あらすじ
第三の“竹内ノート"を求めて、男はルソン島へ――
戦没詩人、山下財宝、山岳民族、イスラム独立闘争……空っぽな日本人はそこで何を見たのか
注目の才能ミヤウチによる、展開予測不能の冒険小説!
第70回芸術選奨文部科学大臣賞新人賞受賞作・単行本バージョン
ぼくは、ぼくの手で、戰爭を、ぼくの戰爭がかきたい――そう書き残し、激戦地ルソン島で戦死した詩人・竹内浩三。彼は何を見、何を描いたのか?
テレビディレクターの職を捨て単身フィリピンに渡った須藤は、その足跡を辿りはじめた。だがその矢先、謎の西洋人男女に襲われ、山岳民族イフガオの娘ナイマに救われる。
かつて蹂躙された記憶を引き継ぎ日本人への反感を隠さないナイマだが、昔の恋人ハサンの実家を訪ねる道行きに、付添いとして須藤を伴うことに。
ミンダナオ島独立のために闘ったイスラム一族の家で一時の休息を得た須藤だったが、ハサンの家は秘密を抱えていた……。
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Posted by ブクログ
「日本スゴイ」系の番組を作らされることに心底飽き飽きした硬派(で、不器用かつナイーブな)40代のテレビディレクターが一念発起して、フィリピンで戦死した詩人・竹内浩三の幻のノート(「第三のノート」)を捜し求めて旅に出るところから物語が動き始める。「フィリピン」を決して定型化された紋切り型で語らず、ミンダナオのイスラム系の人々、国家の政治と経済を牛耳る財閥、資本による無軌道な開発に抗う地域の人々など、一筋縄ではいかない社会のありようを描きだそうとする姿勢からは、題材と主題に対する深い敬意を感じさせる。
複雑であるがゆえに複数の「縛り」が意識されて身動きがとれなくなってしまう男たちの心身を解きほぐすのが詩の言葉であるというのが面白い。主人公のテレビディレクターは、竹内のゆるいけれども率直なことばの前に繰り返し立ち返り、ミンダナオの精悍な青年はリサールのことばに背中を後押しされる。「石」が持ち主の記憶をつなぐ通路になるという細部は、どこか奥泉光の小説を思わせる設定でもある。
Posted by ブクログ
竹内ノートを追う冒険小説かと思いきや、ハードボイルドになったり、急展開で恋愛小説になったり、宗教問題になったり、華僑の財閥が汚職したり…随分とっ散らかったまとまりのない小説なんだけど、宮内さんの文章だから読めてしまうねんなぁ。
こんなとっ散らかりまくりやのに、最後の50Pでああいう散らかし方してくれるから油断ならん。戦争を選ぶ政治が最低だが、戦争を継続する政治も最低なのだということ。
とはいえ、ウクライナのゼレンスキーは現状戦わないと、国が地獄になるのが分かっての戦争選択だろうし…難しいよなぁ…ってこれは、本作と関係ない気持ち