【感想・ネタバレ】「働く」ことについての本当に大切なことのレビュー

あらすじ

医療の発達に伴う長寿化により、私たちは高齢になっても自分の居場所が必要となり、またそれに伴う経済的基盤も持たなければならなくなりました。つまり、ちゃんと「生き残れる」かどうかが問われる時代になってきましたが、一方で何のために生きるのかという「幸福」も、私たちの人生の健康や満足感の上で重要な要素です。

しかし、この「生き残り」と「幸福」は時に相反します。

外部環境に適応して時には自分の希望に対しての我慢が必要となる「生き残り」はネガティブな感情が支配しやすく、現在の充実や未来への希望で満たされる「幸福」はポジティブな感情を伴います。

本書は、人の採用や教育を扱っているリクルートグループに約30年在籍する著者が「働く」ということを長年研究し、経験してきた背景から、「働くことを通じて『生き残り』と『幸福』の両立ができること」がこれからの私たちに必要であると考え、それを模索していく本となります。

「短時間労働」や「テレワーク」など働く環境はどんどん多様化し、働き方の仕組みについて国から個々の組織まで変化が求められる中、これから更に「働く」ことは著しく変化し、ロールモデルが役に立たない時代となっていきます。

そこで本書では、自分にとっての「働く」意味や目的をもう一歩深く考え、前述した生き残りと幸福の両立を試み、その図り方を、自分に合う仕事探しや居場所探しを掘り下げていきながら検討していきます。

これから働こうと思っている人、あるいはもう働きたくないと思っている人、働くことに悩んでいる人、働く人にアドバイスをしている人、また、「働き方改革」やキャリア自立施策を考えている企業の人事の人など、人生100年時代を考え、生きるこれからの人に広く読んでいただきたい一冊です。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

何度でも読み直したい。
実際に古野さんにもお会いさせていただいた。

過剰適応の話、
忘却の話、
生き残りと、幸せを両立した働き方

(まとめ中)

0
2025年05月20日

Posted by ブクログ

久しぶりに良書に出会えました!
これからの働き方、考え方、自分らしさなど迷った時に助けになる一冊です。

マイナスポイントをあげるとすれば
・値段が高い
・読みにくい
といった点が挙げられますが、それを軽く上回る内容の良さです。

0
2024年03月31日

Posted by ブクログ

色々と自問しながら読むことになりました。
これから「働く」ことに対して
どう向き合っていくのか考える
良いきっかけになる本でした。

0
2020年09月04日

Posted by ブクログ

以下、本の内容メモ。

- [ ] 働くことは「生き残る」ことと「幸福になる」こと。
- [ ] 自分に合う仕事を見つけることをあきらめない。
- [ ] 仕事の種類を3つに分類。仕事を単なるお金を得る手段と考えていれば、「ジョブ」。なるべく短時間で多くの金銭が得られれば良いという考え方。
- [ ] 一方で、仕事をすることに価値を置いており、仕事に対して、多くの時間を使って、仕事からお金だけでなく、出世や名声を得ることを目的としていれば、その仕事は「キャリア」。社会的な地位が上がることや自分が影響を及ぼす範囲が広くなることに価値を置いている。また、競争に勝つことや経済的に潤うことにも価値を置いている。
- [ ] そして最後に、仕事に価値を置き、仕事と生活や人生を切り離さず、仕事そのものが目的であり、その仕事をすることがまさに生きることと捉えているとすれば、その仕事は「コーリング」。職人やプロフェッショナルに多いタイプ。
- [ ] 仕事を「コーリング」と認識している人は、「ジョブ」や「キャリア」と比較して、高学歴、高収入であり、社会的地位も高いと認識しているという結果になった。また、「コーリング」の人たちは、生活全般、健康、仕事満足という観点でも最も高い得点だった。
- [ ] 「コーリング」の意識が高ければ、組織の中での地位に関係なく、己の最善をつくすということができるようになる。昨日より今日、今日より明日に向けての自己の成長にも期待できるし、仕事そのもので社会に対する貢献を感じることができれば、自己の存在意義を感じことができる。

