あらすじ
「ラストマンになれ」
私がこの言葉を聞いたのは、三〇代のころです。
当時の私は日立工場に勤めていて、たしか設計課長に昇進したときのことだったと思います。
日立工場長だった綿森力さんが、工場の執務室の窓の前でこう言いました。
「この工場が沈むときが来たら、君たちは先に船を降りろ。
それを見届けてから、オレはこの窓を蹴破って飛び降りる。
それがラストマンだ」
――そのときから、私の胸に「ザ・ラストマン」という言葉が深く刻まれています。【序章より】
* * * * * *
「自分の後ろには、もう誰もいない」――ビジネスマンに必須の心構えとは。
決断、実行、撤退…一つひとつの行動にきちんと、しかし楽観的に責任を持ってやり抜けば、より楽しく、成果を出せる。
7873億円の赤字から会社を再生した元日立グループ会長が、苦境の日本経済で戦い続けるビジネスパーソンに贈るメッセージ。
新規収録原稿「若い企業人の皆さんへ」「ポストコロナ時代の企業」
※本書は二〇一五年三月に小社から刊行された同名の単行本を加筆・再編集したものです。
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Posted by ブクログ
職場の上司に勧められて読んでみました。「自分が最後の責任を取る人間になれ」そう言ったメッセージはもちろん優れたリーダーとな何だ?という誰にでも関係する分野の知識も学ぶことができます。
また、日立という日本屈指の大企業の取締役にも選ばれるような人が伝えるメッセージにはどれも重みがあり、これこそが社会の真髄なのかと考えさせられました。
川村氏は「人が成長するのはしんどい思いをした時」「始末書を書いた枚数だけ成長する」と昭和ちっくと言えるような考えを持っています。川村氏もそのことは自覚しており、しんどい経験や始末書を書いた経験のおかげで成長できたと述べたのちに、今の若い人にはなかなかしんどい思いを強要できないと述べていました。
確かに、直属の上司から「成長のためにしんどい経験をしろ」と言われたら問題にもなりかねないと思います。他方、確かな実績のある川村氏が、自分の経験、実感としてこのようなことをのべているのは、この昭和ちっくな考え方こそが、上に登るために必要不可欠なのかなと感じました。
これまで読んだ自伝の中で1番リアルで1番実戦で活かせそうだと感じました。
勧めてくれた上司に感謝です。
Posted by ブクログ
日本の巨大企業「戦艦大和」のような時代遅れになりかけたのを、解体・再生した実行力は見事。日本の経営者で希有と言える。(同じ道産子として誇り)
日立は立ち直り、世界へ挑戦している。
他方、東芝は実質的に消滅してしまった。
この二社の運命は「日本の行方」を厳しく迫っている。
いずれにしても「トップのリーダーシップ」「高い見識」
→川村社長の「カンパニー制導入」自己責任体制と
東原社長の「BUビジネスユニット制」の対比は☆
経営理論の現実適用レポートとして大変勉強になる。
有数のBusiness School Case Studyに相応しい
日本の経営学者はもっと関与すべき。
Posted by ブクログ
7000億円の赤字
日立時間
大抵の改革はスピードでどうにかなる
社会イノベーション事業
カメラの目を持つ
稼ぐ力を身につける
社長にカリスマ性は必要ない
情報を集めて未来を予測する
51点でいい
ピークを少し過ぎたら撤退する
最良のときはこれからくる
以前から読もう、読みたいとは思っていた一方、経営者向けの内容だと思っていたので、読んでいませんでした。しかし実際は、一般のビジネスパーソンに向けた内容、
メッセージもふんだんでした。特に、日立のようなトラディショナルな大企業に勤めているビジネスパーソンは、参考になる一冊かと。
Posted by ブクログ
「ラストマン」、この覚悟が全ての人に必要だということに共感しました。特にトップが覚悟を持ち、それを示すことがどれほど大切なのか、川村さんの言葉で伝えていただいた気がします。
戦略を実行する上での説明責任、稼ぐという具体的な言葉を使って示す例とか、修羅場を経験した分だけ成長するという点は、全く同感です。
わかっていても、いざ自分はどれだけできたのかとなるとできていないことは多いのですが、川村さんはここに書いていることをやりきった。この人がいたから、日立は復活できたのだと改めてわかりました。
