【感想・ネタバレ】Fishing Café VOL.82 特集:コイ釣りと鯉文化、身近な巨魚との深いつながり コイを学ぶ、鯉で憩うのレビュー

あらすじ

活発な遊泳活動と力強い生命感。 鯉・コイがつなぐ日本文化

江戸時代後期、日本において多くの優秀な医師を育成し、医学の発展に貢献したフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト。
彼は、日本滞在中の約8年間(1823~30年)に膨大な数の動植物や文学・民俗学のコレクションを行いオランダに帰国後、ライデン市に日本博物館を開設し日本の自然や文化を紹介した。
1826年には、当時のオランダ商館長ステューレルの江戸参府に随行し、道中を利用して日本の自然を研究することに没頭。長崎出島の出入絵師として洋風画法を習得した川原慶賀に、詳細な生物画を描かせている。そのなかに琵琶湖水系で収集した魚類図もあり、アユやゲンゴロウブナ、カワムツなどが描かれている。
また、長崎近辺で採集されたと思われるコイの図も描かれ、『シーボルトが持ち帰った琵琶湖の魚たち』 著・細谷和海(サンライズ出版)によれば「体のプロポーションから野生型(在来コイ)と判断されます」とある。
そして、国立環境研究所の馬渕浩司さんたちの在来コイの研究によると、オランダ国立自然史博物館に所蔵されている、シーボルトとその助手のビュルゲルが採集したコイ3種の標本のうち2種類は、体高の高いコイであることが判明し、江戸時代にはすでに、大陸からコイが導入されていた可能性が高いことがわかったという。 また、馬渕さんは「在来コイは、形態的特徴から遊泳性の小型魚類やエビなど、深浅移動をともなうダイナミックな遊泳活動により捕食している姿が想像されます」ともいう。
こうした在来コイの活発な生息活動こそが、強い生命力を持つ魚の象徴、子どもたちの健やかな成長を願う魚として、健勝という意味が込められてきたのではないだろうか。 在来コイを保全することは、同時に「鯉のぼり」など、日本古来の文化的象徴を守り、見守ることにつながってゆくだろう。

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