自分に合う仕事を探す4つの作業
- [ ] 1つ目の作業:過去の棚卸し。言語化をする。言語化をするということは、曖昧な概念に、ラベルづけするということ。そのことは、思考を促進するだけでなく、他者と話をする上でも役に立つ。そして、他者と話をすることによって、その原語が持つ幅、深さ、つまり意味合いが分かってくる。いわゆる言葉の理解ということだが、言葉だけではなく、自己の理解も進む。自己理解については、キャリアに迷ったときなど生涯を通して必要になるので、専門カウンセラーやワークショップ、アセスメントなど、多様な方法を通して、理解を深めていく。
- [ ] 2つ目の作業:将来を描くこと。大丈夫なことは、将来を考えようという姿勢。次に、なぜ、それが自分にとって理想なのかを考えてみる。そういう生活をしている自分が心地よいという話をもあれば、そういう自分を他者に見せたいからということもある。自分の中にある欲求を表に出すという意味で、将来の夢、理想の生活というものを考えてみる。そして、それが自分にとって、どういう意味があるのか、ということも探索してみる。理想の生活を考えると共に、仕事に関することも考えてみる。人生における仕事の位置づけ、仕事の中心性と呼んでもよい。それはジョブ、キャリア、コーリング、どれに当たるか?自分に合っている仕事を考えるに当たって、自分にとって働く意味とは何なのか、一度、深く考える必要がある。将来を描く際には、理想とする働き方、働くことによって得ようと思っていること、没頭できそうなこと。そして、社会の中で、自分が与えられている役割。つまり、天職(コーリング)の見つけ方について考えてみる。自己理解をする上でも、自分の将来を描く上でも重要な概念。
- [ ] 天職を見つける方法。面白法人カヤック社長の柳澤大輔氏が、自身のブログで「天職の見つけ方」について述べている。柳澤氏によると、「その人にとっての天職とは、その仕事を通して、その人に多くの気づきを与えてくれるものである」ということ。人によって、気づきが多い分野とそうでない分野があるということ。そして、気づきが多いことを天職にしてしまえば良いということ。気づきが多ければ、学びも大きい。学びというのは、楽しい行為。昨日までできなかったことができるようになれば、自尊心が高まり、効力感も高まり、楽しい気分になる。うまくいかない時には苦しいが、苦しいことを乗り越えてできるようになると達成感に包まれる。天職を探すことをあきらめない。
- [ ] 3つ目の作業:仕事、会社、業界を知ること。仕事、会社、業界を知ることで、むしろ自分のことが分かるということがある。ある仕事に惹かれたり、ある会社に心地良さを感じたりする、そういうことがある。自分は、そういうものを求めていたんだと発見する瞬間。キャリアを考える際には、そういう感情の揺れを大事にして、なぜ心が揺れているのだろうと自問することが天職に近づくことではないかと思われる。
- [ ] 4つ目の作業:明日やることを決めること。自分を理解し、将来を構想し、仕事・会社・業界を理解すると、自分に向いている仕事が見えてくることもあるが、たいていは見えてこない。しかし、とにかく、明日からやることを決める。まずは動いてみる。動くのは億劫だし、人によっては苦手意識がある人がいるのも分かってる。しかし、そういう人こそ、まさに動くことが必要な人。自分で手を挙げること。思ったよりもチャンスはたくさん来ない。それゆえ、そのチャンスをものにするための準備が必要。大まかな方向性でもよいので、決めておかないと動けない。

