あらすじ
映画「早乙女カナコの場合は」原作
かけがえのない“今”を必死に生き抜く女子たちの群像劇!
早稲田大学4年の早乙女香夏子には、留年を繰り返す脚本家志望のダメ男・長津田という腐れ縁の彼氏がいた。
しかし、必死で就活に励んでいる間に後輩の女子が彼に急接近。動揺する香夏子だが、内定先の紳士的な先輩に告白されて…。
自意識過剰で不器用で面倒臭い早稲女の香夏子と、彼女を取り巻く微妙な距離感の女子5人。
傷つきながら成長する女子たちの等身大の青春小説。
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Posted by ブクログ
いや、面白かった!!
各大学ごとに、確かにこういうイメージあるぅ、っていう女の子が出てきてた。
私は、同志社卒なので、関西弁も是非出してほしい。笑
同志社全体では、青学に1番近い印象だけど、私は理系キャンパスだったので、早稲田っぽいかなー?
隣に同志社女子大があったので、これは日本女子大みたいな感じ笑
私も、インカレで、同志社男子は同志社女子大(略して同女)と付き合っていた印象。笑
本の感想も書きます。
まず、早稲田の早乙女香夏子さん、
1番私に似ている。笑
男性と仲良くなるのが苦手で、拗らせていて、負けず嫌い、世話好きで仕切りや、理屈っぽい
たぶん、美人でなんでもできて妬まれるはずなのに、自ら欠点を大っぴらに出して、そんな役回りに落ちていくタイプ。
そして、女の子にばかり好かれる。笑
完璧でそつがないタイプに見えて、後半になるにつれ、2人の男と訳がわからないままぐだぐだとした関係を続け、2人とも別れ、その後6年彼氏ができず、元彼とセフレになり、合コンでそのことを話し、そのまま元彼とやって、なぜか逃亡する。
逃げてるけどほんとは追いかけてほしくて、逃げ回る。
元彼がまともになってガッカリしてるのも面白い。
6年経ったらなぜかあんなにダメダメだった元彼の方がまともになってるのも面白い。
青学の青島みなみさんと旅先で会って大喧嘩してるのも面白かった。完璧に見えて、売られたケンカは買っちゃって、意外と口喧嘩は弱くて、性格も実はちゃんと悪い笑
でも、後輩に舐めた態度取られるようなお人好し感もある。
ほんとにこの人は私すぎる、すごく気持ちがわかっちゃった。
まだ書き足りない気がするけど、一旦これくらい。
立教大学、立石三千子さん
立教生はそつがなく、なんでもさらっとこなせるという印象みたい。
彼氏にも依存せず、割とモテる、淡白な感じ。
でも、最後は香夏子さんの彼氏の浮気現場を撮ったり、元彼のこと意外と引きずってたり、人間らしくて可愛い笑
日本女子大の本田麻衣子さん
この子も私っぽさを感じる!
ほんとは素朴で、真面目な子なのに、背伸びをしてもみくちゃにされてた。
でも私と違って女子大特有のなんだかんだ、帳尻を合わせて、いい男を捕まえるそつのなさもあって、面白かった。最後は総合商社の男と結婚してるし。笑
学習院大の早乙女習子さん
学習院はやっぱりお嬢様ゆえの育ちの良さが特徴みたい。
香夏子の新彼氏候補と、血洗いの池でネックレスを一緒に探すシーンが印象的。
最後につまらないと思ってた彼氏が、トトロを見たと本気で言っていたシーンで終わるのは面白い。
彼氏が東海大出身の同期に似てる笑
習子さん自体は、香夏子の妹だからなのか、あんまり学習院っぽさはない。
慶應卒、慶野亜依子さん
生粋の慶應の女の子は、大体小中からの内部生、だから仲もめっちゃいい。
恋愛面でも、ハイスペの男と長く付き合ってそのまま結婚、多少問題があっても、自力で彼を立て直すバイタリティもある。
本人たちも努力家で能力が高いから高給取りになる。
大体、顔をいいみたい。
全部、自力で手に入れてきたからこそ、すごく自信がある人が多くて、少し人を見下しがちというイメージ?
