あらすじ
【遊郭×兄弟×オメガバース】現代の日本に形を変えて残った春を売る。看板である花魁をつとめるのは兄。そんな兄を救おうとした弟。2人を繋ぐのは悔恨か、愛情か。――「許せない自分から、逃げたかった。」全ての欲望が金で満たされる色恋の街、夢原遊郭(ゆめはらゆうかく)。刑事・蒔田 雪路(まきた ゆきじ)には救わなければならない相手がそこにいた。それは自分の身代わりに売られてしまった兄の要(かなめ)。5年ぶりの再会を果たすものの、要は雪路の手を拒む。助けなどいらない、と――。 要の微笑みが隠す過去、兄の背中を追い求め続ける雪路。絢爛豪華な世界で翻弄される兄弟を描く、まつ デビューコミックス。
...続きを読む感情タグBEST3
個性的な絵と独創的な世界観
限られた人しか入れない地下遊郭を舞台に横領事件を追うサスペンス仕立ての物語。オメガバ義兄弟モノだが、αやΩの特性が誇張されていない運びは珍しい。α兄が廓では受であることもあまり見ない設定。BLまでいかない家族愛。廓の客との性描写はあるが兄弟ではナシ。
最大の見どころは絵そのもの。人物は中村明日美子先生のような、背景は草間さかえ先生のような。絢爛豪華な廓、木々や電灯の背景、細かく描いていないのにバランスの良い和服姿が好き。陰影の見せ方が上手い。作者の中では光源の位置がはっきりしているようで、黒ベタや影トーンが効果的に配置されている。場面の切り取り方もありきたりではなく、セリフを読まずに絵だけで何周かしたほど。
実はオメガバである必要性は感じなかったけれど、とにかく絵そのものと世界観がおすすめ。