自分の居場所を確保し続ける。
- [ ] 仕事を通して、「生き残る」ことと「幸福になる」ことを両立させようと思ったとき、「自分に合っている仕事を選ぶ」こと以上に必要なのは、自分にとって居心地がよいと思える「居場所がある」ということ。
- [ ] 自問しなければならないことは、「この1年で自分は成長したのか」「自分の強みを発見できたか」「その強みを磨くプロセスは自分にとって楽しいだろうか」ということ。社会人の学びは、圧倒的に仕事経験を通じての学びが主になる。
- [ ] 経験学習モデルとは?その学習モデルは、「具体的経験」「内省的観察」「抽象的概念化」「能動的実験」の4つの要素から成り、サイクルとして辿ることによって経験から学習していくと、モデル構築者のコルブは述べている。この一連のプロセスを経て、経験は学びとなる。
- [ ] 「具体的経験」は、個人が環境に働きかけることで起こる相互作用。学習は、経験によって生じるという観点で「具体的経験」は学習の基本。
- [ ] 「内省的観察」は、経験を振り返って、そこで行われていることを考察する行為。
- [ ] 「抽象的概念化」は、経験を言語化、一般化、抽象化することによって、次の経験を行うときに取り出し可能にする行為。
- [ ] 「能動的実験」は、経験を通じて構築された理論やフレームあるいは持論を、次の経験において試してみる行為。
- [ ] つまり、社会人になった後は、座学で仕事を覚えるというよりは、仕事を経験して、その系を通して、仕事に必要な知識、スキルを学んでいくということ。
- [ ] 重要なことは、どういうキャリアを積んだとしても「経験から学ぶ力」を培っておくこと。同じ経験をしても学べる人と学べない人がいるという話をしました。学ぶためには、失敗したとしてもめげずに、試行錯誤を重ねられるかどうかということ。

マネージャーになるということ。
- [ ] 会社の中のマネージャーには、大きく分けて2つの種類があると考えられる。いわゆる管理監督を行うマネージャーと、専門家を束ねるマネージャー。
- [ ] 前者の代表が工場のマネージャーで、後者の代表がコンサルタントや企画、研究のマネージャー。基本的な役割が違う。前者は自分で直接仕事をするのではなく、人にうまく仕事をやってもらうのが役割だが、後者は自分が率先して仕事をすることが多く、自分の働きぶりを見せながら、後輩を育てていくという役割。企画職であれば、面白い企画をメンバーに考えさせるということも大事だが、いざとなれば、自分も面白い企画をつくれないといけない。コンサルタントも同様。そして、この後者のマネージャーであれば、マネージャーをしながら、「熟達者」を目指すことができる。

0
2020年01月26日

Posted by ブクログ

とても「優しい」本です。
働くことの目的は何か?キャリアを考えるとは?豊かになるとは?幸せになるとは?自分を知るとは…など、働くというテーマを様々な角度から論じています。
論文や研究などの学術的な視点もあれば、作者自身の体験談、インタビューの話など色々な情報が出てきますが、一貫して根底にあるのは「自分らしく、幸せに生きてほしい」という作者の想いだと感じました。
働く上でこれが一番大事!!という押し付けは一切なく、どの考え方を選んでもいいよ と選択肢を提示してくれる、そんな本です。また時を置いて読み直して、自分自身の「働く」について何度も考えようと思います。

0
2019年08月06日

Posted by ブクログ

読んだ後に語りたくなる一冊。
なぜ働くのか、幸福に働くために、生き残るために、何が大事なのかを深く深く掘り下げている。

0
2019年05月26日

Posted by ブクログ

 なぜ働くのかと考えると、様々な動機があるものの、やはりお金を稼いで生きていくため。ただし、生き残りだけに偏ると、心身を壊してしまうこともある。生き残りを図る中で、幸福になることも目指していくこと。
 そのためには、自分に合う仕事を探し、自分に合うように仕事をデザインし、居場所を確保するために取り組んでいく必要がある。
 そうして、目標に向かって進み、可能な範囲をコントロールし、ありのままの自分を受け入れられる状態になることができればよいのでは。

 哲学的な話も多いけど、丁寧に説明されてる。大切やなぁと思える部分もたくさんある。働く上での自分の欲求は何か、それを満たすためにどうしたらええか、何がええかとかは理解しとかなな〜。
おもしろかったけど、理解に時間かかる内容やし、何なら二周した。

