あらすじ
登場する作家が生まれた頃から慣れ親しみ、今も所有している一つの火鉢に、有為転変の来歴を与える――「旅する火鉢」
「深紅よりもっと鮮やかな朱赤」と描写される椅子をモチーフにした――「ポンペイアンレッド」
オーロラ見物と白夜体験のためにアラスカを訪ねた主人公が、「ウルフとラッパー」と名乗る謎めいた人物と出会い、極地の真実を解き明かしていく――「夢の罠」
作家を思わせる語り手の女性が、人生の折々に鮮烈に現われたトマトとの関わりを追想する、表題作――「私が愛したトマト」
など、全11篇を収録。
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Posted by ブクログ
11の短編。
家族写真に昔から写っている火鉢。
火鉢はどこからやって来たのか、記憶と心の冒険。
老人の妻と老人を殺して崖に落としたこと。
アラスカの自然と厳しい土地で、
かつて冒険の途中で死んだ英雄たちの姿を見るとき。
散歩で出会った蝉の幼虫にこめられた怨念。
ポンペイの発展した街と火山灰で消えた闇。
あの赤に染まった椅子と儀式。
思い出にはトマトがそばにいた人生。
一つ一つそれらを思い出しながらトマトを育てる老女。
彼との別れで行ったベネチアリド島で買った蜜蜂とバッタの置物。
30年を経て2つの置物の再会。
病気で入院している少女に渡された蚕。
繭に包まれた温かな世界とこの世の別れ。
タンパクをもらう私と彼の関係。
楽して生きていきたいと思い、
下心を抱えて誘った彼女とのドライブで起きた地震と津波。
漁村で暮らしていた時
誠次たちと隕石を探しに行った先で見つけた白い布。
置き去りにされた記憶と再会で知るわけ。
不思議な世界観。
蚕のはなんだか切なかったな。
蝉の仕返しはビックリした。