あらすじ
鞍馬・僧正ヶ谷、比叡山横川、河原院、竹生島、熊野、志度浦の龍宮、富士山、安達ヶ原……能楽の舞台となったこれらの場所は、「聖地」と呼ばれてきた。神々が遊び、鬼や妖怪が出没するといわれた異界への入り口。俗世の向こう側にある極楽・地獄として、日本列島の中に見出された聖地とはいかなる場所であったのか? 絵画や文学作品、歴史書など、多彩な史料を手がかりに、中世の京都人が聖なる場所に込めた思いに迫る。
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Posted by ブクログ
著者は文化人類学者。
深い造詣、知識があることが良く分かる。
妖怪研究の第一人者でもあるようだ。
他の著書も読んでみたい。
司馬遼太郎の街道をゆく、もそうだが、ここで語り継がれるストーリーを追ってその土地を訪れることが贅沢な楽しみなのだろう。
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先ず考えなければならないのは、伊勢神宮のある伊勢地方や支配者たちの住む大和・山城地方から見ると、熊野地方全体が「死の国」というイメージをもって理解されていたらしいことである。
讃岐の白峯にある白峯寺(香川県坂出市青海町)は、能の愛好家ばかりでなく、怨霊信仰に関心ある者にとっても見過ごしにはできない聖地である。というのは、保元の乱に敗れて讃岐に流されたまま亡くなった、崇徳院の陵とその廟所・頓証寺殿が寺の境内にあるからである。
崇徳院は、早良親王や菅原道真の怨霊と並び称される、日本歴史の最大級の怨霊として後世に名を残した天皇である。