Posted by ブクログ
自分自身で最終決定する意識が、経営者であっても一般社員(?)であっても持っておく必要がある。
ダラダラやっても纏まらない事が多いから即決するために情報を得ること、勉強する事も重要。
Posted by ブクログ
日立製作所が7,873億円の赤字を出した直後の09年に執行役会長兼社長に就任し、V字回復を成し遂げた川村氏の著作。大企業のトップに立つ人物の思考、視座を垣間見ることができます。
【メモ(改革について書かれた第一章から抜粋)】
・一人ひとりが、会社から給料をもらうだけではなく、「自分がみんなの給料を稼ぐ」という意識を持てるようになれば、会社は再生できるはず。
・たいていの改革は、スピードさえあれば何とかなるもの。決断して実行するまでに時間がかかると、その反対勢力に根回しをされ、改革を断念せざるを得ない状況に追い込まれる場合もある。
・改革をするにあたって、最初に手掛けたことは、意思決定をする人数を絞った
・緊急時を切り抜ける方法は①出血を止める②キャッシュを生む事業を見つける→近づける事業と遠ざける事業を決める。
Posted by ブクログ
飛行機が墜落しかけている緊急事態であっても、マニュアル通りに行動しようという意識が働くものであることを知った
人から投げかけられた言葉の端っこが心に留まり、人は教育されていくのかもしれません。
改革に時間をかけることによるデメリットは、さまざまなものがある。次々と反対勢力が出てきてしまうのもその一つ。
健全な競争はお互いの実績を認めながら、会社全体で上をめざすような競争です。
「みんなが会議をしているような組織は何事もなし得ない組織であり、四分の一以上の時間が会議に費やされているならば組織の構造に欠陥があると考えていい」
江戸時代の禅僧、鈴木正三は「指導者が備えるべき能力」として次の7つを挙げた。①先見の明がある②時代の流れを、的確に読める③人の心をつかむことができる④気遣いができて人徳がある⑤自己の属している共同体、組織全体について構想を持っている⑥大所高所から全体を見渡せる力量を持っている⑦上に立つにふさわしい言葉遣いや態度が保てる
実現させるシンプルなプロセス①現状を分析する②未来を予測する③戦略を描く④説明責任を果たす⑤断固、実行する
数字だけでなく、「なぜ必要なのか」「何のために必要なのか」「それを達成すると何が起きるのか」といった背景や将来を語ると、部下も「それなら私も実現させたい」という欲がわくでしょう。
戦術は変えても戦略は変えてはいけません。
「タウンホールミーティング」と称して、現場の社員とコミュニケーションをとる場を設けました。
日立の創設者小平浪平は日立の精神として「和」「誠」「開拓者精神」という言葉を私達に残しました。
孔子の『論語』、佐藤一斎の『言志四録』
Posted by ブクログ
日立グループの変遷、特に業績悪化からの立て直しを行なっていた時期について知りたいと思い購入。淡々とした口調で語られながらも、日立が置かれていた状況やそれに対しての考えや当時の思い、行動が取り繕われることなく書かれていてストーリーとしても面白かったし、一ビジネスパーソンとしても心改められるようか場面が多かった。
Posted by ブクログ
前半の日立立て直しの話は面白かった。そこをもっと深堀りしてほしかった。
人材育成論は一人の少々の失敗は別にそんなに影響しない日立様だからできるんでしょ、と吹けば飛ぶスタートアップの自分はうがってみてしまうし、その他の組織論は原理原則の表層を紹介してるだけのような感じで、あまり響かない。
Posted by ブクログ
転職の都合上、読んでみたものの、そこまで気付きはなかったです。目新しさがないという感じ。V字回復をやったその時の温度感とか感情をもう少し濃く描いてくれるとより良かったなと。
結局自分がやるしかないなーそんな感覚でしかし楽観的に実行することが重要
行き先や、航海ルートは船長が決めるが、船内のメンテナンスは方法、実行タイミングはボトムアップ(戦略はトップダウン、戦術はボトムアップ)
戦術は変えても戦略は変えてはいけない。戦略はどんなに情勢が変わってもグラグラしてはいけない、朝令暮改してよいのは戦術のみ
理と情のバランスは大事だけど、結局情を理解しつつ、理をとることができる人間が重要。小事には情、大事には理