私の同期にも慶應女子がいるけど、ホーンとにそんな感じ。イメージ通り笑
でも、亜依子さんは、その中では少し遅れをとっていた感じ。人間らしさも見えつつ、強く生きている女性でカッコよかった。
青学卒、
1、2年目と、3、4年目で、通学する場所が大きく変わるせいで、ホームっぽい自分と、華やかな自分が分離しちゃいがちと言っていた。
青学のイメージは、青山でできた彼氏、お金持ちで、海外旅行や高級料理にも連れて行ってくれるような人と付き合っているイメージが強かった。
ずる賢い港区系のイメージだったけど、意外と不器用で、考えも浅めなのは意外だった。
でも、安心できる彼氏とお金持ちの彼氏で二股してるのはイメージ通り笑
最後、社長との不倫地獄を抜け出し、結婚してるのも、変わらず生き続けたんだなあと思って笑えた。
登場人物みんな、人間らしくて、でも素敵な人ばっかりでみんな大好きになった。
全員と友達になりたいと思う。
私の好きなちょっと斜めからものを見る感じがはまりすぎててとても面白い本だった!
Posted by ブクログ
私は早稲田理工を3留して同い年の元早稲女と付き合っている、長津田みたいなしょーもない男です。
あまりにも長津田が自分の境遇と重なりすぎて序盤数ページで深刻なダメージを喰らうも、なんとか読み進め始めたら面白すぎてもう止まらなくなってしまいました。
それぞれの女子大生は歳の割には「しょーもない」自我やプライドに囚われて「しょーもない」恋愛物語を繰り広げるのですが、そのありきたりでくだらないシナリオこそがミソだと思うのです。
つまらないものに拘る自分など脱ぎ捨てて、負けても惨めでもいいから生きるべき道筋を進め、そんなメッセージが伝わってくるようでした。
世界が向けてくる眼差しに怯えていた長津田が不恰好な姿でも香夏子へのアプローチをするのが本当にカッコよくて、3留する前に長津田のような先輩に出会いたかったなと切望。
香夏子については所謂「おもしれー女」だと思って好意的に捉えていたので、ラストにその痛々しさが剥がされるシーンには私も「え、そうなの?」と大困惑。
でも確かによく考えたらずっと痛々しかったような、妙に納得してしまう不思議な清々しさが……笑
22から28までずっと自虐キャラだったらそりゃイタいか。
チープな恋愛物語を通じて、子どもっぽい矮小な自我を脱ぎ捨て成熟していく過程を描いた素晴らしいジュブナイル小説だと思います。
何より自分の境遇と重なりすぎているし、様々な過去の友人を思い出して懐かしく苦しい気持ちになれました。
Posted by ブクログ
◾️record memo
彼女は気付いてないのだろう。
長津田があきらめた指輪をプレゼントしたことで、彼のプライドを傷つけたかもしれないことに----。ミートボールスパゲティで満足してやれば、それで良かったのに。長津田の冷たい態度の原因はそんなところにあるのかもしれない。
力を蓄えて、もう一度彼を追いかけるのか----。自分にそんな覇気は果たしてあるのだろうか。やっぱり自分が可愛い。恥をかくのはとっても怖い。傷ついていることを認めたくない。香夏子のように、強くなれる日は来るのだろうか。
「麻衣子ちゃんさ最近おかしいよ。大学に入ってから、自分じゃないものになろうとしてる。誰かに何か言われたの?」
「あ……、えーと、元気?」
ソバカスの目立つ色白の頬にくしゃっと皺が寄る。洗いっぱなしの髪を一つにまとめ、安物の服を無造作に身に着けているだけなのに、ピンと張ったアロエのような強さと凛々しさが眩しい。くやしいけれど、こんな個性を持つ女の子を彼女以外に知らない。
「その子……、知り合いですか?」
便器に死んだようにもたれている女の子を恐る恐る覗き込む。
「ううん、全然。皆のいるお座敷を目指してたら、トイレ前にこの子が倒れてるのを発見したんだよね」
「え、知らない人なんですか?」
驚いて問うと、香夏子はこともなげに頷いた。
「うん。全部吐いたから楽になったみたいだよ」
ようやく麻衣子は目が覚めた。景色が今までとは違って見えるほどに。
目の前の美奈子は、得意のあまり鼻の穴が膨らんでいる。どうしてこんな意地悪な女の子に長いこと好かれようとしてきたのだろう。
「慶應の女の子達は、美奈子みたいな女の子のこと、どう思ってるのかな」
