あらすじ
本書は、思想家/文明批評家のイヴァン・イリイチが提唱した概念「コンヴィヴィアリティ(自立共生)」を足がかりに、これからの人間とテクノロジーのあり方を探る一冊です。
テクノロジーが飛躍的に発展し、豊かさを手に入れた私たちは、道具を使いこなしているようでいて、実は道具に使われてしまってはいないでしょうか。また、「人新世」とも呼ばれる気候変動危機の時代にあるいま、行き過ぎたテクノロジーはいかにして再び「ちょうどいい道具」になれるのでしょうか。そのカギは、イリイチが示した適度なバランスを保つための「二つの分水嶺」という考え方にあります。
人間にとってテクノロジーとはどのようなものなのか。これからのテクノロジーはどうあるべきなのか。テクノロジー自体が自律性を持ち始めたAI時代に、人間と人間、人間と自然、そして人間とテクノロジーが共に生きるための「コンヴィヴィアル・テクノロジー」とは何なのか ── デザイン・イノベーション・ファームTakramで数々の先駆的なプロジェクトを率いてきた気鋭のデザインエンジニア・緒方壽人氏が、先人たちのさまざまな言説を辿り、思考を巡らせながら紐解きます。
実世界のあらゆるモノ同士がつながるIoTの未来を研究する「万有情報網プロジェクト」の各研究領域リーダーたちとの対話も収録した本書は、ものづくりに携わる人たちはもちろん、もはやテクノロジーと切り離せない生活を送るあらゆる人にとって確かな指針となるでしょう。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これは自分に課せられた命題でもある。
テクノロジーに関わる身として社会実装を進めていく立場として、忘れてはいけない。
ちょうどいい道具とは。常にここに立ち戻らないと!
Posted by ブクログ
コンヴィヴィアルという言葉をテクノロジーの人がどうやって使っているのかに関心があり購入。テクノロジーの依存によって自律性が奪われるという危機感については深く賛同するし、道具や制度によっても同じことが起こりうる。
デザインエンジニアという肩書も面白い。シンガーソングライターのような、何か2つを同時にやってしまうというあり方は面白いかもしれない。
Posted by ブクログ
どこかで紹介されていて、気になったので読んでみました。
「コンヴィヴィアル」とは、ひとまず「共生」だと思っておけばよいと思います。
そして本書は、「コンヴィヴィアル・テクノロジー」というタイトルから類推できるように、人間と技術(テクノロジー)の共生について書かれた本です。
個人的に強く共感した内容の一つは、二つの分水嶺、という考え方。
技術は、あるレベル(第一の分水嶺)を超えると、人の役に立つようになるが、行き過ぎると(第二の分水嶺を超えると)、人が技術に隷属するようになる、という考え方です。
身近なところで、このことを強く感じる事象が起こっているだけに、強く共感しました。
また、寛容と不寛容の話についても、強く共感しました。
こちらについては、周りの人の寛容さと不寛容さについて考えるとともに、自分自身の寛容さと不寛容さについても考える、よい機会を与えてくれる内容でした。
不寛容に対し、不寛容ではなく寛容で向き合うのはなかなか難しいことですが、衝突を超えてよりよい状態を目指すためにも、課題解決に向けた寛容をつねに心掛けたいものです。
著者はデザインエンジニアとのことですが、非常に博識で、深い思考を踏まえた文章を書かれており、見習うべき点の多い人物、という印象を受けました。
また、人間とテクノロジーとのあり方にとどまらず、もっと高い、そして、もっと広い視点で書かれた本書は、知的な刺激にあふれた良著だと思います。
Posted by ブクログ
分水嶺という考え方を学んだ。
"自転車"がコンヴィヴィアルである
という見解にグッときた。
答えを出すでなく
自分で考えるための著書。
わたしも物事と物事の間合いを
取れるようになりたい。
Posted by ブクログ
テクノロジーが急速に発達する中で、過度に依存せず共生していくにはどうすれば良いか。
テクノロジーのブラックボックス化は今後も進んでいくと思うが、ある程度はその中身を理解して、テクノロジーを自ら操作・調整できるようにしておく事が、良い距離感を保つ上では大事になると思う。
自分だけでは出来ない部分を、他者、自然、テクノロジーで補いながら、バランスを取って生きていきたい。
Posted by ブクログ
イヴァン・イリイチ
自分とは異なる他者との出会い、共に生きる技術
ちょうどいい道具としての自転車 バランス
過剰なテクノロジー 物理的な力ではなく、圧倒的な量の複雑な情報の力
デザイン =人間に着目し人間を動かす
科学と技術が出会うのは19世紀から→人間が従う→人間中心デザインへ
テクネー 自然の中にある隠された力を現わせさせるための知
脱人間主義 ⇔ 人類至上主義 原子力は自然からの自立
わたしたち
正しさ 「反証可能性」を残しつつも、反証されていないこと
自立 依存先を増やしていくこと(熊谷普一郎)
日本語の「共話」≠対話 相手の話を途中でテイクオーバーし発話を重ねていく
閉じた安心社会から 開かれた信頼社会へ さらに、なめらかな社会へ(鈴木健)
使い続けてもらえる「道具」 つくれる、手放せる「道具」
手の技は生きるための必要はなくなり、機械のボタンを押すだけに(新山龍馬)
環境との調和 オンとオフが溶けてゆく(筧康明)
マニュアルよりも レシピ
本当にバッテリーレスで動くものって、腕時計と電卓くらいしかない(高宮真)
充電の無い世界 マルチモード準静空洞共振器 QSCR 無線給電タイル Alvus
空間LED光源 luciola