【感想・ネタバレ】永田鉄山と昭和陸軍のレビュー

あらすじ

昭和10年8月12日、陸軍省軍務局長室において、相沢三郎陸軍中佐に斬殺された永田鉄山陸軍少将。「永田の前に永田なく、永田の後に永田なし」とまで言われた昭和陸軍の逸材は、なぜ殺されたのか。永田が目指していたものは何か。そして、永田が生きていれば、日本は戦争への道を歩まずにすんだのか――。これらの命題に、永田の人物と構想を繙きながら、相沢や皇道派にも触れつつ、迫っていく。永田家所蔵の初公開写真や遺族の声も掲載。はたして、戦争は止められたか?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

永田鉄山という人物は、いろんな風説が流れやすい人物であるが、改めて整理すると理論家で現実主義者で、天才肌でありながらも理知的で交渉も上手な切れ者という、ぐうの音も出ないほどの人材であったのが分かる。

昭和の陸軍は、かなりいろいろな問題を起こしているが、そんな中で永田鉄山は「総力戦」に備えながらも陸軍内部の統制に厳しく、決してそこから逸脱することはなかった。

いわゆる昭和陸軍が軍閥のように無茶苦茶になっていったのは、永田のようにこうした「国軍」としての陸軍のあり方から逸脱し、気づいた時には下克上と無秩序で支離滅裂になっていった要素が高い。

それは海軍も同じ事が言えるのだが、個人的に酷いと思ったのは永田を殺した相沢三郎はどうしようもないマジキチであり、結局のところ彼らは陸軍の落ちこぼれ仕官で、立身出世が出来ないからこそそれを破壊することを前提に動いていた醜悪な存在に過ぎなかったということ。
それに大川周明や北一輝のような、愚にも付かないようなインチキ思想家を担いでいったわけで、永田鉄山、そして渡辺錠太郎大将らが殺害されたことは昭和陸軍の終わりの始まりだったような気がしてならない。

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2019年08月22日

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