あらすじ
なぜ、「平和」は「戦争」に負け、第二次世界大戦が勃発したのか。なぜ、避けることが可能だった日米戦争が起こったのか。その不条理を追究し、偽りの歴史を暴く!
戦争を企んだ「国際金融資本家・ロックフェラー」と「好戦家・ルーズベルト」。そこにつけこむスターリン・コミンテルンなどの国際共産主義運動の策謀。その危険性を見抜き、彼らと対峙したフーバー。そういった、アメリカが攻め込まれない限り、戦争はしないという「不干渉主義者」だったフーバーたちは「孤立主義者」と貶められた。
日本では、フーバーとも会ったことのある近衛文麿は、尾崎秀実、風見章、牛場友彦、松本重治、白洲次郎らを初めとする「問題人物」を手玉にとったつもりで、実は「ピエロ」としての役割しか果たせず、自滅し敗れ去って行った‥‥。
前作『近衛文麿 野望と挫折』に続く、渾身のノンフィクション大作
(著者の言葉) →世界は今も戦争の危険と恐怖が絶えません。「なぜ、人類は戦争をしなければならないのか?」。私は、現実的な観点から平和な世界をつくる手がかりを探る試みとして、本書を世に問います。ルーズベルト、フーバー、近衛の動き、ロックフェラーの関与を並列的に叙述しました。日米共通の歴史認識が必要との問題意識がそうさせたのです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
◆どんな本?
日米戦争を開戦に引きずり込んだのは誰か?を日米双方の内情を踏まえつつ解き明かした本。
◆所感
近現代史の歴史観で、今最も共感できるのが林先生の歴史観。
なぜ、日米戦争は起きたのか?そもそも、日本とアメリカは戦う必要があったのか?
その疑問に対して様々な証言や一次資料をもとに答えを提示している。
戦う必要は、まったくなかった。当時の日本・アメリカ双方で非戦論が主流だった。
ではなぜ、日米は開戦に至ってしまったのか?それは、戦争を起こさせようと企んだ勢力があったからだと林氏は主張する。
その勢力とは、ロックフェラーに代表される国際金融資本家たちと、ソビエトやコミンテルンに繋がる国債共産主義者たちである。これら勢力が日米双方に対し、影響力をおよぼしていた。
この、「日米双方に」という点が重要で、つまりは両方の情勢を正確に把握したうえで策謀を練っていたのである。恐るべし。
林氏は、開戦に至ったのは「「平和」が「戦争」に負けた結果」と表現している。
「平和」の側はアメリカの大統領フーバーであり、「戦争」の側は国際金融資本家と国債共産主義者、およびその勢力を内包したルーズベルト大統領および近衛文麿として対比させている。
エピローグの下記一文が印象に残った。
「平和」の側が「戦争」の側に勝つのは生やさしいことではありません。「平和」の側が「戦争」の側以上にしたたかで周到でなければ「平和」は「戦争」に勝てないのです。平和を維持できないのです。これがシンプルですが冷然たる教訓です。
◆こんな人におすすめ
・日米開戦の経緯を、日米双方の視点で理解したい人
・日米開戦にディープステートがどう関わっていたのか知りたい人
Posted by ブクログ
私たちが教わっている日本の近代史は、とても表面的で一方的。しかも根本的に間違っていることが分かりました。私たち日本人が知らなくてはいけない太平洋戦争の真実を教えてくれる本でした。読み進めるうちに、底知れぬ怖さと沸々とした怒りが湧いてきます。ですが、真実を知らなければ次にも進めない…今の日本の停滞は、自分たちの歴史を知らないことから来ているようにも感じます。日本人なら必読の書だと思いました。
付け加えると、これが世界の真実なら、アメリカ大統領選や中国の動向など、ニュースを見るだけでは本当は何が起こっているのか分からない、ということが分かります。私たちが思う以上に、闇は深い。でも、そういう世界に私たちは生きている。私たちはそれを踏まえた上でそこでどう生きるか???
Posted by ブクログ
林千勝さんの著書を読むのは初めて。この人は、本物のプロだと思わされた。(会社役員をしているそうだけど。)
ところで、詳しい方に質問です。「独ソ戦開始の頃に、北進論をとれば、日本は勝てたんじゃないのか?」と友人に言ったら、「日本軍の戦車では、ソ連の戦車に勝てない」と一蹴されました。本当にそうなのでしょうか?