あらすじ
この春大学を卒業し研修医となった志葉一樹。過酷な労働環境に辟易していた彼は、難病で入院中の女子高生・湊遥の自殺を思い留まらせたことをきっかけに、彼女と打ち解ける。しかし手術は失敗し、遥は死亡してしまう。
ところが志葉が目を覚ますと、日付が手術の前日に戻っていた! 遥を救うために奮闘する志葉。だが何度繰り返しても遥の死は防げない。絶望的なループの中で志葉が見出した真実とは? 現役医師が医療現場の現実と“希望”を描いた感動の医療ドラマ!
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Posted by ブクログ
・待ちに待ったはずの手術で、
その患者はあっさりと死んだ。
・医者というのはざっくり分けて外科系かそれ以外かの二人種に分類される。手術をするか否か、の違いと言ってもいい。なぜなら手術というのは器具の使用方法から術前・術後の患者管理に至るまで独特の技能を求められ、これを習得するかそれとも内科的診断学や研究など他の分野に注力するかで、医師としての形がまるで変わってくるからだ。
・「お前が飛び降りたら、俺は速攻で整形外科医と脳神経外科医と救急科医を呼ぶ。外傷のスペシャリストだ。お前の足の骨が折れていようと腹の中で血が出ていようと頭の中で血腫ができていようと、絶対に手術台に乗せて救命してやる。緊急オペだ」
・「いいか遥、死のうとするのは勝手だ。だけどな、俺たちがあらゆる医療を駆使してお前を絶対に死なせない」
・「見捨てないでよ。約束して。私を助ける、って」 俺は目をぱちくりさせた。「……見捨てるわけないだろ。俺は主治医だぜ」
・もし自分が意識もなく寝たままになったら、俺はいっそ楽に殺してほしいと思う。
・「今月から心臓血管外科で研修する、研修医の湊遥よ」その笑顔を見て俺は、生まれて初めてこんなことを思った。 ──医者って、案外悪くないな。
ヤブ医者がこんなにも誰かを助けたいと思い甦えり最後には彼女が救われる。わたしが好きなハッピーエンドだった!
Posted by ブクログ
誰かを救うために必死に奮闘する研修医の姿に心打たれました。医学部を目指している私とって心に残る作品になりました。医療系を目指す方、ぜひ読んで頂きたいです。
Posted by ブクログ
『君は医者になれない』の著者が描く、手に汗握る医療ミステリー。
タイムループに巻き込まれた研修医の志葉が、難病の遙ちゃんを救おうと奮闘し寄り添う姿に、とにかく胸が熱くなった。後半の謎が解き明かされていく怒涛の展開には一気に引き込まれ、気づけば夢中でページをめくっていた。
真相を知ったときは、心にチクりと棘が刺さったような痛みが残りました。
正直、何度もループする志葉にそんな奇跡いつまで続くか分からないから「もっと早く気づいて!」と焦れったくなる場面もあったけど、あの絶望的な繰り返しがあったからこそ、最後の奇跡に繋がったんだなと納得。
ハッピーエンドの読後感も最高!(麻酔科医の潤さんのその後だけちょっと気になるけど……!)
物語の背景にある過重労働や人手不足といったリアルな医療問題も考えさせられた。私たちが安心して病院にかかれるのは、医療従事者の皆さんの踏ん張りがあってこそ。現場で働く方々への感謝が止まらなくなる一冊でした。
Posted by ブクログ
単なるタイプリープものかと思いきや、途中からガラリと空気感が変わったり、医療の裏側の部分を扱ったりと一言では語りきれない内容に意外で面白かったです。
主人公は、研修医の志葉。最初は過酷な医療現場に辟易していたが、その状況下で、ある患者を担当している。湊遥。高校生で難病を抱えていて、近日中に手術を控えている。主治医は名医で、難なく成功するかと思いきや、手術は失敗し、亡くなることに。その直後、志葉は激しい頭痛に襲われ、目覚めてみると手術日の前日に。わけも分からないまま、その後は死亡しては戻り、死亡しては戻りの繰り返し。果たしてこのタイムリープから脱出できるのか?
作者は現役の医師ということで、医療に関する言葉や現場での臨場感が経験者だからこそ描ける雰囲気を醸し出していました。
ストーリーとしては、今後原因を見つけて、ハイ救えました!と単純な想像で読んでいたのですが、原因が分かった瞬間、急にSFからミステリーに変わったので、自分の中の雰囲気がガラリと変わりました。油断していました。
他にも医療が抱える問題や世間と現場との思想の違いなど社会問題にも扱っていて、グッと奥行き感が増していました。
また、主人公の心理描写も楽しめました。最初嫌々だった医者の仕事が、段々とタイムリープを重ねるごとに患者を救いたい思いが強くなります。連鎖を脱出したいだけでなく、それ以上に遥を何が何でも救いたい思いが伝わってきて、心が揺れました。それを通り越してのラストは、感動を誘いました。医療現場での「現実」は変わらないけれども、医者として頑張る姿に応援したくなりました。