あらすじ
イラストはネットと共に進化を続ける!
現代日本において、いわゆる「キャラクターイラスト」を目にしない日はありません。そんなイラストは、いつから、どのように、私たちの日常に溶け込んだのでしょうか。そこにはインターネットと切っても切れない関係があります。
本書は、ネットとイラストの歩みを見つめてきた著者による、その両者の関わりと変遷を辿る一冊です。アナログからデジタルへ、個人サイトからSNSへ、そして平成から令和へと時代が進むなかで、イラストを取り巻く環境はどのように変化したのか、そしてイラストを利用したビジネスはどのように発展を遂げたのかに迫ります。また、描き手およびそれを支える企業などインタビュー10本を掲載。現場の声を多角的に伝えます。
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Posted by ブクログ
とても重要な歴史書。
当時現場にいた人が、リアルタイムで経験したことを背景に、
キーとなる人物へのインタビューなどを交えて、時系列とともに変遷を丁寧に書いていく。
埋もれてしまうもの、消えてしまったものがたくさんある中で、
その時の出来事を熱と一緒に記憶している人による記録はとても貴重だ。
今は高性能で安価なツールと、簡単にアップできるネットの環境があり、
自分の頭の中にあるものを表現するためのスピードもかなり上がっているようだ。
ツールのサポートがあれば当然レベルも上がっていくし、
使いこなしていけば表現も広がり、何を選ぶのかというところからも、個性はでてくるんだろう。
ペンや筆でアナログに描くのとは別の身体の使い方で、
どちらがいいとか優れてるとかそういうものでもない。
絵柄のはやりすたりはあるだろうが、
周りを見ながら自分をアップデートしていくことで長く続けることが出来る。
なにより今はイラストを描くことで、ちゃんと仕事ができ、食べていけるというのがありがたいことだ。
すべてを一人で作るのではなく、アニメのように、同じものを複数で作っていくのが興味深い。
得意なところをそれぞれが受け持つ、と言うのも、職業として成り立つ要因なんだなー。
今は2次創作で荒れるのを恐れてオリジナルに移行するというのが興味深かったな。
「売れる=儲けてる」への忌避感が、
ネットの世界でより出やすくなっているのがなんか殺伐としてますね。
余白もギリギリまで削ってみっちりと詰まった濃い本でした。
こうやってまとめてくれる人がいるから、その世界を知らない人にも届く。ありがたい。