あらすじ
スカート 澤部渡さん共鳴!!
「あの頃のぼくらの頭上に広がっていた星座もまた、群像だったのでしょう」
歌人 伊波真人 × イラストレーター 丸紅 茜
短歌とイラストが呼応する、切なくどこか懐かしい両片想いの物語。
高校生活も最後の一年を残すこととなった暁彦と沙織。
教室でも、天文部でも、両片想いのふたりは互いの姿を目で追う。
駆け抜け、しかし彷徨い、ふいに切り取られる永遠の一瞬。
黒板とチョーク、夏雲と星座、堂々めぐりと本心、
誰もが胸に秘める高鳴りと痛みを呼び覚ます青春物語。
この恋を終わらせない限り、僕らの青春は何度でも繰り返す――。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
短歌・伊波真人さん、イラスト・丸紅茜さんが紡ぐ青春の迷宮。
もー、おばちゃん、きゅんきゅんしちゃう。
あの白く無機質なコンクリートの箱の底(校舎)には、いったいどれくらいの、伝えられなかった思いが沈殿しているのでしょうね。
お互いを思いながらも、いや、思うからこそ、言い出せない。
出会って、仲良くなって、特別な人になって。
あー、いいなあ。
この歌集はそのふたりの最後の?一年間を描いている。
*
〈星座にはなれないほどに離れてるきみの机と僕の机は〉
〈体育が終わったあとの教室をシーブリーズの舟が行きかう〉
〈野球部が空に放った白球は流星になるわけではなくて〉
〈つい君をさがしてしまう日直の二文字の下の空白にさえ〉
〈学祭の季節を告げる虫のようガムテープ切る音は響いて〉
〈売れ残りの焼きそばよりも焼けている校舎裏からみたゆうやけは〉
*
「恋愛は別に成就しなくていい」のだけれども、
その言葉を信じるかどうかは、
君次第。
Posted by ブクログ
僕と君の、付かず離れずな感じ。
青春真っ只中だ~。
伊波真人さんの瑞々しい短歌と、丸紅茜さんのポップなイラストのコラボレーションが素敵。
挿絵のある歌集、ではなく、まるでイラストの一部のように配置された短歌が効果的。
舞台は公立高校。
季節は夏から始まり、卒業の春まで。
歌われてゆくのは、暁彦の気持ちであり、沙織の気持ちでもあり。。。いつかの私たちの気持ちでもあるような気がする。
暁彦が見つめているのは、星と、同じ天文部の沙織だ。
沙織もまた同じように暁彦を意識している。
でも、何も始まらない。
始まらなくても、星々のキラキラと青春のキラキラが相まって、美しく爽やかだ。
歌われる心情たちは私には懐かしいもので、その懐かしさもキラキラしていた。
「星座にはなれないほどに離れてるきみの机とぼくの机は」
「走ってはダメな廊下を夏風が駆けぬけたのを誰も見てない」
「数学の記号が魚に見えてきて教室という海へと放つ」
「でたらめな星の名前を言いあった伝えられないことの代わりに」
「アルファルドが心臓ならば学ランのボタンはどんな星座だろうか」
「あなたとの残りの時間を測るようオリオンは砂をこぼしつづける」
「退屈な風景だった教室の影を濃くする三月の窓」