0
2025年01月23日

Posted by ブクログ

働くことについて、様々な角度から考察されていて、面白かった。
内容がしっかりしている分、読むのが大変なところもあったが、納得できる部分も多くまた読み返したい。

☆3.8

0
2025年01月20日

Posted by ブクログ

読むまでに時間がかかった。
が、ありのままでいるためにはまずは自分がオープンに、ということは確かにと思った。

自分は何がしたいのだろう。

0
2023年04月15日

Posted by ブクログ

筆者は仕事を通じてメンタルヘルスになった事がきっかけで、改めて仕事や人生に向き合った結果に思った事を本という形で体系化したものです。

仕事が辛い人・就職活動や転職活動をしている人は読んでみると自分の仕事に対する思いを深めるためのヒントがあるかもしれません。

実際に自分は転職活動をしている時に読み、仕事とは何かの問いを自分に立てる事が出来ました。
定期的に内省のために読み直したいと思います。

0
2020年05月10日

Posted by ブクログ

「生き残る」ことと「幸福になる」ことの対比において「働く」ことを理解する・・・この本を形成する骨格の一つです。「漁師とビジネスマン」の小話は面白い。
著者は若いころ仕事に没頭し、長時間働いて、ある日調子を崩し、精神科を受診します。ストレスが原因の病気から回復するまで10年近くかかり、その経験を通じて考えを深めます。不確実な社会における「生き残り」に対して「過剰適応」していたのではないか、と自らを振り返ります。

豊富な知識・情報と経験に基づき、様々な角度から「働く」について考える材料を提供し、考察をめぐらせますが、結論に誘導するよりも一緒に考えましょうというスタンス。それが論点の拡散や曖昧さといった印象にもつながりますが、テーマがテーマですからね。

著者は「生き残る」ことと「幸福になる」ことの接合点として、「明日に向けての準備が今日の楽しみとつながるように」と提示します。「働く」ことを通じて「生き残る」ことと「幸せになる」ことを両立させるために、今の仕事を存分に楽しみ、そのことが明日につながるよう調律する。
「漁師とビジネスマン」ならば、最終的に漁師のような生活をするにしても、「自分の可能性をいろいろと試してみること自体に価値があり、生きている実感を得ることになる」、あるいは「様々な経験をすることに価値がある」。

「フロー」、「心理的ウェルビーイング」、「オーセンティック・リーダーシップ」、「キャリアデザイン」と「プランドハップン」、「居場所」をもつことの重要性、などなど示唆深い概念が目白押しです。

印象に残った箇所から引用:
・「遊・学・働の境界はゆるやかになっていく可能性があります」
・「現代において、マネジメントの技術が高いことは、雇用される力が高いことにつながります。つまり、居場所を確保し続けることができます。多くの仕事は、一人でやるわけではなく、複数の人で行います。その仕事の目標に向けて、働いている人をひとつにまとめて、気持ちよく働かせる能力があれば、様々な組織で重宝がられます。多少業種が違ったとしても、人をまとめる力があるというのは、融通がきく力です。機械に雇用が奪われる時代になったとしても、生存する確率が高い仕事です」
・「マズローは、有名な欲求5段階説を提唱した後に、最も高い欲求の「自己実現」よりも高い欲求として、「自己超越」があることを唱えています。自分を表現し、自分をきわめるよりも高い欲求として、自己を超え、自然や社会や組織の一部として中にいて、自分より大きなものと融合する欲求」

随所に古典からの引用もみられます。
・パスカル「人間にとって、完全な休息のうちにあり、情念もなく、仕事もなく、気ばらしもなく、集中することもなしでいるほど堪えがたいことはない」
・ニーチェ「なぜ生きるのかを知っている者は、どのように生きることも耐える」(フランクルが引用した一節)

「働く」ことをholisticにとらえた力作です。

0
2019年08月18日

「ビジネス・経済」ランキング