思ったより冷静な声が出た。美奈子が不快そうに顔をしかめ、「あ?」というように下品に口を歪ませた。
「美奈子は自分に何もないから、男の人にすごくたくさんのことを求めるんだよね。私もそうだったからわかる。でも、それ物欲しげだし、みっともないよ。それに、ルックス審査に合格した子は世界中であなた一人ってわけじゃないんでしょ」
「上手くいかないのは、麻衣子ちゃんが自分の良さに気付いていないからだよ」
「日本女子大の校風や教育方針が私は好きなの。穏やかで堅実で、一人一人の中にある財産を大切にしてくれる。うちの大学の就職率がダントツにいいのって、コンサバ感が使いやすいっていうのもあるけど、落ち着いてて聡明な女の子が多いからじゃないのかな。手に入らないものに向かってがむしゃらに突き進むのって一見努力家に見えるけど、私はもったいないなって思う。それより今自分の中にある良いところをゆっくりゆっくり育てるのが好き。ハーブや果実酒みたいにね」
麻衣子は目を見張る。自分の中の財産なんて考えたこともなかった。この半年、違う人間になろうと背伸びばかりしてきたのだ。
「誰かを持ち上げるために、誰かを落とす。そういうのって私、好きじゃないの」
「そもそも私、褒められるのとか無理。かゆい!吉沢さんって悪い人じゃないけど、かゆい発言多過ぎて、時々いたたまれなくなるんだよね。それにさー、なんか話すことも超普通だし、意外性がないっていうか。一言で言うとつまんねーんだもん。別に私、守ってくれるとか大事にしてくれるとか、そういうの必要ない人だし」
なごやかな笑いがテーブルを包み、習子の楽しい空想は吹き飛んだ。カップルは祝福すべきもの、当然イベントは一緒に過ごすもの。そう決めてかかっている。この場の空気がうっとうしくて仕方がない。姉の言葉を借りるならまさに「かゆい」。
つながりなどないに等しいくらい緩い輪なのに、協調性を求められると辟易してしまう。
一人で池を眺めていると、心がどんどん静まっていく。辺りに人はいない。ふいに、わーっと力いっぱい叫びたくなるが、やっぱりやめた。
彼氏がいて、友達もいる。サークルに入って、好きな授業も受けている。それなのに、どうしてもここが自分の居場所とは思えないのだ。
「面白い大学に行けば、自分も面白くなれるはずだと思っていたけれど、そうでもなかったんだ。どこに行っても自分は自分だよ」
シャンデリアの光は、母のお下がりであるゴールドのネックレスを薄闇に浮かび上がらせる。ディオールのミニドレスからすらりと伸びた脚とヘッドドレスで剥き出しにしたぴかぴかの額、よく手入れされた波打つロングヘアがとびきりの輝きを放つから、アクセサリーは別にクラシックでも構わないのだ。多少高くても、お手入れを怠らずにいいものを長く使うのがモットー。いつか娘が生まれたら、二年目のボーナスで買ったこのディオールを受け継がせたい。母や祖母が自分にそうしてくれたように。
じっくりと香夏子の蔵書を目で追っていく。大量のちくま文庫。『地球の歩き方』にマスコミ読本。教育学部国語国文学科らしく教育心理学の教科書、翻訳小説、古典、推理小説に、純文学、エンターテインメント。その合間にアイドルの写真集や漫画、映像論も交じっているのが彼女らしい。いずれもよく読み込んであり、カバーや帯がないものが目立つ。
「豊かで循環している、いい棚ね。あなたがどういう子なのか、すごくよくわかる。私の愛読書なんて、ビジネス本や恋愛ハウツー本ばっかり。羨ましい。洋一と趣味が合うわけだ」
私は私らしくやるほかない。香夏子の本棚を見つめるうちに、そう思った。
別に香夏子を困らせたいわけではない。ただ、昔から疑問はすぐに解消したいタイプなのだ。基本的に天真爛漫でおっとりしたみなみが時折見せる、追求の厳しさや引かない姿勢に驚く人は多い。
「だって、さっき言ってたじゃない。自分の中に二人の自分がいる気がするって……。両者が混じり合わなくて苦しいから、どっちの男も選べないんだって……」
メキシコと何の関係があるのかは今一つよくわからないまま、怪訝な顔で頷いた。でも、確かにそうだ。自分の中には二人の女の子がいる。どんくさくて心優しい青島みなみと、世慣れていてスマートで冷たいところもある青島みなみ。素朴なみなみは篤志を手放せないし、お洒落なみなみは小井出さんに惹かれている。どっちも本当だから、自分で自分がよくわからない。
