あらすじ
「楽園」からの7冊目のpanpanya作品集。表題作はじめ「カステラ風蒸しケーキ物語」続編全5本計40p、「外れる季節」「標」「鯛焼き遍歴」「おみやげの心得」等、著者ならではの世界が展開する20篇。日記も併収。
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Posted by ブクログ
タイトルが素晴らしい。「魚社会」ですよ。魚に群れはあっても社会はないでしょ。で、読んでみると、これは「山椒魚戦争」じゃないの!著者らしいすっとぼけた味わいはあるものの、近未来を予言した寓話、と読めなくもない。
サンタクロースや「たくさんある」話も良かったが、前作『おむすびの転がる町』でも出てきた「カステラ風蒸しケーキ」が怒涛の完結を迎えたのに、感動。
正直言って『おむすびの転がる町』のときは、ふーん、そうなんだ程度にしか思っていなかったのであった。自分は菓子パンをほとんど食べない(カロリーと添加物が怖いため)が、一回くらい食べてみたいなと思った程度であった。
しかし、カステラ風蒸しケーキを買うために東奔西走するのみならず、とうとう自作するようになり、本物と比較して試行錯誤を重ね、とうとう哲学的思考に至る。
こういうことができるから、魅力的な作品が描けるんだなと、感服。
自分のような一般人には到底到達できない境地ではあるが、「方方探し回り、一度は手に入らなくなり、その再現に試行錯誤し…」「多角的にカステラ及び蒸しケーキに対する理解、関心を深めた結果、」「対象の解像度が上がり、感受性が鋭敏になったのではないでしょうか。」(p134)というところには納得。
聴いて好きな曲を繰り返し聴くだけではなく、楽譜を手に入れて、自分でも弾いてみる。そしてまた聴く、弾く、楽譜を分析するを繰り返すことで、単に好きだった頃とは比較にならないくらい細部がよく聞こえるようになり、理解が深まった経験は(ちょっと)あるので、よくわかる。受動から能動に変わったからこそ見えてくるものがある。
創作マンガも面白いが、グヤバノとかこれとか、著者の日常の考えや行動が見えるエッセイマンガも本当に魅力的。
マンガの間にある短いエッセイ(文章)もいい。天気予報で「激しい雨」と「非常に激しい雨」という言葉を聞き、どう違うのか調べた話、くっつかないラップの魅力など。
panpanyaさんの日常が積もって、発酵して、相互作用してマンガになっているのだなあ、と。
次の作品が楽しみ。
Posted by ブクログ
『おむすびの転がる町』で出てきていたカステラ風蒸しケーキのお話が盛りだくさんなところを見る限り、相当に好きなのだろうなぁ、描きたかったんだなぁと伝わってきました。
Posted by ブクログ
独特の世界観なのに、地に足がつきすぎている独特の世界観。ごくごく短い掌編の短編がバランスよく配されていて、とても満足いく作品集であった。panpanya先生の新作が安定して読めるのが、大変に嬉しいのである。
Posted by ブクログ
■魚社会(2021年8月)8冊目
外れる季節
正月事始め
続・カステラ風蒸しケーキ物語
続続・カステラ風蒸しケーキ物語
サイン
魚社会
自由
帳尻
鯛焼き遍歴
普通
標
秘密
鯉の話
はるかな旅
「楽園」ご紹介漫画
偶
続続続・カステラ風蒸しケーキ物語
続続続・カステラ風蒸しケーキ物語 補遺
続続続続・カステラ風蒸しケーキ物語
おみやげの心得
「普通」「秘密」「はるかな旅」のような、ふと何かの狭間に紛れ込んだような感覚を、非ホラーで。
ホラーで描くのは伊藤潤二や初期諸星大二郎で、上記3作から容易に連想できる短編がある。
「おむすびの転がる町」からの「カステラ風蒸しケーキ物語」シリーズも面白い。
今回気づいたのは画力半端ないのはもちろんだが、書き文字も奇を衒わない程度に味があってよい。
とにかく好き。
Posted by ブクログ
最初は衝撃的だったpanpanyaも段々普通に受け止めるようになってきた。過去作の焼き直しも多くなったりして。とは言え、身の回りや日常のあれこれに対する観察眼はさすがの一言。
Posted by ブクログ
続きものっぽかったのに突然これだけ読んでしまった。それでも十分楽しめた。
エッセイ漫画っぽい頭身低めの絵柄。自分の好みからは外れているけれど内容が結構好きだった。
日常の中に一部不思議な設定が入り込む生活感がめっちゃ良い。
電線がロープウェイになってて電柱で乗り降りできたら良いのにな、とか、たい焼きが海から離れるほどディティールを失うとか、若干妄想したことある内容が面白い漫画になって目の前にある……!、って感じだった。