あらすじ
専業主婦の榎本佐和子は、フードコーディネーターの友人からバイトを頼まれる。手伝いを続けるうちに編集者から声をかけられ、主婦向け生活実用誌のレシピコーナーに出演。これをきっかけに、料理研究家としてデビューする。いきなり有名人となり、暮らしぶりや態度が変化していく彼女の存在に家族や友人は心をざわつかせる。女性の微妙な気持ちが交差する連作短編集。
※本作品は2017年10月に小社より単行本として刊行された『ざわつく女心は上の空』を文庫化に際し改題し、加筆修正をしたものです。
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Posted by ブクログ
面白かった。登場する女性全てを自分に置き換え感情移入してしまいながら分かるぅと唸りそうになってしまった。登場する女性の中で誰が一番幸せなのだろう?佐和子は誰もが羨む豪邸まで手に入れたけれど幸せを感じることはこの先あるのだろうか。心をざわつかせる彼女は本当に自覚なく天然なのだろうか。スキャンダルで一変していく人達の中で本当に気遣ってくれた人は誰なのかちゃんと気づいたのだろうか。そんな彼女だって嫉妬する相手がいることで原動力となっている。エピローグは残酷だったけれど、そこまで娘を追い詰めてしまったのはやはり佐和子の責任だと思う。本当の幸せとは何かに気づいて家族の信頼を取り戻すことができるのか、彼女の今後によって周りの人の未来も変わっていくだろう。