「昨日の夜、みなみに言われたこと、けっこう、こたえた。でも、あの分析は事実だと思う。長津田のことはたぶんずっと好きだと思う。でもね、もう、闘う前にあきらめちゃうところから卒業したいんだ。私は自分を引き受けることに決めた。面倒でイタくて、傷つけられたことを忘れられない自分を引き受けることに決めた。もう、自由になりたいんだ。だって、自由が好きなんだもの」
「あの、香夏子さんって、もしかして男性恐怖症ですか?」
いきなり切り返され、香夏子は言葉を失った。立ち飲みバーの青いネオンにぼんやり照らされた菜穂子は、すべてを見透かすような怜悧な目をしている。一台のタクシーがゆっくりと彼女に吸い寄せられていく。
「見てると、男嫌いっていうより、男の目が怖いっていう風に見えますよ。男の目でジャッジされるのが怖いっていう風に。評価される前に、自分で自分にレッテル貼って、声高に商品名を叫んでいるっていう感じ。その早稲女のコスプレ、時々鎧に見えますよ」
なんと答えても傷ついていることがバレる気がし、香夏子は仕方なくへらへら笑う。
誰もが香夏子になら何を言っても傷つかないと思っている。どうしてこんなに敬意を払われないのだろう。誰にも頼まれていないのに、道化役や世話役を引き受けてしまうのも何故だろう。菜穂子の指摘するように、レッテルを貼られる前に自分で自分を決めつけてしまう性分のせいか。ああ、少しも自由になっていない----。
心を込めて作った書籍を世に送り出すことで収入を得、自分だけの城と時間も手に入れた。思い描いていた人生の真ん中に今、自分は確かに立っている。それでも、香夏子には相変わらず、自信のかけらもない。ささやかな成功体験はすべて、どこか彼方に存在するブラックホールに転送され、吸い込まれていくようだ。いつも何かに縛られている。その正体さえ、よくわからない。
男性恐怖症か----。少女時代がぼんやりと蘇る。トラウマなどと呼べるほどではないが、心当たりがないわけではない。父親が亡くなってから、香夏子は一家の男役を務めていた。幼い妹のことも心配だったが、まだ若く美しかった母親に向けられる、大人の男達の値踏みするような視線がいたたまれなかった。町中、授業参観、保護者面談、親戚の集まり。母が男のぶしつけな目にさらされる度に、自分が辱められた以上の羞恥を感じた。なんとかして母を守ろうといつもやきもきし、ことあるごとに大声をあげ、おてんばに振る舞っていた気がする。いつの間にか、異性の前では必要以上にがらっぱちを演じるようになっていた。
どうして誰も彼もすぐに相手を見付けられるのか、不思議で仕方ない。広い世界でただ一人の男を見つけ出し、相思相愛となり、一緒に生きていくなんて、ほとんど不可能に思える。大海原に一人でボートでこぎ出すような、気の遠くなるような無謀な冒険だと思う。
私は今楽しんでいる、これは楽しい時間、と切れ間なく言い聞かせる。そうでもしないと、ぽろっと泣き出してしまいそうだった。苦しいのに、無性に懐かしい感情だった。大学時代、サークルで盛り上がっている最中、こんな風に唐突に世界から取り残されたような気分に襲われたっけ。周りが賑やかであればあるほど、どこにも居場所がない気がして、焦りがつのった。だから、ことさらに陽気に振る舞い、周囲にぺらぺらと話しかけることで、必死に自分を保っていたから。
けっきょく「女らしさ」や「女子力」は趣味の一種なので、どうつきあうかは自分の適性や好みで決めればいいし、それによって女同士でコンプレックスを持ち合う必要もないと思っている(男にこびる女だって、それは一つの生存戦略だし)。
Posted by ブクログ
やや偏見的でもあり苦手な人もいるかも?と思ったが、元早稲女(解説によるとOBであろうが元はつけず早稲女なようだが)としては、懐かしさと恥ずかしさでいろんなところを痛めながらも笑、あるある〜わかる〜と思いながら読んだ。
大学ごとに女子のイメージが分かれるのは、校風に惹かれる時点ですでにタイプが決まっているのか、入ってから肩書きや扱いでタイプが変わっていくのか、卵が先かひよこが先か、どっちだろう…
わたしも典型的早稲女だけど、自分がいつからこんな感じか覚えてないなー。
広末涼子のくだりが、当時はまだこんなことになると思われてないからこそ、感慨深かった…笑