もが新人を求めている
・スカウトとなろう系
・コネを作るのは難しい
・僕のデビュー方法
・新人賞を逃した罪と罰
第2章 原稿に体を張れ
・売れるモノは原稿のみ
・執筆にはパソコンあるのみ
・小説執筆に特化を始めた一太郎
・転ばぬ先の杖ならぬ、転ばぬ先のバックアップ
・新人賞へ投稿せよ
・受賞までのタイムテーブル
第3章 機械仕掛けの編集者
・デビュー作が打ち切り
・献本大作戦
・ハウツー・リライト
・身のほど知らずの野望
第4章 フル・メンタル・ジャケット
・キープ・オン・ライティング
・吉田、ポルノを書く
・ゲラとスケジュールのジレンマ
・陸続たる執筆
第5章 出版と欲望
・ワースト・コンタクト
・トンデモ編集者列伝
・インプットなくしてアウトプットなし
・僕はパクられた
・企画書と離婚
・犬と猫とスカウトデビュー
第6章 アイズ・ワイド・オープン
・戦国架空戦記の衰退
・萌え戦記への傾倒
・女皇の登場
・批評への心構え
・健康こそ執筆の燃料
・コロナに殺された架空戦記
あとあがき――君は修羅場の涙を見る
ほんとうのあとがき 謝辞――あなたに紙のお恵みを
解説――たとえ、億は稼げなくとも 榎本 秋
カバーイラスト 速水螺旋人
〈プロフィール〉
吉田親司(よしだ・ちかし)
1969年5月17日生まれ。福岡出身。現在は岡山在住。19歳で小説家を志し、32歳で処女作『新世界大戦EPISODEIII』を上梓。以後、架空戦記を中心に執筆活動を続けており、著作は本作で107冊となる。主な作品に『女皇の帝国 内親王那子様の聖戦』(ベストセラーズ)、『マザーズ・タワー』(早川書房)、『装甲悪鬼村正 宇宙編』(星海社)、『ラバウル要塞1943』(経済界)などがある。『ナイトランド・クォータリーVOL25』(アトリエサード)では「ワールシュタットZ」を発表し、ホラー小説にも進出。2021年10月でデビュー20周年を迎えた。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本書には、出版事情のリアルな話、編集者や印税の話、本を出し続けるために書きまくって出版社に献本しまくるといった泥臭い話が載っている。
物書きは甘くない。それをしみじみと感じさせてくれる。
しかし、それでも物書きとして食っていくことを選ぶ人にとっては、パートナーになり得るような本かもしれない。
Posted by ブクログ
リアルな作家の稼ぎがわかる良作笑
卑下される表現が多いがこれだけ多作なのは心から尊敬する。最終章には健康について記載が多かった。先生も長生きしてこれからもたくさんの作品を描いて欲しいと思った。
Posted by ブクログ
著者さん曰く、出版社に新人を育てる余裕がなくなって作家も使い捨ての時代になったことに危機感を持たれて書かれた本。松岡圭祐 さんの『小説家になって億を稼ごう』は良い指南書だそう。ただし天才じゃない大部分の人は億は稼げません、でも生活費なら稼げます、というスタンス。
具体的な初版部数の今昔(10年前1万部、令和6千部、文庫は4千~7千部)、なろう系に関する実話から昔にさかのぼって著者さんが書籍を出せた経緯。
後半はデビュー後の出来事が書かれています。様々な編集者さんやパクられた経験、好きなジャンル(架空戦記)の衰退などなど。
著者さんはなろう系もいずれ衰退すると予測されてますがどうなるでしょうね。個人的には、なろう系のサイトって同人誌即売会みたいなコミュニティのようだと感じているので、出版にこぎつけるという観点では規模が縮小分散するかもしれませんが、コミュニティとしては残りそうだと思っています。
#NetGalleyJPで読みました。
Posted by ブクログ
印税、新人賞、出版社・編集者側の事情など、作家活動の裏側を知ることができ、面白かった。
個人的には、新人賞、パクリ、とんでも編集者の話が面白かった。
Posted by ブクログ
こちらは小説家になっても億が稼げなかった人の話。
本の冒頭でもはっきり書かれているけれど『小説家になって億を稼ごう』(新潮新書)に触発されて作られた本。
この人は架空戦記モノを中心に100冊以上の本を書いてきて、これまでどうやって作家として生き残ってきたのかが書かれている。
まあ、とにかく筆が早いなと思った。架空戦記という題材で、戦争や歴史についての知識が頭に入っていればこそ、なのだろうけれど、それにしてもすごい方だなと思った。
で、『億を稼ぐ』では、「編集者は大手出版社に入社できるほどの優秀な人物なので見くびらず付き合いましょう」とさらっと書かれていたのだけれど、『億は稼げません』では、一筋縄ではいかない編集者について書かれているのが面白かった。原稿料未払いであったり、無視されたり、色々と大変な、泥臭い面が描かれていた。この辺はその人の作家人生としての運とか、世界観にもよるところが大きいとは思うのだけれど…
『小説家になって億を稼ごう』と『作家で億は稼げません』は、対で読むと、とても面白い。